【岡山県】フィリピンで学んだ陶芸の原点~鈴木禎三さん(平成9年度1次隊/フィリピン/陶磁器)[2014年7月1日掲載]

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ろくろを回す鈴木さん

技術を伝えるどころか良質な土を探すことから始まった、フィリピンでの窯業プロジェクト支援。道具も設備も整っていない環境下での試行錯誤の末、見えてきたものは、「やきものの原点だった」と話す。

協力隊の任期を終えて10年余り。今夏、初めての作陶展を名古屋で開く。

 

フィリピン中部、東ネグロス州の窯業プロジェクトに派遣された。素焼きのレンガや植木鉢しか作れず収入が低い陶工に、電動ろくろと窯を使い「焼き締め陶」を普及させ、技術と生計の向上を目指した。「焼き締め陶」とは、釉(うわぐすり)を掛けず、高温で焼成するやきもの。協力隊参加前は、その技法を用いて作られる岡山県の備前焼窯元職人として修業を重ねた。

現地の陶工たちが畑の土を練り作陶する状況に驚き、それでは良い陶器は作れないと、オートバイで各地を回り、土探しから活動を始めた。ろくろ等の道具だけでなく焼成管理用の温度計もない。そんな環境で活動する中、道具に頼らずとも目で温度が分かるほど感覚が鍛えられた。日本では経験がなかった築窯も、3か月に及ぶ試行錯誤の末、完成にこぎつけた。苦労は多かったが、道具や環境を改善させ、作品づくりを究める過程は、日本の作陶家たちがたどった道だと悟った。活動での軌跡を通じ、「フィリピンで学んだのは、やきものの原点だった」と鈴木さんは話す。

帰国後、修行の地、備前に近い岡山県津山市に工房を構えた。協力隊員時代に経験した試行錯誤のおかげで多くの技術が身につき、窯を築き、工房も独力で作りあげた。

作陶も、「もっと自由にやっていいんだ」と意欲が湧き、備前焼に加え釉を使う瀬戸焼も独学で始め、大きく作風が変わった。
 


釉を使う瀬戸焼の技法による作品。技法が大きく異なる備前焼と瀬戸焼の双方を作る陶芸家は少ないという

初代隊員として活動した窯業プロジェクトには、その後、四代にわたり陶磁器隊員が派遣された。数年前、帰国した後輩隊員に会い、かつての教え子だった陶工たちは、観光地で陶器を販売できるほどに技術を向上させたと聞き、うれしかった。同時に、陶磁器や窯業などの職種で協力隊に参加した仲間にも思いを寄せた。「生活が厳しくても諦めず作陶を続けている仲間はたくさんいる。いつかその仲間たちと集まり、協力隊時代の思い出話をしたり、グループ展を開催したりしてみたい」とささやかな夢を語る。

7月末に、初めてとなる作陶展を名古屋で開く。瀬戸焼の著名な陶芸家、鈴木青々氏を祖父に持ち、幼いころから土練りやろくろ回しに親しみ、祖父が集めた陶磁器の名品にふれ、育った。生まれ育った環境よりも、フィリピンでの協力隊経験のほうが、陶芸家としての活動に大きく影響していると言う。いつも温かく、協力的だった現地の人々の姿も忘れられない。「苦労は多かったけれど、協力隊の思い出はどれも楽しいものとして蘇ってくる。会場を訪れる人に、協力隊の良さを伝えたい」。自分を成長させてくれたフィリピンの人々と協力隊事業への恩返しだ。

鈴木禎三 作陶展 (終了しました)


 

会期…2014年7月30日(水)~8月5日(火)  10時~19時30分(最終日は16時閉廊)
会場…松坂屋名古屋本店南館6階美術画廊
(名古屋市中区栄三丁目16番1号)
アクセス:地下鉄名城線矢場町駅 地下通路直結(5・6番出口) / 地下鉄栄駅 16番出口より南へ徒歩5分

TEL:052-251-1111

入場無料
 

 

 

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