【岩手県】買い物に行けない人々に季節の野菜を移動販売~岩手県青年海外協力協会の活動[2013年11月1日掲載]

北海道に次いで面積が広い岩手県。東日本大震災被災地域の仮設住宅には、歩いて行ける距離に店がなく、ちょっとした買い物をするにも、本数が少ないバスではるか遠くまで出かけなければいけない地域がある。そこで岩手県青年海外協力協会のメンバーは、これらの地域での移動販売を行い、買い物に行けない人たちの不便さをなくそうと支援活動を続けている。


2013年9月29日の移動販売の様子

野菜を食べて元気になってもらいたい

きっかけは、2011年初夏、会としてどんな支援ができるかを相談している中で、当時、山田町に住んでいた元協力隊員が挙げた提案だった。「避難所から仮設住宅への被災者の引越しが始まる。避難所では食事が提供されているが、これから先は炊事が必要になる。しかし、被災の痛手が癒えない今、すさんだ食事になりかねない。だいいち、山田町の仮設住宅の多くは市街地から遠く、買い物もままらならないはず。岩手の野菜を奥地の仮設に届ける支援はできないだろうか。岩手の野菜を食べて元気になってもらおう。元野菜隊員も協力できる」――。そこで、宮古市や北上市、遠野市で農業に携わっている元協力隊員が集まり、岩手県沿岸部の山田町内の、市街地から遠い仮設住宅を8か所選び、2011年の夏から移動販売を始めた。
 


野菜の価格。原価で販売するため、市価よりも安い

当時はまだ支援物資が無料で配布されていたため、活動開始当初、「お金を払わなければならないのか」という問い合わせも受けた。しかし、持ち出しの活動ではいつか支援が続かなくなってしまう。そこで、移動にかかるガソリン代は持ち出しで、野菜は初めから原価で販売している。

移動販売を始めてから2年を過ぎた。今では、訪問を楽しみに待ってくれる人も増えてきた。

2013年9月29日の移動販売では、岩手県青年海外協力協会会長の桶田陽子さん(平成16年度1次隊/インドネシア/野菜)、小田島成良さん(昭和61年2年度/マレーシア/稲作)、工藤一弘さん(平成21年度2次隊/フィリピン/家畜飼育)が集まり、トマトやキャベツ、ニンジン、カボチャなどの野菜に加え、柿や梨などの果物を軽トラックとワ ンボックスカーに積み込み、10時ごろから移動販売を開始した。足りない野菜はスーパーから買い付けるなどして、多くの種類を取り揃えて販売に臨む。その 量は段ボール箱20箱以上にも及ぶ。


この日は3種類のかぼちゃを販売

毎回、山田町内の道の駅に集まり、巡回を始める。仮設住宅に到着し、桶田OB会長がハンドマイクで呼びかけると、徐々に人が集まる。60~80歳代の高齢者が中心だ。場所によっても異なるが、毎回、1か所で10人前後の人が集まってくる。販売が終わり、次の場所への移動準備を始めていると、「いつもありがとう。これでも飲んで」と、ジュースを差し入れてくれる人もいる。

販売に加わるメンバーは、その時々で異なる。ときには、県内在住の元協力隊員のつてで、他県からの参加者が加わる時もある。

「できることを続けようと始めた活動が、2年以上続けてこられたのは、みんなの理解や協力あってのこと」。中心になって活動を進めてきた小田島さんは話す。春から秋の間にはさまざまな野菜を揃えられるが、冬になると雪で道路が滑るだけでなく、野菜の種類も限られてしまうため、通常は2週間ごとの販売が、1か月ほど実施できない時期もあった。それでも、必要とする人がいる限り、活動を続けていきたい。「仮設住宅がなくなるまで、移動販売を続けようと、大それたことを話しています」と、小田島さんは今後の抱負を語る。
 


(左から)岩手県青年海外協力協会員の小田島さん、工藤さん、桶田さん

仮設住宅の中で、高齢者は外出の機会が少なく、家にこもりがちの人が多い。そこで、ときには楽しい時間を過ごしてもらいたいと、岩手県の被災地を巡回してコンサートを開いている歌手の奥野ひかるさんを山田町に招く計画を進めており、11月3日に実現できる見通しになった。

休日を返上し、暑い夏の日も、凍てつく冬の日も、定期的に山田町を訪れてきた岩手の協力隊経験者たち。自分たちにできることを、できる範囲でやっていく――途上国で2年にわたり、人々の立場で活動してきたからこそできる貢献が、山田町に還元されている。

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https://www.facebook.com/jocviwate
 

 

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