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投稿日: 2022年6月17日

JOCA南部地域拠点「法勝寺温泉」オープン!

JOCA南部・法勝寺温泉がオープンしました!

6月11日(土)、鳥取県南部町で長年準備してきた当会の新たな拠点「JOCA南部・法勝寺温泉」がオープンの日を迎えました。記念式典にはお子さんから高齢の方々まで多くの方々が集まってくださり、お子さん連れの若いお母さんからは「これまでの南部町にはなかった“かっこよさ”がありますね」との声をお聞きしました。また、別のお母さんからは「小学生には学童など地域に居場所があるけれど、中学生はあまり行くところがないので、ここに集まれれば。それと地元のお年寄り。わざわざ遠出しないで、歩いて温泉に入りにこられるのがいい」

南部町の拠点は、子ども、若者、高齢者、障害のあるなし、認知症の人も、そうでない人も、日本人も外国人も分け隔てなく、みんなが互いに関りながら、「ごちゃまぜ」で過ごすことのできる空間――ということは聞いていたものの、住民の方々にとって実際の施設を見るのは今日が初めてです。外見は落ち着いたシックな空間ながら、なかに入ると、まるでおもちゃ箱をひっくり返したような賑やかさ。食事処「やぶ勝」は、店内に段差がつけられ、さらに中二階もあるというアンジュレーション(ゴルフコースに見られるような起伏)を意識したつくりで、ちょっとした隠れ家気分も味わえます。

記念式典の冒頭、当会会長の雄谷良成はこう語りました。
「ぼくたち青年海外協力隊の経験者の多くは、途上国へ支援に行きました。ところが、日本のように社会保障が整備されていないにもかかわらず、人と人とがつながりあって笑顔で暮らす現地の方々にたくさんのことを教えられて帰ってきます。そんな『十分にやりきれなかった』『この経験の恩返しがしたい』といった思いをもっているぼくらが南部町を初めて訪れたのは8年前のことでした。当時の坂本町長、そして現在の陶山町長とお会いし、今日にいたりましたことをあらためて皆さんに感謝申し上げます」

 参加された住民の方々の多くが「人口が減っていくなか、ここを中心にまちに賑わいが戻れば」とおっしゃっていました。

南部町の人はとても温かい――そう言っておられたのは拠点の近くに立つ本紹寺の田中さんです。田中さんは東京生まれ。20代の時にお嫁に来たそうで、「まったく環境が違うところでの生活はさぞかしたいへんだったでしょう?」とお聞きしたところ、
「いえいえ、みなさん『しゃーばやき』でいろいろ助けてくれて、すぐに南部町が好きになりました」
「しゃーばやき」とは「面倒見のいい」という意味だそうです。
「私がぜんぜん東京に里帰りしないので、心配した親戚や友だちが南部町に様子を見に来たくらいでした(笑)」
 ただ、ここ数年、コロナ禍で人と人との交流ができなくなっていたとのこと。「この拠点にたくさんの人が集まってくれればうれしい」ともおっしゃっていました。

雄谷はこう続けます。
「(初めて南部町を訪れたとき)、ここがかつての宿場町だったことの面影と空気を感じました。暖簾や幟に使っているのは伝統的な家紋「四つ割り櫻に結び四ツ目」です。法勝寺川の向こうには桜並木が美しい史跡のある法勝寺城山公園があります。結び四ツ目は「人と人とのむすびつき」を表しています。ここは昭和48年に閉校した法勝寺高校の跡地であり、露天風呂の壁に校歌を記しました。『法勝寺』や『大山』などの言葉が散りばめられた素晴らしい歌詞です。こうした伝統を大切にしながら、この場所を皆さんと一緒に育てていきたいと思います」

 続く来賓の方々の挨拶では陶山町長が、
「初めて雄谷会長、そして堀田事務局長とお会いしたとき、『ごちゃまぜ』とはどういうものかよくわかりませんでした。堀田事務局長からは『私たちはここで住民自治がしたい』と言われたのですが、行政に携わる者として『自治はあんまり喜んでするものではないのではないか』と思ったのです。自治会長のなり手さえ探すのは難しい世の中ですから。ところが、今日、まちのなかに(「四つ割り櫻に結び四ツ目」の家紋がデザインされた)赤い旗がたなびき、地域の方々が胸を張って歩いている姿を見て、皆さんが『この地域をどんなところにしたいのか』を考え、『今日一日楽しかったなあ』と思えることが自治なんだろうなと。青年海外協力隊の皆さんは見ず知らず国に支援にいくわけですが、『自分たちがトンネルを貫通させない』ことを心得ていると聞きました。自分たちが掘るのではなく、地元の方々が掘るようにサポートするのだというのです。ここ法勝寺でも、地域の方々がどんな場所にしたいのかを考え、JOCAの皆さんと一緒に取り組んでいく。今日はその始まりの日だと思っています」

 陶山町長に続き、南部町議会議長の影山さんは、
「ここでは就労継続支援にも取り組んでいます。鳥取県内でも多くの事業者がありますが、B型が中心で、A型は少ない。そうした現状でJOCA南部はA型に取り組まれている。とても貴重な場だと思います。今後は高齢者福祉にも事業を広げて、名実ともに『生涯活躍のまち』になることを願っています」
 そして法勝寺地区自治会長の枝野さんも、
「法勝寺に再び賑わいを取り戻し、みなさんの憩いの場になってほしい」と挨拶されました。

乾杯の音頭は前坂本町長です。
「8年前に雄谷さんに会って『ごちゃまぜ』に共鳴したのがそもそもの始まり。その翌年にはJOCAの亀山さんが南部町に来て、その後は多くの優秀なスタッフも連れてきてくださり、こうして拠点ができたことをうれしく思います。ちなみに、私の前任の磯田町長時代、何度も温泉の試掘をしたのに出ませんでした。今日は法勝寺温泉のお湯を少し汲んで、それをもって磯田さんのお墓参りに行こうと思っています。」

陶山町長
坂本前町長


乾杯の後はJOCA南部カラフル「つばめ」の踊り、スポnetなんぶのストリートダンス、サイカッツバンドの演奏、そしてなんぶ太鼓と素晴らしい演目が続き、かつての賑やかさがよみがえったかのようでした。
当時の記憶が鮮明にあるという男性は、
「女性に比べると男性同士が仲良くなるのには時間がかかるけれども、いったん仲良くなれば、(つきあいは)長く続く。(法勝寺温泉が)そのきっかけになるような場所になったら」と期待されていました。
 これからウェルネスの建設など2期工事も控えている法勝寺温泉。思わぬ出会いがたくさん生まれそうです。

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