語学習得のコツは、具体的な目標をイメージすること-英語習得のノウハウを伝える松本秀幸さん(平成6年度3次隊/モロッコ/電子機器)[2012年2月15日掲載]

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セミナーで講師を務める松本OB

少し前、ある企業が社内の公用語を英語にしたことが話題になった。公用語とまではいかなくても、英語を使う場面が以前よりも増え、TOEIC®の受験者数の増加が示すように、社会人の多くが英語をブラッシュアップする必要に迫られている。しかし、勉強しても思うように成績が伸びない、あるいは、勉強する時間が取れないなど、悩みを抱えている人は多いのではないだろうか。

英語だけでなく、中国語、仏語もマスターし、会社員のかたわら TOEICテスト満点英語習得コーチとして活動する松本秀幸さん(平成6年度3次隊/モロッコ/電子機器)は、「明確な目的をもって学習することが、語学上達のコツ」と言い切る。「しかし、その目的は具体的であるべき。例えば、今の職場でどんな活躍をしたいか、英語でプレゼンテーションができる、会議で滞りなく意見を述べられるといった明確な目標があれば、漠然と勉強するよりも短期間に語学を習得できる」と松本さんは強調する。

英語は世界を開く「カギ」

語学学習で大切なのは、少しでもいいから毎日勉強を続けること。例えば、通勤で電車に乗る30分でも、毎日英語の学習に充てるだけでいい。そこで、松本さんは、「いつでもどこでも好きなことで英語を使って世界を広げる」をコンセプトに、スマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」を使い、好きなことで時間がある時に学べる英語学習法を提案。これまでに3冊の本を出版した。

もともと語学を学ぶことが好きだった松本さん。中学生の頃に、効率よく語学を習得するコツをつかみ、電気工学を専攻する高等専門学校生のころには英語検定準1級に合格したほか、TOEICでも830点を獲得した。

国際企業に就職してからも学習を怠らず、入社3年目の時に受験したTOEICでは930点をマーク。語学力をさらに伸ばしていった。

社会起業の原点は協力隊経験

松本さんは、書籍の売り上げの一部を子どもの教育支援をするNGOに寄付することで、英語習得コーチの仕事を社会にも役立てようとしている。その原点には、モロッコ隊員時代、教育を受けられない子どもたちに出会い、何とかしてあげたいけれど何もできなかった、という思いがある。 

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壊れたビデオデッキを分解・
修理する松本さん

勤務する企業から休職が認められ、協力隊に参加したのは26歳の時だった。出発前、活動先で使用するフランス語は派遣前に必要レベルまで習得した。一方、アラビア語は日常生活に必要なフレーズの現地での習得のみにとどめた。アラビア語の習得は他の言語より難しく、辞書を引けるまでに2年、習得には10年が必要といわれるためだ。

そして、大きな期待を持ってモロッコに渡ったものの、派遣先の業務は思い描いていた活動とは大きくかけ離れたものだった。

着任したのはモロッコ保健省の衛生教育セクション。電子機器を扱う業務ではあったものの、映像機器の扱いが多く、知識がないビデオカメラでの撮影を依頼されるなど、専門外の仕事だった。戸惑うことばかり。でも、そこで諦めてはいけないと 気持ちを切り替えた。「最初の1年は辛かったが、2年目はモロッコ人以上にモロッコ人らしいと冗談を言われるほどだった」と当時を振り返る。

 

 

「これからの時代、ミスマッチの現場だから仕事ができないというのでは、社会で淘汰されてしまう。与えられた仕事をどういう形で進めるのがいいか、自分の頭で考え、進めいけるようでなければならない」。当時の苦労から、松本さんには社会人としての強さが備わった。

帰国してから10年がたち、担当だった国際プロジェクトの仕事が一段落した時、たまたま『マイクロソフトでは出会えなかった天職』(ジョン・ウッド著、武田ランダムハウスジャパン発行)を読んだ。著者はNPO「ルーム・トゥ・リード(Room to Read)」を立ち上げ、途上国に図書館をつくる活動をしている。

