ブルキナ球児、高校野球大会で始球式の大役を果たす~実現を支えた元短期隊員、三井俊之介さん[2014年8月1日掲載]

雨の合間の夏日となった7月12日。神宮球場で開催された夏の全国高校野球選手権・東東京大会の始球式に、3人のブルキナファソ球児が登場した。快晴の空の下、観客席からの温かい拍手に送り出されて第一試合ではカファンド・アミール君(16歳)とザブレ・ジニオ君(18歳)が投球。第二試合でサノー・アミール君(17歳)がマウンドに上がり、練習成果を披露した。


第一試合の始球式に登場したカファンド選手とザブレ選手

 


左から二人目が三井さん、右端が出合さん

この日は土曜日とあって、スタンドは多くの高校野球ファンで埋まっていた。投球後、帽子をとって深々と一礼し、マウンドを去る3球児の姿に、観客席からは、「いいフォームだったね」という声も聞こえた。

この始球式を実現させたのは、三井俊之介さん。大学3年時の2009年、青年海外協力隊の短期隊員としてブルキナファソで野球とソフトボールの指導に当たった。3人の球児を日本に招いた「ブルキナファソ野球を応援する会」を立ち上げた元野球隊員の出合祐太さん(平成19年度4次隊)は、現地で一緒に活動した仲。始球式のマウンドに上がった3人は当時の教え子だ。


第二試合の始球式に登場したサノー選手

三井さんは、野球強豪校として知られる早稲田実業野球部の出身。大学2年時から高校野球の公式戦で審判を務めるようになり、審判歴は今年で7年目となる。ブルキナファソ球児の来日を知って東京都高校野球連盟に始球式を打診したところ、快く受け入れられた。東・西東京大会は複数の球場で行われるが、都高野連の好意で、東・西東京大会の決勝戦が行われる高校球児の憧れの地、神宮球場での登板が決まった。

当日、3人の球児はみな緊張した様子で、投球にもその様子が表れていた。「ふだんはとてもいい球を投げるのに、緊張のあまりその良さを見せられず残念そうだったけれど、子どもの頃に比べ投げる球も速くなり、しっかり練習してきたんだということが分かった」と三井さんは感慨深げに話す。自身もこの日の第二試合で球審を務めた。

ブルキナファソ野球を応援する会は、「プロチャレンジプロジェクト」の一環で、今年6月8日に4人の球児を日本に招き、出合さんが住む北海道富良野市を拠点に日本語を学び、地域の人々と交流を深めながら練習に励んでいる。

 

来日から1週間後に行われた四国の独立リーグ、高知ファイティングドックスのトライアウトに、来日メンバーの一人、サノ・ファリードゥ君(16歳)が合格。今年3月にファイティングドッグスの長期練習生になったサンホ・ラシィナ君(15歳)と共に、現在は高知でチームの練習に加わっている。

北海道で練習を続ける3人は、地元のプロチーム、北海道日本ハムファイターズの協力を得て、用具の寄付や技術指導だけでなく、7月16日にはジニオ選手が始球式に登板する機会までいただいた。活動費用は寄付のほか、イベント会場でTシャツなどのグッズを3人自らが販売した売上を充てている。

三井さんが出会ったころ、11歳から13歳だった子どもたち。5年たった今、見違えるほど大きく成長した。現地での活動は約1か月と短かったが、三井さんにとって、ブルキナファソでのボランティアは今も忘れられない経験だ。娯楽が少ないブルキナファソでは、子どものたちの野球への関心が高く、もっとうまくなりたい、という気持ちが眼差しに強く表れていたという。「モノがあふれる日本と、モノはないけれど心の豊かさがあるブルキナファソ。ブルキナファソでのボランティア活動は、生きる上で何が大事なのかを考えるきっかけになった」

社会人となった現在は、週末に練習試合や公式戦の審判を務めながら出合さんとの交流を続け、出合さんの活動を支援する形で野球用具の寄付を呼びかけてブルキナファソに送っている。当日は、在京ブルキナファソ大使館から一等参事官を招き、投球を見守ってもらった。三井さんは大使館と高野連の調整役も務めた。

「ブルキナファソでは、教育の大切さについて考えた。貧困から抜け出すには教育が必要で、野球を通じて子どもたちは相手を慮る気持ちや人を思いやる気持ちを持つことの大切さを学んでいる。大人になったら、野球を通じて学んだことを生かし、国を豊かにする人間になってほしい。そして、野球を通じて日本との交流を深めていけたら」

3人は8月末に再びファイティングドッグスのトライアウトを受験する。みんなの夢が実現することを祈り、彼らの挑戦を温かく見守りたい。

関連リンク

ブルキナファソ野球を応援する会
http://www.burkinafasobaseball.com

 

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