【香川県小豆島】 島おこしプロジェクト「小豆島ガール」の発起人 藤井愛子さん(平成16年度3次隊/ニカラグア/青少年活動)[2011年7月1日掲載]


藤井愛子さん(小豆島町 在住)

山ガール、森ガールとくれば次は 「島ガール」――。

小豆島を愛する女性たちが集結し、女性目線で観光振興を行うプロジェクトチームは『小豆島ガール』と命名された。

「山登りが好きだから私は山ガール!というように、小豆島ガールがひとつのステータスブランドと化して、“小豆島ガールになりたいから小豆島にいってきます!” とか、“ここに住んでいる自分は小豆島ガールだ!” と、島外の女性は憧れを持ち、島内の女性は誇りを持つ。そんな風に小豆島ガールの和が広がっていけばと思っています」

 

女性の視点で島の魅力を発信

プロジェクトは小豆島出身者などの女性8名がチームとなり、メンバーそれぞれが日常生活や取材を通じて小豆島の自然、文化、産業の魅力をWEBサイトで発信する

小豆島のなかで散りばめられた宝物を探すコンセプトで作られたWEBサイトは、女性の視点でひと・モノ・自然の美しさを記事やブログで分かりやすく掲載されている。

人から見つけに

小豆島に住む輝く女性としてオリーブ染め職人、カフェ店長、服飾雑貨デザイナー、Web&グラフィックデザイナー・醤油&オリーブオイルソムリエというユニークな肩書きを持つ女性を紹介。仕事、趣味、地域での活動に熱心に取り組んでいる彼女たちに魅力を感じ、読者に愛着を持ってもらうことが狙いだ。

場所から見つけに

ここではチームメンバーが実際に歩いて作ったモデルコースを紹介。小豆島では観光地以外に夕日スポットや醤油蔵の見学など、小豆島でしか味わうことができない場所や景色がたくさんある。それらの点と点を結びつけた一つのコースを訪れる方々に利用してもらい、小豆島の良さを体感してもらう。

ブログ(日記)は「農ガール」「写ガール」「もぐもぐガール」…のガールづくし。WEBは更新がなければ読者が離れるため、簡単に書けるブログをメンバーが順番に書いていくことにした。

「テーマは『輝く島の日常を伝えること』。内容は自由です。統一感を持たせるために『○○ガール』を決めていきました。みんながこれから書きたい内容をある程度考えたうえで、ネーミングをしていきました」

映画「八日目の蝉」ロケを好機に


小豆島ガールのメンバーたち 

小豆島町役場の商工観光課に勤務する藤井さん。以前から仕事のなかで観光に携わる男性の関係者からしきりと「女性目線がほしい」という声があがっていた。「二十四の瞳」をはじめ映画やドラマのロケ地になることが多かったが、“小豆島×女性 ”をキーワードにした観光振興が課題となっていた。

小豆島では子育て世代になると主婦業に専念される方が多く、観光を考える会議でもメンバーは男性ばかり。女性が魅力を感じる観光をどのようにすべきか頭を悩ませていた。

そんな中、直木賞作家・角田光代氏のベストセラー小説「八日目の蝉」が映画化され、小豆島でロケが行われた。子どもを略奪した女性が逃亡生活のなかで小豆島へ渡り、衝撃の結末をむかえる。女性目線で描かれたこの映画の公開により小豆島を全国に発信して、女性の観光客を増やすチャンスと捉えた。これを契機に島の女性たちで何かできないかと動いたのがプロジェクトのはじまりだ。

2011年2月、藤井さんが発起人となりプロジェクトチームを結成。島の観光に精通した男性からチームに参加してくれそうな女性たちを推薦してもらった。観光業、製造業、WEBデザイナーなどに従事する島民や、小豆島に縁のある関西在住者も加わった20代から40代の小豆島大好き女性が揃った。

「ほとんどのメンバーがそれまであまり知らなかった人たちですが、皆まだ何をするか全然決まっていないのに『やりたい!』と即答してくれたことには驚きでした。すごく励みになりました」

住民のボランティア活動となるこのプロジェクトは、地域社会に貢献する活動を支援する助成金制度「小豆島町協働のまちづくり支援事業」から活動費をサポートしてもらえることとなり態勢が整った。

写真
メンバー会議でWEB内容を検討

映画公開2011年4月29日に合わせてWEBサイトをオープンするため、メンバーで会議を重ねてプロジェクトの活動内容を決めていった。女性の視点でのWEB作りに取り掛かったが、そもそも“女性の視点とは?”の答えが出ず何度も話し合った。

