子どもたちが夢や希望を持てる街に~大阪市・此花区長に就任した西原昇OB(平成9年度1次隊/ジンバブエ/映像)

公募により、大阪市此花区長に選ばれた西原昇OB(平成9年度1次隊/ジンバブエ/映像)が8月1日に就任しました。今回は、就任に先立ち、大阪府OB・OG会の7月定例会で就任への抱負を述べた西原OBの講演内容を紹介します。

協力隊から帰ってきて13年くらいになります。ずっとユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)で働いていたのですが、区長公募を知って、コミュニティの長として何かができるというチャンスがあったものですから、去年の12月に応募させていただいて、まさかのなかで「合格」をいただいたわけです。

みなさんから「おめでとう」と言っていただくのですが、まだ何もしていないんですよ。「おめでとう」と言われるのは、3年8カ月後の退任するときに言われるのがうれしいと思うんですよ。まだ就職試験を通ったばかりですから。

公募による人間が区長をやるという意味は、今までやってきたことが果たして正しいか、ということですよね。皆さんも区政にはいろいろなことを感じられていると思います。「縦割り行政」や「行政みたいな・・・」と例に挙がるくらい、私たちとは感覚がちょっとかけ離れていると言いますか、私自身、民間企業にいたときにはそんな感覚を持ったし、協力隊に行くときもそうでした。

すべての世代に関心をもってもらえる区政を

あまり言うと怒られるかもしれませんが、僕は正直言って、区長と協力隊は、結構似たようなところがあるかなと思っています。やはり何かをやるというのは、そこに住んでいる方々のニーズをいかに掴んで、その中で自分のやることは何かということを知るということ。これは皆さんがやってきた協力隊の活動だと思うのですが、区長の仕事もまったく一緒で、僕は今、此花区でこれをやりたい、あれをやりたい、と言っていますが、それは区民のニーズかというと、まだ分かりません。僕がやりたいと思っていることを区民の皆さんがやりたいと思っていないかもしれないので、それはしっかりとニーズ調査をしていきます。

皆さんの年代って、一番区政とかに興味がないでしょう。自分の区がどのくらいのお金を使って何をやっているかなんて、知らないですよね。本当はそこがいけないところです。大阪の新しい区長が24人公募で選ばれたことによって、区って何をしているのか、と関心を持つことがまず第一歩です。第一歩として、いろんな変わり種の区長が言うことを聞いて、やることを見ていただいて関心を持っていただきたい。「このお金の使い方、ってどうなん?」とどんどん言っていただきたいですね。

実は、20~40代の区政に対する関わり方がすごく薄い。50代、60代の地域活動をしっかりやっている方々は区政に対して活発なのですが、その方々の意見が全部ではないわけです。僕は、これから若い人たちがどういう風に日本を支えていくかということに、一番関心があります。もちろん高齢者も大事ですが、日本はこれから人口が減っていき、高齢化社会になります。その中で若い世代が希望もなく内向きになって、そんな人たちが増えたら日本はダメになります。僕はダメにならないようにしたい。そのためには年配の人たちと一緒になって、若者をどう育て、守っていって、コミュニティの中で生き生きしていただくか、というのが大事だと思っています。原点としてはそういうことです。

若い人たちが生き生きすると、絶対に年配の方々も生き生きするんです。自分のこれからの未来を託す人たちが、しょぼくれていて、地域や市や県や国が良くなるとは思わないし、それを見ながら亡くなっていくのはかわいそうですよね。要は、希望のある若者たちに託せるような街にしないといけない。僕はそこが一番のキーポイントだと思っています。

顔を知られることがニーズ調査になる

これから、此花区というところで何ができるかをじっくり探っていきます。あまり市政に発言しない人々のニーズをどうやってつかんでいくか。そのために、実はテレビにも積極的に取材してもらっているんです。昨日もPTAの会合に参加したあと飲みに行ったら、町内会のおっちゃんに「新区長が飲んでいるらしいぜ、呼んでこい」と呼び出されて、そこにいたママさんたちに「テレビ見たよ」と言ってもらえました。これがまず第一歩。僕のことを知っていただいて、「実はこうなのよ、こうなのよ」と話してもらうことが、まず第一歩です。

「24区の区長は区民に顔を知られるようになれ」というのは、そこでニーズを引き受けろということです。すでに第一歩がスタートしているのかなと思っています。だから、こんなに大騒ぎになって皆さんには申し訳ないのですが、こうやって報道されることも、選ばれた以上、不可欠なことだと思っています。

僕は協力隊のOBです。大阪でOB会活動もずっとやってきました。そして「協力隊をもっと広報しなければいけない」とずっと言い続けていましたから、それで取材拒否するわけにはいきません。僕が失敗すると協力隊の名を傷つけることになりますので、そうならないように、本当に精一杯3年8カ月間、やっていこうと思っています。

明るい未来をつくる

区長になったらいろいろなことをやっていこうと思っていますが、一人の人間ができることには限りがあって、もちろん職員の皆さんと一緒にやっていかなければいけないし、もっと言えば、もし皆さんがこれから、国際協力のイベントや何かをやろうと思ったときに、「此花区でやったらどうかな?」と考えてみてください。

僕は協力隊のOBということをあちこちで言っていますので、そういう方々が協力してくれるということは、此花区の人たちも分かっていると思います。いろんな職種のプロフェッショナルが集まっている会なんてほかにないですよね。教育者から技術屋さん、医療系までいろんな人たちがいるわけですから。その皆さんの技術を、小さいかもしれないけどコミュニティで活用していくことによって、社会が明るくなるようにしたいのです。

人間は現在に生きているのではなく、未来を見つめて生きている、と僕は思っています。先に何かがあるから頑張っていける。皆さんも見てきましたよね、途上国の人々を。今は食べるものに困っているけれど、もしかしたら未来には食べられるようになるかもしれないと思って、あんな笑顔になっているんです。

いま日本は逆ですよ。修復できないかもしれないと思っている学生が多いから、みんな暗い顔している。人間としてそれは違うと思います。やはり未来に明るいものを見つけられるような社会をつくっていかなければならないと思っているし、子どもたちや学生たちが育ってほしいと思っています。そして、全ての年齢層に「やっぱり日本っていいな」と思ってほしいのです。

8月1日には区長に就任します。協力隊の経験を誇りにもちながら、自分なりにやっていきたい。僕は24区の中でも変わり種区長と言われていますが、その力を私なりに発揮していきたいと思っています。
 

(初出:JOCA発行『Spring Board』2012年9月号)

 

 

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