【岩手県釜石市】被災地に立ち上げた洋裁工房~川村美也子さん(平成6年度1次隊/カンボジア/縫製)[2013年8月1日]

東日本大震災から間もなく2年半。釜石市の市街地には重機の音が響き、被災した建物の取り壊しが進み、復興が少しずつ進んでいるように見える。けれども、人々が以前の生活を取り戻すまでには至っていない。カンボジアで洋裁技術の指導に当たった川村美也子さん(平成6年度1次隊/縫製)は、この地に雇用を生み出し人々の生活再建につなぎたいと、2013年4月、洋裁工房を立ち上げた。

 
釜石で洋裁工房を立ち上げた川村OG。着用しているのは工房の商品、「大漁旗のアロハシャツ」

郷土文化の「虎舞」をモチーフに


マスコット人形の「虎っこ」(左)と手にはめて虎舞
気分を味わえる人形、「虎舞セルフ」

「港町である釜石の土産物といえば、海産物のイメージがある。それを変えるような、新しいお土産物をつくりたい」。川村さんが立ち上げた「釜石マダムミコ工房」 は、地域に伝わる郷土文化「虎舞(とらまい)」をモチーフにしたグッズや人形、大漁旗をアレンジしたアロハシャツやエプロンなど、元気が出る色合いのオリジナル商品を作っている。商品のアイデアは、デザイナーの友人や川村さんの姉が協力をしてくれた。

釜石に伝わる「虎舞」は、「虎は千里往(い)って千里還(かえ)る」という中国の故事から、漁師の無事な帰港を願って踊られるようになったといわれている。震災前は市内各地で受け継がれ、震災後も復興の進展を願い、毎年、虎舞フェスティバルが開かれている。

ふるさとへの恩返しにつながる事業を

協力隊に参加した後、川村さんは、服飾メーカーの海外駐在員やシニア海外ボランティアで洋裁技術指導に当たり、震災が起こった時は、東京で洋裁教室を営んでいた。14歳のときに父の転勤のために愛知県に引っ越すまで暮らした釜石は、沿岸部を中心に津波で大きな被害を受けた。中でも、母親の実家がある市北東部の箱崎町は、周りが海に囲まれた半島部だったため壊滅的な被害を受け、津波の犠牲になった親戚もいた。

東北新幹線の全線運転再開前日の2011年4月28日、川村さんは岩手に入り、翌29日にようやく釜石を訪れることができた。手には、洋裁道具があった。釜石市内の一つの避難所でボランティアとして洋裁教室を開いた。そして、故郷のために何かできることはないかと考え、洋裁教室に参加してくれた人に「裁縫工場ができたら働いてみたいですか」と尋ねたところ、何人かが「はい」と答えてくれた。それが原動力となり、翌月から川村さんは起業すべく活動を始めた。


2011年4月29日、釜石市箱崎町を訪れた川村さん
(菊地写真館提供。写真館の菊地さんも市内只越町で被災し、街の様子を写真に収めている)

起業までの道のりは順調ではなく、被災地での起業を助成する制度はなかなか見つからなかったが、並行して商品開発を進めていた。震災被災地に工房を立ち上げることを知らせるため、自ら盛岡や釜石で期間限定ショップを開店すると、なかなかの売り上げになった。

2012年の秋にようやく内閣府の助成制度を受けられることが決まった。同様に、ずっと見つからなかった工房用の空き物件も、ようやくこの年の年末、市の中心部から車で約20分の場所に見つかった。そして2013年4月、工房のオープンにこぎつけた。

カンボジアと釜石をつなぐ

カンボジアでの協力隊時代には店を立ち上げ、洋裁技術を教えた女性たちが技術を伸ばし、順調に運営できるほどになった。その時の経験が、今の活動にも大きく役立っている。「震災に遭った女性たちに、仕事を通じて元気になってほしい」という願いを実現すべく、数人のスタッフや協力者への技術指導と工房運営のために奔走する日々だ。

今後の目標は、カンボジアの技術を用いた絹織物づくり。数十年前まで、釜石では養蚕が行なわれていたという。川村さんは、釜石に再び養蚕を興し、カンボジアから技術支援を受けて絹織物をつくりたいと考えている。

ふるさとの人々に元気になってもらいたいと始めた洋裁工房の先に掲げた大きな目標。自らの技術を復興に役立てたいとUターンした故郷で、カンボジアでの協力隊、チュニジアでのシニア海外ボランティアの経験が大きく役立っている。

関連リンク

釜石マダムミコ工房 ウェブサイト
http://kamaishimikko.com/

 

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