協力隊員時代、モロッコで教育の機会を受けられない、多くの貧しい子どもたちに出会った。「その子どもたちが親になると、教育の機会を受けられない子どもが生まれる。解決策を見つけられず、その子たちに何かしてあげたかったという思いが、帰国後10年間ずっと心の底にあった」と松本さんは話す。自身も結婚して親になり、子どもを思う親の気持ちが分かるようになっていた。

「仕事をしながらでも社会貢献は可能だ」という著者のメッセージに背中を押され、社会起業をしようと思い立つ。だが、会社員の収入では社会貢献に回せる額はわずかだった。そこで、好きなことで収入を得て、それを社会貢献に役立てようと、会社勤めのかたわら、好きだった語学学習のノウハウを生かし、その人の目的に合わせたレベルの英語を指導する「英語習得コーチ」としての活動を始めた。

iPhoneの機能を活用する

そして、2009年に購入したiPhoneとの出合いが、松本さんに大きなアイデアをもたらした。

初めて手にしたときに、「手のひらに語学学習に必要なすべての機能が備わっていると感じた」と松本さんは話す。通話、音声再生だけでなく、録音やインターネット接続、あるいは、日本語、英語のほか、仏語、中国語など多くの言語に対応している。

松本さんの趣味は語学学習。そこで、iPhoneのどの機能を語学学習に生かせるか、さっそく研究を始めた。

スマートフォンの中でも、使いやすさに定評があるiPhoneは、2008年の日本での発売以来、多くのユーザーを得たヒット商品となっただけでなく、スマートフォンブームの火付け役となった機種だ。電車に乗り込むと、乗客の多くがiPhoneの画面とにらめっこしている場面に出くわすことも少なくない。

多くの人が英語を学びたいと考えているが、「時間がない」「やる気が続かない」「お金をかけられない」「英語を使う機会がない」「素材が多すぎて選べない」という5つの悩みを抱えているとされる。松本さんは、iPhoneのさまざまな機能を活用し、「いつでもどこでもできる英語勉強法」のセミナーを開催。その様子を自身のブログに掲載したところ出版社からコンタクトがあり、2010年7月、『iPhone英語学習法 スキマ時間で英語力を上げる55の技』(日本実業出版社発行)の出版に至った。

時代の傾向とうまくマッチし、松本さんの書籍は大きな反響を得て、半年余りで売り上げは2万部に達した。そして次の本の出版が決定した。

松本さんは、語学習得に必要なのは、英語で考える「英語脳」をつくり、自分の意見を英語で述べられる「自分英語」をつくることだと考える。そこで、たくさん書き、読み、話すことが必要であり、そのトレーニングに、iPhoneのアプリや録音機能、音声再生機能を活用する。さらには、学習書を電子書籍化として持ち歩けば、気軽にどこでも好きな時に英語の勉強ができる。

続編として、英語をインプットする『iPhone英語勉強法 多読&多聴トレーニング』を2011年3月に出版。そして今年1月には、アウトプットする方法を述べた『iPhone英語勉強法 書く&話すトレーニング』(ともに日本実業出版社発行)が発売となった。現在は4冊目を執筆中だ。

「すべての人が英語を学ぶ必要はない。けれども、英語を使えば、世界はより広がる」。目的を持って人生を切り開く時、英語は可能性を広げる助けとなる。松本さんの言葉には、自身の経験に裏打ちされた説得力がある。

リンク

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新刊『iPhone英語勉強法 書く&話すトレーニング』
(日本実業出版社発行、2012年1月発売)

 

松本さん公式ブログ:http://ameblo.jp/kaizencoach/
Twitter:@hide358
Facebook: http://www.facebook.com/iphoneigo
メールアドレス:info@gogoenlish.jp

 

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