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投稿日: 2023年3月27日

JENESYS 2022  太平洋島しょ国 沖縄コース(2C「海洋資源コース」)

 島国生まれの学生たちが、日本という島国で学ぶ海のこと 

 2022年1月27日~2月3日の8日間に渡り、フィジー、バヌアツ、パプアニューギニア、パラオ出身の南太平洋大学の学生たちが来日しました。彼らの暮らす大洋州の国々はどこも海に囲まれた島国。日本以上に海との関わりが深い彼らが、日本で「海洋資源」について学びました。

 羽田空港へ到着後、東京都庁の展望室、お台場の商業施設を視察しました。都内で一泊後の翌朝、沖縄へ移動します。沖縄での滞在は4日間で、初日は那覇空港から名護市への移動、途中オリエンテーションを受け、本格的に施設訪問が始まる次の日に備えます。

 翌日、美ら海水族館を視察後、海洋資源の講義を受ける最初の訪問先、国際海洋環境情報センター(GODAC)へ。海洋プラスチックやリサイクルに関する講義では、真剣な表情で話に耳を傾ける参加者の様子が見られ、あちこちから自発的に質問が飛び出し、その関心の高さがうかがえました。また、日本の深海探査艇「しんかい6500」も一部の参加者は知っていたようで、その説明の際にはどよめきが起こりました。

▲美ら海水族館にて   
▲GODACで 探査艇について知る 
▲沖縄県水産海洋技術センターの皆さんと 

 沖縄本島の南側に位置する沖縄県水産海洋技術センターでは、沖縄で行われている海洋資源を守る取り組みについての講義だけでなく、沖縄の歴史や文化も教えてくれました。講義の中で大洋州の国々との共通点が見つかったようで、多くの参加者が表情に嬉しさを滲ませていました。講義の後、講師であるセンター長のところへ駆け寄り、自国の海洋資源について伝えにいく参加者の姿もありました。

 沖縄4日目に訪れた琉球大学では、このコースの中でも一番の長時間滞在となりました。午前中は、沖縄の海洋生物を中心とした多様な生態の講義のあと、大学が保有される養殖施設を視察、午後には琉球大学の学生たちとの交流会といった流れです。

 この交流会では日本の大学生だけでなく、琉球大学に留学してきている外国人の方々も多く参加され、より国際色の強い交流となりました。また、同じくJENESYSプログラムでパラオを訪問する2人の日本人大学生にも会うことができ、パラオでの再会の約束を交わす様子も見られました。同年代の大学生たちとの交流は、参加者にとって一際印象に残るものとなったようで、帰り道もその話題で持ちきりでした。

▲琉球大学、陸上養殖拠点を視察
▲琉球大学、大学生との交流会 
▲首里城で沖縄の衣装を 

 

 沖縄では他にも、首里城公園や座喜味城跡、嘉手納基地を一望できる道の駅「かでな」、海中の様子を見ることができるブセナ海中公園の海中展望塔、魚市場「泊いゆまち」などを視察しました。どこを訪問しても参加者たちは目を輝かせていましたが、首里城公園を訪れた際は違った様子が見られました。首里城が焼失してしまったことを知った一人の学生が、その経緯や復建を目指していることを伝える動画の前でひた向きにメモを取っていたのです。

 4日間の滞在で、すっかり沖縄を気に入ってくれた様子の参加者たち。「帰りたくない」「まだ沖縄に居たい」という声が聞こえてくる中、名残を惜しみながら東京へ戻りました。東京へ戻ってからの残りの日程は3日。まずは水産庁への訪問です。こちらでは、日本の大洋州での漁獲量やその魚の種類等についての講義を受けました。参加者は緊張気味の様子でしたが、「福島県原子力発電所の処理水の海洋放出」について等の踏み込んだ質問も出ました。講義後、参加者の一部が講師の方と名刺交換をするといった和やかな一場面や、パラオからの参加者によるチャンティング(インド由来の歌)が送られました。

▲座喜味城跡にて 
▲水産庁で名刺交換 
▲はじめてのお習字

水産庁訪問でプログラムも一区切り、翌日には、参加者のみなさんがこのコースで「何を知り、感じ、そして帰国後どんなアクションを起こしていくか」をプレゼンする報告会が控えています。前日となるこの日は資料の作成、打ち合わせ、練習をする声が夜遅くまで聞こえてきました。報告会当日は4つのグループに分かれての発表でしたが、食事、建造物、農業、歴史などの日本文化、講義で学んだ海洋資源や技術のこと、持続性(サステナビリティ)など、それぞれの視点で発表。そして、帰国後のアクションプランではSNSでの発信に始まり、大学でのイベントにおいて日本文化等のPR、さまざまなコミュニティでの学習体験の共有、養殖の研究業務、フィジーでリサイクルや適切な廃棄物処理の強化など様々なアイデアが出ました。中には具体的な日程も決めてのアクションを示したグループもありました。また、この報告会には各訪問先で講義をしてくださった方々がオンラインでご参加くださり、大学生たちも大喜びでした。

 報告会を終えた後は、日本科学未来館、浅草寺、東京ソラマチ、明治神宮、東京タワーなどを視察、帰国を控えた学生たちは最後の日本を噛みしめているようでした。「寂しくなってきた」「スーツケースに入って一緒にフィジーへ行こう」と時折、残された時間を惜しむように、寂しそうな表情を見せ始めました。

▲ここでもパチリ
▲寒がる友だちはみんなで温める
▲圧巻のパフォーマンス

 参加者のみなさんは、いつも明るく、行く先々で出会った日本人に感謝を示してくれました。各訪問先には、講義後、参加者全員での歌や踊りでお礼。日本語でのあいさつの後、17名が横に広がり、大きな掛け声をかけながら踊る姿は圧巻で、訪問先の方々も喜んでくださいました。踊りには参加者のそれぞれの国を象徴するような動きが取り入れられていて、今回の訪日のために考え、練習して来てくれたものだそうです。

 2月3日、初日に彼らを出迎えた羽田空港に再び戻ってきました。別れの時です。何かあった時のために、長めにとっていた時間もすぐに流れ去ります。時間いっぱいまで話し、最後はみんなで沖縄の歌を歌って、さようならです。大洋州の方々は明るく、涙を流していても、笑顔は忘れません。

 参加者の皆さんがこのプログラムで、得た知識、経験が国へ帰って活かされますように。一人一人が健康でまた日本を訪れてくれますように。願わくば、みなさんが敬意をもってふれあってくれた日本の人たちが大洋州を好きになってくれていますように。

 ヴィナカ・ヴァカレヴ!(どうもありがとう!)

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