【ブータン】 ワンチュク国王から帰国隊員に協力への感謝の言葉[2011年12月15日掲載]

ほほ笑みながら両手を合わせ人々に挨拶をされる姿を通じ、物質よりも幸福の度合いを重視する「国民総幸福量(GNH)」の国ブータンを印象づけた、ジグミ・ケサル・ナムギャル・ワンチュク国王。ジツェン・ペマ王妃と共に、国賓として11月15日に来日。歓迎行事が重なる多忙なスケジュールの合間を縫い、2011年11月17日にブータンで活動した帰国隊員との懇談の場に出席された。

写真
マスゲームの練習をする岡田さんと生徒たち
(1996年2月発行の「国際フォト・ニュース」
〔国際文化通信社発行〕より)

約20名のJICAボランティア経験者がワンチュク国王にお目にかかる機会をいただいたが、その一人、岡田(旧姓・木下)直子さん(平成5年1次隊/体育)は、当時皇太子だったワンチュク国王が通う、ヤンチェンフー高等学校で初代体育隊員として活動していた。

当時、ブータンの学校には体育の授業がなく、岡田さんは日本での教員経験を生かし、同校で導入された体育の授業を受け持った。ブータンでは、農作業の手伝いのために学校を休んでしまう生徒もおり、生徒を学校に呼び戻すことも体育の授業に期待されていた。

受け持ちは女子生徒の授業のみだったが、着任してしばらくたった頃、当時のジグメ・シンゲ・ワンチュク国王の誕生日を祝う式典で同校の生徒がマスゲームを行うことになった。その練習がきっかけとなり、岡田さんは学友と共にバスケットボールをする皇太子時代の現国王に、バスケットボールのルールやプレーの技を説明するようになった。

岡田さんの専門はバスケットボールではなかったが、国王は「それまで知らなかったバスケットボールのルールを岡田さんに教えてもらった」と話されていたという。「私は体育の教科書に載っているような、ごく一般的なルールを説明しただけ」と岡田さんは恐縮する。

また、ワンチュク国王は東日本大震災の発生後、首都ティンプーで被災者の安全を祈る会を主催したが、岡田さんの任期中である1995年に阪神・淡路大震災が発生した時には、王室を代表して被災者のために祈る会に参列し、僧侶とともに、30分以上に及ぶ祈りを捧げられたという。岡田さんは、「日本のためにそこまで思ってくださって、本当にありがたいと思った」と話す。

懇談会では、随行員として来日していた隊員時代の教え子にも再会し、さらに、後輩隊員の活動を知ることもできた。岡田さんは「今では協力隊の活動地がブータン全土に広がり、後輩隊員たちが頑張ってくれていると知り、とてもうれしかった」と、感慨深い様子だった。

ゼロから作った体育の授業

写真
授業で縄跳びの指導にあたる関さん(右)(関さん提供)

後輩隊員、関健作さん(平成18年2次隊/体育教師)も国王との再会を果たした一人だ。関さんは地方のタシヤンツェにある、新たに体育の授業が導入された学校に赴任した。体育は学校のカリキュラムに組み込まれていたものの、教員不足により、全国で実施されるまでには至っていなかった。「活動を始めた頃、児童たちは体育がどんな科目かも知らない状況だった。そこで、体育を『体で』学べるよう、いろいろと工夫して授業をした」と関さんは話す。

ブータンの学校には体育、音楽、図画工作といった情操教育の授業がまだあまりなく、赴任した学校には運動用具も十分にそろっていなかった。関さんは、ゴミを再利用したボールや、古タイヤのとび箱を作り、子どもたちが楽しく学べる体育の授業を作りあげた。 

関さんが皇太子時代の現国王にお会いしたのは、学校の休みを利用して首都ティンプーに出かけた時のこと。皇太子が所属するバスケットボールチームの練習を協力隊仲間と共に見学していたところ、試合が終わった皇太子がやってきて、「君たちは協力隊員だね。ブータンへの協力をありがとう。これからもがんばってください」と言葉を掛けてくださったという。

「懇談会では、現地で会った隊員のことを覚えていて、あなたたちの協力にとても感謝している、と言ってくださったことが印象に残った」と関さんは話す。

ブータン隊員時代、活動のかたわらで多くの写真を撮りため、帰国後は、ブータンの人々や国の姿を多くの人に知ってもらおうと、関さんは各地で写真展を開いている。国王の来日期間中にJICA地球ひろばで開催した写真展は、多くの来場者を集めた。

写真展では現地の人々のメッセージも紹介し、GNHの国で暮らす人々の姿を通じて、「幸せとは何か」という問いを投げかける関さん。「国王の来日で巻き起こったブータンブームは、忙しさのあまり心に病をかかえてしまう人すらいる日本で、幸せを追求するブータンに多くの人々があこがれを抱いたことの表れではないかと思う」

ブータンへの協力隊派遣が始まったのは、日本との国交樹立から2年後の昭和63(1988)年。初代はたった一人の農業機械隊員だった。現在も33人の協力隊員が活動し、派遣隊員の累計は360人に上る(2011年10月末時点)。今年はブータンとの国交樹立25周年となる節目の年だ。ワンチュク国王の来日を通じ、青年海外協力隊員のこれまでの貢献が、ブータンと日本の友好関係の礎となっていたことを知る機会となった。

 

「帰国隊員の活動紹介」一覧に戻る

自治体・地域の方

  • 企画調査員(ボランティア事業)を目指す方へ
  • おきなわ世界塾
  • 協力隊ナビ~協力隊経験者と語ろう~
  • マラウイ農民自立支援プロジェクト
  • 外務省主催 NGO インターン・プログラム制度
  • 熊本地震 被災地への支援
  • 青年海外協力隊講座
  • 協力隊OB・OG会情報
  • 青年海外協力隊事業創設50周年記念 映画製作『クロスロード』
  • 協力隊ボイス フェイスブック

ページの先頭に戻る