以言伝心、国連と開発の現場に生きる~元国連開発計画(UNDP) 田中敏裕さん(昭和58年度1次隊・ペルー・卓球)

当協会広報紙Springboard 2017年4月号からの転載

人生を踏みしめて、今日の一歩と明日の一歩

 


(ブータン王国)Sport for Tomorrow・日本外務省の支援を受け、知的障害・肢体不自由児童を含めたパロ県の学校で卓球指導を行う

鹿児島の田舎育ちですが、父方はアメリカへの出稼ぎで日系アメリカ人の従兄弟がいて、母方の叔父はブラジル移民という途上国にも似た国際的な環境がありました。子どもの頃から、「ふるさとは、遠きに在りて思うもの」というイメージがあります。

大学でインドシナ難民の支援活動に参加したのが国際協力の第一歩。大学3~4年では体育会卓球部のエースとして練習と試合に没頭していました。卒業後は青年海外協力隊でペルーに赴任し、卓球ナショナルチームの指導や地方の卓球振興などを手がけました。2年半の歳月を全力疾走する中で、今後の人生を考えて今日の一歩を踏み出し、明日の一歩を探すことが選手にも自分にも大切だという人生の経験則を学びました。

帰国後は実業団でも活躍するシチズン時計(株)に入社。仕事をしながら卓球と中国人研修生への日本語指導などをボランティアとして行なっていました。当時は企業の社会貢献という概念はあっても、急激な円高と過酷な競争に生き残ることがまずは先決の時代。このままでは、企業戦士にはなれても国際協力の現場からは離れていくばかりの人生になると感じ、離職を決意しました。

 


 (パキスタン・シンド州)親善大使の女性歌手ハディカさんと、洪水被災の農村女性への生活支援を視察

その後、ドミニカ共和国協力隊調整員やJICAジュニア専門員を経て、コロンビア大学国際公共政策大学院で修士号を取得。在籍中に受けた国連開発計画(UNDP)の競争試験に合格し、1994年ミャンマーに赴任しました。村民参加型の開発プロジェクトを展開し、エイズ対策やマイクロファイナンスの導入に尽力しました。続く中国事務所でも農業・小規模金融・IT・環境プロジェクトを指導。ブータン王国では環境保全や第一回国政選挙など民主化支援を実施し、国民総幸福量の測定、ファッションショーやスポーツ振興支援も行ないました。
2008年以後はミャンマー、パキスタン、フィリピンのUNDP事務所長を歴任し、国連の共同プログラムの議長役や、紛争や自然災害の人道支援を陣頭指揮しました。
 


(フィリピン・ボホール島)Cash for Workプログラムで、地震被災地のガレキ処理を行う被災者たちを応援

国連では相手国政府との信頼関係をつくり、国際社会の信任をうけて、プログラム資金をどのくらい調達できるかが所長の評価につながります。軍事政権だったり汚職問題などもあったりするため、政府と適切な距離を保つことも大切です。プレゼンテーション能力、ネットワーキング能力、タフな精神力、体力、専門分野の知識あるいは政治力が求められます。
協力隊時代から、国際社会では人の数だけ違う意見があることを実感していましたので、どんな会議でも自分の思うところを必ず言葉や文書にして伝えることを心がけるようになりました。

昨年、国連開発計画を早期退職し、現在は早稲田大学大学院アジア太平洋研究科の博士課程に在籍しています。人道・開発支援のあり方を研究する傍ら、卓球を通じて平和で幸せな社会の実現に貢献するSport for Happiness(ブータンの提唱するGNH/国民総幸福量にスポーツで貢献)の活動をブータンやミャンマーで実施しています。 

 

<プロフィール>
たなかとしひろ
鹿児島県南さつま市出身。早稲田大学政治学科卒後、青年海外協力隊に参加(S58-1/ペルー/卓球)。ナショナルチームを率いて全米オープン等で活躍。帰国後シチズン時計、ドミニカ共和国協力隊調整員、JICAジュニア専門員等を経て、コロンビア大学国際公共政策大学院にて修士号取得。
1994年より国連開発計画(UNDP)ミャンマー、中国、ブータン勤務ののちミャンマー、パキスタンおよびフィリピンでUNDP事務所長を歴任。NY本部および国連人口計画インド事務所でも勤務経験あり。UNDP のGlobal Staff Awardなどを受賞。既婚、二男二女の父。

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