出た結論は「そのままでいいやん」――。
自分たちが実際に見て、歩いて、食べて、経験して思ったことを書く。楽しさが伝わるような写真を撮る。これに気付いてからは、先ずは自分たちが楽しむことをモットーにした。メンバーは随時募集。女性なら誰でも参加OKのガールズパーティも企画した。

小豆島ガールは新聞・テレビで注目を浴び、WEBサイトのアクセス数は次第に増え、掲載されているモデルコースを手にした観光客や、映画の効果で今まで観光ポイントではなかった場所に訪れる方が多くなった。

「最近移住してきた方が、『小豆島ガールの存在も移住を決めた一つきっかけなんです!女性が元気な島は明るい。活動にも参加したい。』とおっしゃってくれました。島に来て仲間作りもできる場所になればいいなと思います」

さらなる好機として7月6日から神戸―小豆島間を結ぶジャンボフェリーが就航、関西方面からの交通手段がより便利になる。藤井さんは小豆島町長に随行して神戸市長を表敬訪問、小豆島ガールのことを熱く語り、神戸の地下街では観光誘致のPRを行った。来年は瀬戸内ゆかりの『平清盛』が大河ドラマで放映される。来る好機に小豆島ガールの次なる企画が楽しみだ。 

大好きだからこそ危機感を抱く


青少年たちへの性教育(ニカラグアにて)

藤井さんは高校まで小豆島で暮らし、大学からは大阪に在住。児童養護施設で子どものケアにあたる職員を務めた後、協力隊でニカラグアへ。

保健省管轄機関に配属し、若年層の母子家庭、エイズ、暴力など若者が抱える問題の解決に向け、地域の青少年たちを対象にしたレクレーションや性教育などを行った。

「貧しいニカラグアだけれど自分にとっては大好きな場所。この国が少しでも良くなるようにしたい、と懸命に努力を続ける現地人パートナーの姿を見て、わたし自身も自分の大好きな場所のために活動をしたいという思いが生まれました」

帰国して小豆島に戻ると想像以上に少子高齢化が進んでいた。海外でなくても地元で取り組むべき課題がたくさんあることを痛切に感じた。自分の大好きな場所はこの生まれ育った小豆島。ニカラグアのパートナーのように故郷のみんなが誇れる場所であり続けるために自分ができることは何かと考え、現在の仕事に就くことを決めた。採用試験の面接で訊かれた「町職員に必要なこと」には次のように答えた。

「事実があってもそれが当たり前であれば問題にならないけど、より良くするために問題を発見し様々な角度から解決していくことが大切。協力隊で諦めない精神が身に付いた。失敗しても色んなやり方を試して何回も挑戦する。大好きな小豆島のためにその経験を活かしたい」

商工観光課に勤めて4年目。イベントや祭りなどに取り組み小豆島の観光や産業を盛り上げる仕事に汗を流す。少子高齢化は依然として悩ましい問題。小豆島には大学や専門学校がなく、高校を卒業すると殆どの人が島を出て、そのまま帰ってこない人が多い。毎年500人の人口減少が進んでいる。このまま放置すると地域の機能が果たせなくなるため、IターンUターン者が増えるよう雇用の創出が必要とされている。

小豆島ガールのメンバーはみんな、一度は島の外に出た女性たち。地元を離れて初めて知るふるさとの素晴らしさに気付き、帰ってきた。小豆島の良さを語らせたら止まらないという。
大好きだからこそ、島の未来に危機感を抱いている。
藤井さんはメンバーのことを「協力隊のように何かの目標を持っている仲間」だという。


鷹鳥展望台からみた瀬戸内の風景

「こんなに宝物がいっぱいある島が今後元気がなくなっていくのは絶対に嫌だ! なんとかするためにできることから始めて活性化に繋げようという、メンバー共通の思いがあります。けれど頑張りすぎず、先ずは自分たちが楽しまないといけない。年齢層、職業が違うメンバーだからお互い刺激を受け合っています」

小豆島ガールで世間にブームを起こすのではなく、アイドルになるつもりもない。長い目で見るスタンスで、じわじわと小豆島が発展していくことを目指す。

 

「なんだかおもしろそうな島だから行ってみたいなと思う同世代の女性が増えていくためのきっかけ屋さんであり続けられたらと思います」

20年後もはるか未来もみんなが好きでいられる島にするための小豆島ガールの宝物さがしは、まだ始まったばかり。 

参考リンク


小豆島ガールWEB
http://shimagirl.jp/

小豆島町ホームページ
http://www.town.shodoshima.lg.jp 

 

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