【岐阜県】「異文化」を知る者同士だからこそ、お互いの気持ちが分かる~特別支援学校の教壇に立つ、三澤洋子さん(平成9年度1次隊/ネパール/体操競技)[2013年3月15日]

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異文化に触れて障がい者教育のヒントを得ようと、休暇を利用して
旅に出る。写真は2010年に旅したマリで、ドゴン族の子どもたちと

 

言葉をうまく話せないけれど、記憶力がよく、難しい漢字でもさらりと書ける子ども。ものごとをうまく説明できないけれど、いつもクラスのムードメーカーになっている子ども――。障がいがある子どもたちの中には、健常者にない才能を持つ子が少なくない。「子どもたちと同等の立場になって接すると、彼らは心を開き、すばらしい能力を見せてくれます」と岐阜県の特別支援学校教諭の三澤さんは紹介する。

三澤さんは、知的障がい、肢体不自由、病弱などの小学生から高校生までの児童生徒が通う総合型の特別支援学校に勤めている。中には、意思疎通を図ることすら難しい生徒も少なくない。

コミュニケーションの壁を乗り越え、一人ひとりの児童・生徒と向き合う。協力隊員時代、言葉の壁にぶつかりながらも身につけた「異文化理解」のノウハウが、いまの仕事に役立っている。

 

特別支援学校の「魅力」

「障がい児が持つ文化や言葉、コミュニケーションツールは健常者から理解されにくい。そういう点で、障がい児は日本にいながらも『異文化』の中で暮らすマイノリティと言えるでしょう。一方、文化や習慣、常識や価値観までもが異なる外国で、言葉が通じず、相手の言葉も理解できず、気持ちがうまく伝わらなくて苦しんだ人は多いと思います。それは、障がい児がおかれている立場と同じなんです」

障がい児がおかれている立場は、協力隊時代に自らが経験したもの。そう考え、生徒たちに接している。ただ、自分の意志で異文化に飛び込む協力隊員に比べると、障がい児の立場のほうが辛いのではないかと三澤さんは加える。だからこそ、言いたいことを伝えられず、パニックを起こしたり、ときには暴力的になる子どもがいても、彼らの心の声に耳を傾け、理解しようと努める。

三澤さんが障がい児教育の分野に進もうと考えたのは、協力隊を終えた後のこと。青年海外協力隊経験者の特別入試枠がある大学に編入し、学校教員を目指して教育実習をした中で、学級も授業も、複数名の教員が組んで教える「チーム・ティーチング」を実践する特別支援学校の指導体制に感銘を受けたことがきっかけだ。

チーム・ティーチングにより、特別支援学校では、クラスの生徒全員に同じ授業を行うのではなく、生徒一人ひとりのレベルに沿った「個に合わせた教育」が実践されている。三澤さんも同僚の教員と組み、高校生の国語や社会、英語など、さまざまな教科を担当している。

障がい者と健常者がともに支えあう社会に

特別支援学校では、生徒たちが卒業後に仕事を持ち自立できるよう、カリキュラムには職業訓練として作業学習が盛り込まれている。また、積極的に企業を訪れ、就労体験の受入を依頼したり、生徒たちの特長をアピールしたりして、就労先の拡大に取り組んでいる。近ごろは、障がい者が働きやすい職場づくりに積極的に取り組む企業が増えているという。

「障がい者と健常者が、同じ地球に生きる人間としてお互いをよく理解し合い、それぞれの得意とするところを生かし合い、苦手なところは助け合っていくことで、障がい者と健常者が共存共栄できる社会になってほしい」

ネパールでの協力隊時代は、要請とのミスマッチで、活動場所がなく辛い経験をした。しかし、自らの意志で進んだ協力隊を後悔したくないと、積極的に活動場所を見つけ、2年間の活動を成し遂げた。帰国後も協力隊事業との関わりを持ち続け、現在は岐阜県OV会の会長として、青年海外協力隊応募促進や、派遣中の県出身協力隊員支援、協力隊経験者同士の交流を図るイベントの開催など、さまざまな活動に携わっている。

異文化理解と障がい者支援。協力隊経験者がコアとなり、この二つのものをつなげている。協力隊事業の成果に障がい者支援が挙げられる機会は多くないが、三澤さんの話を聞く中で、この分野にも協力隊経験者の力が大いに生かされていることを確信せずにはいられない。

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JICAボランティア岐阜県OV会

 

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