【沖縄県】大手メーカーを辞め、ガーナで人生をかける、菅野芳春さん(平成16年度3次隊/ガーナ/理数科教師)[2011年2月1日掲載]


菅野 芳春さん(静岡県出身・沖縄県在住)

 

60歳の自分はどう思うだろうか?

青年海外協力隊を初めて知ったのは高校時代。アフリカの貧困を伝えるドキュメンタリーを見た時、「いつかアフリカに行って子供たちのために何か出来ないか」と考えた。大学卒業後すぐに協力隊参加も考えたが、縁あって大手精密機器メーカーで分析装置や半導体検査装置の開発・設計の仕事に就いた。

就職してから何度も募集説明会には足を運んだが、仕事も面白く「今年こそは」と思いながらも時間が過ぎ、とうとう隊員として派遣される年齢制限に近くなった。

 「協力隊に参加したいと思っていたのに参加しなかったら、60歳になった時、自分はどう思うだろうか?」

参加を決意したのは39歳。菅野さんの最初で最後の挑戦が始まった。

たった2年だけでは終わりたくない

派遣国のガーナでは高校で物理・化学とコンピュータの指導を担当。クラブ活動や町を挙げた清掃活動など課外でも多岐に渡る活動を行ってきた。期末休みを利用し、村に住む生徒の家庭訪問も行った。


ガーナの村での共同作業

「最初にその村に入ったときは、典型的なガーナの村という印象で、すごく居心地が良く、不便でも幸せが溢れているように感じました。一週間ほど滞在し村の人たちと話をする中で、実はその村には様々な問題があることがわかりました。特に、一番深刻だったのがマラリアで幼い子どもたちが亡くなってしまうことでした」

何とか子どもの命を救いたい。村人との話し合いの結果、空き家を利用して診療所を作り、そこに常備薬を置くことにした。どの薬があれば最低限事足りるのか、仲間の薬剤師隊員の協力を得て常備薬リストを作成し、村人が管理できるようにもした。

何とか子どもの命を救いたい。村人との話し合いの結果、空き家を利用して診療所を作り、そこに常備薬を置くことにした。どの薬があれば最低限事足りるのか、仲間の薬剤師隊員の協力を得て常備薬リストを作成し、村人が管理できるようにもした。

こうした活動が村人に讃えられ、菅野さんは村の副首長(サブチーフ)に任命された。現在も村を訪れる際には、村の問題を話し合う“長老会議”にサブチーフとして出席している。
現職参加した菅野さんは帰国後、元の会社に復職したが、半年に一度はガーナに戻り、隊員時代の活動を継続していた。

 「たった2年だけでは終わりたくないと思いました。どっちつかずになると思い、思い切ってガーナへの支援一本でやって行こうと決めました。今までは装置の開発でしたが、これからは人や国(地域)の開発をしていきます」

 NGO 「GAFA ガーナ支援交流協会」の設立

これからの人生をガーナ支援にかける決意をした菅野さんは、現地で本格的な支援活動を始めるにあたり、NGOを立上げる作業に入った。

隊員時代に村で行っていた経験を基に、ガーナを中心に草の根レベルでアフリカの貧困削減と自立支援を行うという方針。大手のNGOではできないようなきめ細かな目に見える形の支援、特に「固有名詞の関係」(一人と一人の関係)を大切に活動することをモットーに次の活動項目を打ちたてた。

1. 奨学金よる教育支援:
奨学金制度を運営し、中学、高校、大学生を対象に学費支援を行う。

2. フェアトレード:
女性、障がい者、HIV陽性者など社会的に立場の弱い人たちをガーナの伝統的な織物(ケンテ)やビーズを使った小物などの物づくりによって、経済的に自立できるように支援する。

3. マラリア対策:
村人を対象に蚊帳の使用方法と防蚊対策を指導する。 


フェアトレードで支援している
HIV陽性者団体の皆さんと  

活動メニューが決まると、次は体制作りだ。
最初は活動資金がほとんど集まらず苦しかった。そんなときに、それまで勤めていた会社のパートさんたちが社員に声をかけて、社内で寄付を募って協力してくれた。このときは本当にうれしかった。活動の資金的な支えに加え、パートさんたちの温かい思いがその後の活動の大きな原動力となった。

団体としておこなうためには、スタッフや協力者を探さなければならない。最も苦労するのは、信頼できる現地人協力者をいかにして得るか。隊員時代に築いたガーナ人との人脈や、JICAプロジェクトの関係者などを頼りに協力者を探した。NGOを設立するにはガーナ政府の許可が必要となるため、行政に詳しい協力者を得ることも大切となる。

「JICAとも良好な関係を築いているガーナ人が協力者になってくれました。彼の知人に公務員の方がいて、3人で一緒にいろいろな役所を駆け回り、NGO登録作業を行いました」

申請に2日、結果が出るまで1週間かかった。意外にも菅野さんを悩ませたのが、団体の名称。重複すると申請そのものが却下されてしまう。名付けた「Ghana Association for Friendship and Assistance (GAFA) :ガーナ支援交流協会」は無事に承認され、菅野さんの活動組織が出来上がった。 

 “Local to Local”の関係を築きたい

 しかしこれらの活動はあくまでも切り口と位置づけている。現地の人々の経済的な自立を図るためには、雇用(仕事)を生み出すことが最も重要であると考え、少しずつその手段と方策を練り始めている。仕事を生み出すとはいえ、外部の者が一方的に持ち込んだ仕事を根付かせるのではなく、現地の人々の潜在的な意識を引き出す必要がある。単なるフェアトレードではなく、ビジネスとして対等な関係で取引きし、将来的に現地の人々だけで展開できるような仕組みを作ることを描いている。

「一方で、日本国内に目を向けたときに、地方では過疎化や高齢化で元気がない状況です。これまで離島や山間地で生活をする中で、地方には優れた資源がたくさんあり、才能を持った人材がいることを実感しました。その人たちが活躍できるような 『居場所』 と 『出番』 を作りたいと思っています」

例えばガーナの村と日本の村とを結び、ガーナの村で生産したものを日本の村で加工し販売していくような仕組み、いわば“Local to Local”の関係を築き、両国の村人それぞれの出番がビジネスのなかで生まれていく。構想を実現化するための課題は多く、菅野さんは日々動いている。

沖縄へ飛び込み修行

GAFAの新たな活動にサトウキビの有機栽培を掲げた。生産・加工・販売を行い産業として成り立たたせ、ガーナの貧困住民のための収入向上を図る。


沖縄 サトウキビ畑にて 

「サトウキビ栽培は全く素人です。ただ単にインターネットなどで調べるだけではなく、現場に行って初めてわかるものもある。そこに人がいる限りなんとかなると、思いきって飛び込み修行にいきました」

実践を重んじる菅野さんは昨年一年間、沖縄の小浜島に住みながらサトウキビの栽培方法や黒糖作りを学んだ。技術の習得と同時に離島の人々と接し、その暮らしや文化などに触れたくさんのことを知り、感慨深いものを感じた。沖縄で学んだ生きる知恵がガーナの人々に伝わる日も近い。

 

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