【愛知県】 「伝える」ことは相手も自分もうれしいもの~4万人が集う夢の学校 愛知サマーセミナーに参加して~リポート:中部支部[2011年8月15日掲載]

今回は愛知サマーセミナーに参加した協力隊経験者の一人、武藤一郎OB(昭和44年3次隊、タンザニア畜産加工)へのインタビューをもとに、イベントの紹介と元協力隊員が一般の方々に生の話を伝える意義について紹介します。

誰もが先生、生徒になれる「サマセミ」

 “サマセミ”の愛称で親しまれている愛知サマーセミナー(公式サイトリンク)は、「誰でも先生、誰でも生徒、どこでも学校」がコンセプトの市民参加教育イベント。毎年協力隊OB/OGも現地での体験や国際協力などについて語る講師として参加しています。

20年以上続けられている“サマセミ”は愛知県が発祥の地。今や全国各地でサマセミ型教育イベントが広がっています。 


愛知サマーセミナー全景
(出典:公式サイト)

運営スタッフは、生徒、教師、父母、NPOなど全て市民で構成され、来場者約4万人を超える大イベントの準備から運営まで行います。“サマセミ”は分野・ジャンルを問わないバリエーション豊富な講座が特徴で、今年はその数1400を超えました。教室の中だけでなく、フィールドワークとして街の中で授業をやってしまおうという試みもここ数年充実してきているとのことです。

2011年7月16日から18日の3連休、名古屋市内の東海中学・高校で開催された今年のサマセミには、11名の隊員OB/OGが講師として参加しました。

 <7月16~18日 愛知サマーセミナー 協力隊OBOGの講座一覧>

時間 講師名 タイトル 内   容

16日2限
17日2限

 池田直樹OB
協力:
武馬千恵OG
鈴木洋司OG
河辺陽子OG

温暖化の加害者は君たちか

深刻な温暖化の影響を受けている国々の現状や、私たちがその加害者になっているかもしれないことなど、報道されていないことをお伝えします。
17日1限  石井範子OG 人生いろいろ 協力隊と海外経験の長い講師が、なぜ協力隊に行くのか、そこで得られるものは何か、若い皆さんに人生のいろいろを語ります。
17日3限  武藤一郎OB
(元外務省職員)
アフリカ開発と日本の協力 貧困や紛争等、依然多くの問題を抱えるアフリカに対して、日本が取り組んできたことを分かり易く語ります。
17日3限  佐屋達紀OB 偉大な陽気さ 協力隊で派遣されたケニアで触れた人々の底抜けに陽気なエピソードや、ケニアから帰国後に携わった震災支援で感じたことを語ります。
18日1限 古川浩一OB・
山本孝次(教員)
復興計画 震災後の「まち復興計画」メンバーになったら、どんなまちづくりをしたいですか。子供や孫、子孫に暮らしてほしいまちづくりを考えましょう。
18日3限4限 TOSHI&TATSU
(OB&友人)
スポーツ・体育を通じた国際協力 協力隊スポーツ隊員として、現場での体験を写真やビデオを用いて生の情報をお伝えします。

 


高校生たちをを前に語る武藤一郎OB

武藤さんのテーマは「アフリカ開発と日本の協力」でしたが、他にも気候温暖化、協力隊紹介、等々の硬軟取り混ぜてのプレゼンテーションに各教室はどこも一杯の聴講者が集まり、高い関心が寄せられました。

特に目立ったのが若い世代で、いまや国際協力に関心をもつ元気な日本人は女性が多いようで、女子高生が熱心に聴講する姿が印象的でした。講座の後で回収したアンケート結果を見ると、感想が具体的で聴講に対して前向きな姿勢が感じられるものばかりで、講師を務めたOB/OGとしては嬉しい限りでした。

このように高校生の参加が多く見られたのは、愛知県の高校の授業では国際協力に関心が寄せられているのでしょうか。もしそうだとすれば、OB/OGの現地体験や考えをそうした授業に(たとえば出前講座のような形で)さらに広く活用してもらえるのではないかと感じました。

