【茨城県】協力隊経験者として求められる活動に応えたい ~OB会連携による、福島での除染ボランティア活動(茨城県OV会 箕輪克美さん 平成6年度3次隊/ホンジュラス/電気工事)[2012年7月2日掲載]


高圧洗浄による除染作業
(福島市、2012年6月実施)

福島第一原発事故の影響は、今もなお、多くの人々の生活に暗い影を落としている。中でも、放射能により汚染された地域の復旧は、津波の被災地に比べ、大幅に遅れている。

青年海外協力隊茨城県OV会、栃木県青年海外協力隊OB会は、2011年7月より、福島県北部の南相馬市を中心に放射線量の測定や除染活動を行ってきた。まず、現地で支援に当たっている「安心安全プロジェクト」や社会福祉協議会などの関係者に情報収集やニーズ調査を行い、翌8月には2日間にわたり、「安心安全プロジェクト」が実施する放射線量マップ作成のための測定に参加。そして9月からは、南相馬市や福島市での除染作業の支援に加わっている。

活動にかかわる一人、茨城県OV会の箕輪克美(みのわ・かつみ)さん(平成6年度3次隊/ホンジュラス/電気工事)に話を聞いた。

まずはできることから

協力隊の任期を終え帰国後、自主的にボランティア活動はしていなかったという箕輪さん。しかし、東日本大震災が発生したとき、「自分に出来ることは何か?」と考え、できることから始めようと、個人で東北でのボランティア活動に参加した。その後、茨城県OV会でも何か活動できないかということになり、栃木OB会との連携が持ち上がった。

当時、JOCAが岩手県と宮城県で復旧復興支援を始めていたことから、JOCAの支援が入っていない福島で活動することに。そして、栃木県OB会高橋会長、茨城県OV会熊谷会長らとともに、2011年7月から活動を始めた。 

活動に当たり、常に現場のニーズを踏まえ、支援をするようにしているという。

「ボランティアとして活動する人の中には、現場から要請されていないことを支援として行ってしまう人もいる。しかし帰国隊員は現場のニーズを聞き、冷静に活動しようという姿勢があると思う」と箕輪さんは話す。


南相馬原町区の保育所除染作業(2011年9月実施)

9月からは除染ボランティア活動を始めた。最初の活動場所は、南相馬市内の保育所。当時、この保育所がある地区は緊急時避難準備区域に指定され、保育所の子どもたちは隣町に避難し、施設も閉鎖されていた。除染作業は施設の屋根や外壁を高圧洗浄し、敷地内の雑草を刈り、重機が入らない狭い箇所の汚染された土壌の表土を削り取った。

表土を削る時は、放射線を測定しながら線量が合格値に達するまで、約10センチほどひたすら地面を掘り下げていく。残暑が続く9月。屋外の作業は体力面からも辛かったというが、参加者がスコップを手にひたすら地面を掘る姿を見て、箕輪さんは「本当に心が打たれた」と話す。

その後9月末にこの地域の緊急時避難準備区域指定が解除され、保育所は10月11日に再開したという。

現場に入る心構え

被災地で活動するボランティアらは、活動前に、社会福祉協議会などを通じてボランティア保険に加入しなければならない。だが、除染作業はボランティア保険が適用されないため、除染ボランティアは自己責任における活動となる。 


南相馬小高区での線量測定作業
(2012年4月実施)

そこで、放射線量が高い地域での活動には、作業中の内部被爆防止に注意を払っている。現場では、作業中の累積被爆量をチェックしたり、内部被爆を防ぐために、空気中にチリとして漂う放射線物質を体内に取り込まないよう、防塵マスクを着ける。

そして、活動前には線量計で地上1メートルと地表面の放射線量を測る。

機器によっては測定値に多少の誤差があるといわれているため、市町村が公表するデータと比較したり、持ち込んだ線量計の各測定値と比較する(線量計の校正はされておらず、線量計自体が汚染されている場合もあるため)。

今年に入ってからは、4月に線量測定、5月は福島市にある児童養護施設で除染作業を行った。

現在では各市町村も除染作業を始めているが、汚染物質の仮置き場が確保されていない ため、除染作業がなかなか進まないという。除染する際は表土を5~10センチはぎ取るため、一回の作業でもたくさんの土を処分しなければならない。箕輪さんらの活動でも、除染で取り除いた土を置く場がなく、敷地の隅に置かざるを得ない状況だという。福島に暮らす人々のためにも早く除染を進めなければいけな い中、皮肉にもこのような問題が作業の進捗を阻んでいる。

震災の記憶を風化させてはいけない

震災から1年を過ぎた今、感じるのは、震災の記憶が風化してきているということ。「関心を持ち、少しでも東北に目を向けることが大切ではないかと思いながら活動している」と箕輪さんは活動を続ける動機を述べる。

「100パーセントリスクがない、とは言い切れない」と箕輪さんは言うが、安全と断言できない活動に身を投じる、その動機はどんなところにあるのだろうか。

「求められているならば是非応えたい、という気持ちがあるから」。箕輪さんの答えだ。

その背景には、茨城県には福島県から約3,700人が避難しており、震災から1年3か月たっても孤立している人が多く、状況が改善されないまま現在に至っているという現状がある。

今年5月末には、水戸市内に、茨城NPOセンター・コモンズが中心となり、NPOや社会福祉協議会など約20団体と連携し、福島県などから避難してきた人を支援するための「ふうあいネット」が立ち上がった。福島県の情報を提供したり、孤立防止のためのコミュニティ―づくりなどを支援していくという。

「問題から目を背けるのではなく、真剣に考えなくてはならない。反原発運動と同様、これは『対岸の火事』ではなく、多くの人がこのことに少しでも関心を持ってほしい」。箕輪さんの言葉を聞き、被災地支援の意義を改めて感じずにはいられなかった。

※今後の除染活動の予定は未定(事前に連絡をすれば、除染活動に参加可能とのこと)。

関連リンク

青年海外協力隊茨城県OV会

栃木県青年海外協力隊OB会

安心安全プロジェクト

 

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