世界への思いをいつか映像作品に-3次元CGデザイナー、佐野雄太さん(平成16年度2次隊/パプアニューギニア/理数科教師)[2012年2月1日掲載]

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ミニ熱気球の実験方法を教える佐野さん(中央)

ノルウェー語で、北欧神話に登場する戦士を指す「ベルセルク」――漫画家、三浦建太郎さんが20年にわたり連載を続けるコミックだ。海外でも人気を集め、これまでに出版された36巻が全世界で約3,000万部発行されたという、驚異的な作品でもある。

このたび3部作で映画化され、2012年2月より公開されるこの作品の映画制作に、3次元コンピュータグラフィックス・デザイナーとして関わった帰国隊員がいる。制作会社「STUDIO4℃」に所属する、佐野雄太さん(平成16年度2次隊/パプアニューギニア/理数科教師)だ。

 

欧米を中心に普及する3次元CG

従来のアニメーション技術は、キャラクターが少しずつ動くさまを平面上に一枚ずつ描き、それを連続して再生することで動画を制作する。これに対し、3次元コンピュータ・グラフィックス(CG)は、コンピュータ上に立体像を作り、それをコンピュータ空間の中で動かして「撮影」し、動画をつくる技術だ。平面から起こしたアニメーションより立体感に富み、動きをなめらかに再現できる。

3次元CGによるアニメーションは欧米を中心に急速に普及しており、映画「トイ・ストーリー」で知られるアメリカのピクサー社などがこの技術を用いてアニメーションを制作している。

一人の傭兵を主人公として描いた「ベルセルク」には戦闘シーンが多く、大勢の兵士など、手描きによるアニメーションでは再現が難しい場面が多い。そこで、この作品の重厚な雰囲気の再現には、3次元CGの技術が活用されている。

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©三浦建太郎(スタジオ我画)・白泉社/BERSERK FILM PARTNERS

映画「ベルセルク 黄金時代篇」は、「I 黄金の卵」が2月4日に公開。その後、「II ドルドレイ攻略」(6月23日公開予定)、「III 降臨」(2012年冬に公開予定)と続く。

▽映画公式サイト
http://www.berserkfilm.com/

教育実習の経験が進路変更のきっかけに

子どもの頃に観た、映画「スター・ウォーズ」に描かれた宇宙という果てしない世界に佐野さんは大きな影響を受け、その後、大学で宇宙物理を学んだ。 

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現地の高校での数学の授業を受け持ち、
因数分解を教える佐野さん

研究者になることを考えていたが、何となく教員免許を取ろうと考えて参加した教育実習で、教えることの楽しさを知った。同じころ青年海外協力隊の存在を知り、教育現場で活動してみたいと、理数科教師に応募。大学を卒業後、協力隊員としてパプアニューギニアに派遣された。

赴任先は、首都から遠く離れたキウンガという町だった。約1万近い島々から成るパプアニューギニアは、首都ポートモレスビー以外に町らしい町がなく、キウンガも「僻地」といえる場所だった。

佐野さんは2人の同期隊員とともにキウンガに着任。この地域への隊員派遣は初めてで、派遣された学校では「初めて外国人が来た」と教員や生徒たちから大変期待されたという。そして、数学と理科のほか、日本語や、果ては専門外の体育まで教える羽目になった。

どんなことがあっても前向きに取り組んでいたが、ある時、物理の授業で現地の教員から間違いを指摘された。検証してみたものの、間違っているのは佐野さんではなく、現地教員のほう。しかし、言葉がうまくできないために反論ができない。悔 しさをかみしめる中、ふと考えを切り替えてみた。「もし反論できたとしても、討論することで周りの人たちとの関係が悪くなれば、自分の得にはならないのではないか」。  

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ジャングルの中で生徒と撮った一枚。徒歩で6日間
かけて帰省する生徒に同行した時のもの

悔しさをプラスのエネルギーに変え、英語やピジン語など、学校で話されている言葉を必死に勉強した。そして、積極的に周りの人たちと話し、コミュニケーションを深めようと努めた。次第に、生徒だけでなく、教員からも頼られるようになり、周囲との関係を築くことができた。

このとき身につけた考え方を、佐野さんは現在も持ち続けている。「制作の世界では、自分の仕事に『ダメ出し』をされ、修正を求められることは少なくないけれど、その指摘をアドバイスと捉え、自分の欠点を直すチャンスだとプラスに考える」。この考え方で、これまでに多くの壁を乗り越えることができた。

 

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