 


聴講者と対話する池田直樹OB


画像の人生いろいろを語る石井範子OB

 このセミナーは老若男女を問わず一般市民に広く参加を呼び掛けていますが、参加者の多くは高校生だったことから、協力隊の活動紹介、途上国の実情紹介をする上でも良い機会になったと思われます。それは、各教室において準備したパンフレット(協力隊の募集や任地での活動)の希望が多数あったことや、アンケート結果に具体的なコメントが記されていたことからも、聴講者の関心の高さを感じることができました。

聴講者のコメントをいくつか紹介します。

「アフリカが直面している問題は思っていた以上に深刻なことが判りました」
(女子中学生14歳)

「今回聴いたことは初めてのことばかりで参考になりました」
(女子高生17歳)

「日本とアフリカはお互いに助け合う関係にあり、なぜ日本がアフリカに協力するのかが理解できた」
(女子高生18歳)

「アフリカへの援助の歴史や現在の状況が理解できました」
(主婦)

「70年代から90年代にかけてのアフリカの実情と課題がわかり、大変おもしろかった」
(65歳 男性)

どんな形にせよOB/OGが社会のいろんなところで活躍するには、協力隊事業が正しく、広く理解されていた方が良いのであり、広く知られればOB/OGに対して、国際協力や隊員活動について授業などで話してほしいとの要望が増えてくるものと期待されます。

今回のセミナーに先がけてOB/OGによる講座の広報チラシ(pdfリンク)をつくりましたが、来年のセミナーに向けて、学生だけでなく、一般者や教職員の方々にもより広く広報を心掛ける必要があると感じました。

後日談として武藤さんは、聴講者の一人だった地元の大学研究者と交流がはじまり、それがきっかけで開発協力や途上国問題に関心を持つ人たちと知り合う機会にもなっています。意外に現地の生の情報や経験などを知りたがっている人は多いのかもしれません。そうした対話を通じて、OB/OG自身も自分の得た経験や知識を反芻してより高度なものに高めることも可能と思います。

武藤さんはこう述べています。

「隊員OB/OGの社会還元とは特別なことでなくても、それぞれの環境に合わせて身近なところから出発することが重要なのでしょう。通常のOB/OGが自分の家庭や仕事を持ちつつなにかをするとすれば、活動も限定的とならざるを得ません。しかし、自分たちの経験や知識をいわば内輪の人達だけにとどめず、より広く外部の人々に向けて発信して、より多くの人達に途上国問題を理解する機会を提供できるとすれば、それに越したことはないわけです。そのためにもサマセミのような機会をどんどん利用していくべきでないかと感じています」

「隊員活動の社会還元」はわれわれ隊員OB/OGの主要な活動目的です。今回のセミナーのような行事は、地域社会に広く隊員活動や途上国紹介をしていく有効なチャンスとなるので、是非とも来年はより多くの隊員OB/OGに参加していただき、内容のより充実した講座を提供したいものです。

みなさんの話を聞きたい市民の方々がもっともっといるはずですので、“隠れたニーズ”に応えるべく、ぜひとも来年の講師参加をお願いします。

武藤一郎 氏 プロフィール

1970年:青年海外協力隊 昭和44年度3次隊・畜産加工・タンザニアに派遣、
76年より青年海外協力隊シニア隊員、81年帰国。

1982年:外務省専門調査員としてタンザニアに派遣(3カ月)
1983年:外務省入省、在タンザニア大使館

以来、本省ではアフリカ第2課や経済協力局(現国際協力局)政策課、在外公館では在アトランタ総領事館、在ボンベイ(現ムンバイ)総領事館、在南アフリカ大使館、在モザンビーク大使館に勤務

2005年:外務省経済協力局技術協力課企画官、後に無償資金・技術協力課企画官
2007年:在バンクーバー総領事館 首席領事
2010年:在南ア大ケープタウン駐在官事務所長
2011年:外務省を定年退職、現在は名古屋に在住

 

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