【グアテマラ】 世界体操2011 歴代隊員の声援の中、オリンピックを目指す[2011年11月1日掲載]

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試合に臨むフアレス選手(右)

ロンドンオリンピック出場の切符を目指して、世界各国から数多くの選手が参加した、世界体操・東京2011。 10月7日から16日まで東京体育館(渋谷区千駄ヶ谷)で行われたこの世界選手権に、グアテマラの男子選手としては初めて、一人の選手が参加した。マイノル・フアレス選手(25歳)だ。

今ではグアテマラだけでなく、中米・カリブの大会でも優れた成績を収めるほどの実力を持つフアレス選手だが、体操競技との出合いは、当時派遣されていた青年海外協力隊員の活動がきっかけだった。

5代にわたり体操隊員が活躍

グアテマラには、1991年から2000年までの10年間、5代にわたって体操競技隊員が派遣されていた。初代隊員の奥畑博幸さん(平成2年1次隊)に次いで派遣された酒井晋さん(平成4年2次隊)は、当時、富裕層の子どものスポーツというイメージが強かった体操競技に、もっと多くの子どもがチャレンジしてほしいと考えた。そして、酒井隊員の配属先である体操連盟の承諾を得て、「未来の体操選手」を発掘しようと、貧困地域にある小学校を2、3校巡回し、7~10歳までの児童を対象に簡単な体力テストを行い、センスと体力がある子どもを約15名選抜。そして一つのチームを作り、練習を重ねた。

選抜された児童のほとんどが経済的に厳しい家庭から来ており、連盟側の配慮で、ひと月25ケツァル(当時の為替レートで約500円)の月謝が免除された。フアレス選手もそんな一人だった。しかし、酒井隊員の下で練習を始めると、彼の才能は、チームの中でもとびぬけて光る存在になっていったという。

みるみる実力を伸ばしていくフアレス選手を見て、酒井隊員は別のコースを受け持っていたグアテマラ人コーチ、セルジオさんに相談。そして、フアレス選手を、競技大会を目指す選手のコースに昇格させた。それから1年もたたないうちに、グアテマラの国内大会(小学生の部)で優勝するほど、フアレス選手はさらに実力を伸ばしていった。

酒井隊員の離任後、3代目の田辺秀夫隊員(平成6年2次隊)、4代目の望月徳彦隊員(平成8年2次隊)、5代目半田将史隊員(平成10年3次隊)と、計8年間、協力隊員とセルジオコーチの指導の下で練習に励んだフアレス選手。しかし、5代目の半田隊員の任期が終わった2001年を最後に、協力隊員の派遣が終了してしまった。

他の選手が指導者不足や経済的な理由から競技の継続を断念していく中、フアレス選手はあきらめずにセルジオコーチと二人三脚で練習を続け、近年では、中米大会で個人優勝、中米・カリブ大会(跳馬)で3位を獲得するなど、国外の大会でも優れた成績を収めている。

隊員の祖国、日本で臨んだ世界選手権

10月9日、フアレス選手は、男子個人総合予選に出場した。当日は、歴代の協力隊員OBも駆けつけ、セルジオコーチとともに久しぶりの再会を喜び合った。そして、隊員OBやJICA青年海外協力隊事務局関係者らがグアテマラの国旗を掲げて「バモス、マイノル(行け、マイノル)!!」とスペイン語で声援を送る中、フアレス選手は演技に臨んだ。

残念ながら決勝に進むことはできなかったものの、体操競技を始めるきっかけをつくった隊員の祖国、日本で初めての世界選手権に出場した経験は、フアレス選手には忘れられないものとなった。「日本での世界選手権に出場できたことには特別な意味がある。本当に奇跡としか言いようがない。当面の目標は、来年1月のロンドンでの世界選手権で良い結果を出し、8月のロンドンオリンピックに出場すること」。試合終了後、フアレス選手は今後の抱負を語った。

「あのグアテマラから世界選手権レベルの選手が育ったこと自体が奇跡的。帰国して17年後に大舞台で昔の教え子の姿を見られるなんて、これぞ協力隊の醍醐味」。大会に駆けつけ、声援を送った酒井OBは話す。 

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左から:5代目隊員の半田さん、フアレス選手、2代目隊員の酒井さん、
コーチのセルヒオさん、3代目隊員、田辺秀夫さん(平成6年2次隊)

18年前、酒井隊員の提案で、体操競技を始めるチャンスを得たフアレス選手の人生は、体操競技と出合ったことで、大きく変わった。逆境の中でも諦めずに競技を続け、世界大会に出場するまでに成長したフアレス選手の存在は、グアテマラ国内でも広く知られるようになり、現地の子どもたちに夢と希望をもたらすヒーロー的な存在となっているという。バモス、マイノル! ロンドンオリンピックを目指して。

写真提供:酒井晋さん

 

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