【長野県小谷村】「アフリカでの経験」で村に活力を ~地域おこし協力隊員として活動する2人の元アフリカ隊員[2012年9月3日掲載]

総務省の事業として、2009年に始まった「地域おこし協力隊」。全国の自治体が、高齢化や過疎化などにより、地域社会の担い手が減りつつある地域に、都市部からの住民を受け入れ、地域の活性化を図る事業だ。スタート時の2009年度は全国でたった89人だった隊員は2011年度には413人(※)に増加。この制度が全国に根付きつつある様子がうかがえる。

そして、途上国での経験を日本の地域おこしに生かそうと、日本に帰国後、「地域おこし協力隊」に転じる青年海外協力隊経験者も少なくない。長野県北西部に位置する安曇野郡小谷(おたり)村では、現在、2人の元アフリカ隊員が活動中だ。

※総務省「地域おこし協力隊 平成23年度取組状況」より

北アルプスの麓で

日本百名山の一つ白馬岳を望む、自然豊かな小谷村。スキーや温泉を楽しもうと、かつては年間200万人の観光客が村を訪れていた。しかし近年は観光客数が激減し、働き口を求める人々が村外に流出。1960年に7,900人だった人口は現在3,200人にまで減少し、高齢化も進んでいる。

人口減少を食い止めなければ、村がなくなってしまうかもしれない――。そんな危機感から、小谷村役場は2011年7月に特産品推進準備室を設置し、特産品開発や古民家利用などを通じて地域に産業をつくり、雇用を生み出す取り組みに着手。そして同年の10月に、2人の地域おこし協力隊員が加わった。

これに続き、2012年5月に「地域づくり応援団員」として、集落の維持などを担う5人の隊員が着任した。


村の風景

小谷で見つけたもの

 


5月に行われた「塩の道祭り」での段原さん(中央)。小谷を通り、
越後と信州を結ぶ「千石街道」はかつて塩や麻が運ばれていた

2011年10月に地域おこし協力隊員として小谷村に着任した段原晴美さん(平成20年度3次隊/セネガル/村落開発/広島県出身)は、村役場の特産品推進準備室に配属され、雇用創出のための産業づくりを視野に入れ、伝統文化の継承と観光振興に取り組んでいる。

その一つが、古くなった布団や着物を裂いて織り直す「ぼろ織」だ。豪雪地域として知られる小谷村では、農作業ができない冬の間、女性たちがわら細工やぼろ織りなどの手仕事に励んでいた。しかし人口の減少とともに受け継ぐ人がいなくなり、今では、主に結婚などで村の外からやってきた人たちからなる「織姫の会」がその文化を継承している。
 

 


セネガルで活動していたころの段原さん

段原さんも自らぼろ織りの技術を学び、その魅力を広く知らせようと活動している。ぼろ織のファンは多く、先日、展示即売会が開かれた折は、初日会場前から人々が行列をなし、並べた商品があっと言う間に売り切れるほどの人気だったという。

会社員を経て協力隊に参加した段原さんは、派遣されたセネガルでの活動で「電気や水道がなくても暮らしていける人々」の生活から学ぶことが多かったという。そして、日本の過疎地域も同じなのではないかと地域おこし協力隊に応募。現在は、小谷村の伝統文化から学ぶ日々だ。

9月と10月には、企画したツアーを開催予定。村にある奉納(ぶのう)温泉で、村でとれる上質のハチミツを楽しむ会を開く。

着任当初は苦労もあったが、それを乗り越えた今は、村での生活が本当に楽しいという。
「任期の間に、ぼろ織りなどで収入を得るめどをつけて、農業をしながら田舎で暮らすモデルケースをつくりたい」。段原さんの視線の先には、小谷村での「これから」が描かれつつある。

集落の「インフラ整備」を担う


田んぼの畔づくりに加わる加藤さん(右)

ザンビアで青少年活動に携わった加藤隆博さん(平成21年度3次隊、埼玉県出身)は、今年5月に着任した5人の隊員の1人だ。新隊員らはそれぞれの地区に配属され、特産品開発に向けた伝統食文化の継承や、祭りなどの催事を担っている。

加藤さんは、大網(おあみ)地区で、伝統食の「栃餅」や「笹寿司」の開発・普及にあたるほか、マンパワーとして、堰(せき)普請や道普請、田んぼの畔づくりなど、集落の「インフラのメンテナンス」を担う。水道が敷設されていない大網地区では、人々は沢の水を堰で家や田んぼに引いて使っており、堰はいわばライフラインだ。

先日は山開きイベントの運営に加わり、栃餅を多くの人に知ってもらおうと、イベント会場で販売。好評を博し、完売したという。

加藤さんはザンビアの地方にある施設で、HIVで親を亡くした子どもたちに体育などの情操教育の授業を行い、子どもたちのサポートを担っていた。当時の経験がどのように役立っているか聞くと、「(小谷村では)援助する側とされる側の関係を対等に考え、活動している。それができるのは、協力隊での経験があるからだと思う」と話してくれた。

上記の活動のほかに、他の地区で活動する地域おこし協力隊員と連携し、村への定住者増加に向けた婚活イベントを企画しており、現在はその準備に奔走する日々だ。 


ザンビアで子どもたちに体育を教える加藤さん

「村から期待されているのは、雇用機会を創出し、村外に出ていった人たちが戻ってこられるようにすること。そして村に暮らしている人たちにも、もっと幸せな生活を送ってもらえるよう、地域おこし協力隊員として取り組んでいきたい」。加藤さんは活動への抱負を語る。

仕事の後はのんびりと時間を過ごし、村での生活を満喫しているのかと思いきや、二人とも、村の人たちとの付き合いや業務の打ち合わせなどで、毎日、夜まで忙しい日々を送っているという。

取り組みはまだ始まったばかり。アフリカでの経験が小谷村に新しい風を吹き込み、地域再生の原動力となることを期待したい。

関連リンク 

小谷村 ウェブサイト

総務省「ニッポン移住・交流ナビ」

 

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