【広島県】サッカーは「幸せの種」、その楽しさを多くの人に伝えたい-森脇豊一郎さん(山口県出身、日系社会青年ボランティア/ブラジル/体育指導員/平成10年度派遣)[2011年10月14日]

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森脇豊一郎さん

Jリーグ1部のサンフレッチェ広島の企画・広報部長を務める森脇豊一郎(もりわき・とよいちろう)さんの生活の中心には、いつもサッカーがある。大学院修了後、日系社会青年ボランティアとしてブラジルで体育指導員として活動。その時観戦したブラジル代表戦の、スタジアムの熱狂。その時の思い出が今も強く残っている。

サッカーの楽しさを伝えたい――現在は、スタジアムの集客企画や広報活動に奔走する日々を送る。

 

小学時代からサッカー一筋

小学校5年の時にサッカーに出合い、その楽しさに夢中になった。中学、高校時代もサッカーを続け、体育大学に進学。体育教師を目指していたが、大学3年の時に長期入院が必要なほどの交通事故に遭ったことで、目指す方向が変わった。それは、Jリーグが開幕した1993年のことだった。「サッカークラブ経営の仕事に就きたい」――病院のベッドの中で将来について考える中、森脇さんは目標を再設定した。

日系社会青年ボランティアの存在を知ったのは、大学院でスポーツマネジメントを学んでいたころ。海外ではサッカー(スポーツ)がどのように人々の生活に根付いているのかを実際に体験したいと思うようになった。大学院修了後に応募を検討し、自分に合った分野の要請を調べてみると、ブラジルから1件だけ「体育指導員」の要請があった。早速応募し、合格。「他国からの要請だったとしても応募したと思いますが、結果としてサッカー大国ブラジルに派遣されたことは、とてもうれしかった」。森脇さんはボランティア合格当時を振り返る。

ブラジルでは、首都サンパウロ近郊の町にある日本語学校で体育の授業を受け持った。そして、スポーツの指導を通じて、日系の子どもたちに挨拶や礼儀なども教えた。

子どもたちは本当にサッカーが大好き。そのため、他の種目に取り組もうとしてもなかなか受け入れられなかったという。「逆に、サッカーさえやっていればよかったので、授業は楽でした。さすがブラジルです」

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子どもたちとラジオ体操をする森脇さん(ブラジルでのボランティア活動時)

活動は順調だったが、一つだけ苦労したのがお風呂だった。日系人の家庭を除き、ブラジルには「風呂」の習慣がない。体育教師として派遣されていた森脇さんは、毎日の汗を流し、体の疲れを取る必要に加え、任地では寒暖の差が大きかったため、「日本式の風呂」がほしいと考えた。 着任して間もないころ、受入先に相談するとすぐに自宅に風呂を設置してくれ、森脇さんは迅速な対応に大変感謝したという。しかし日本とは湯沸しのシステムが異なり、怖い思いをしたことも。「一度、スイッチを切り忘れて風呂に入ったら全身に電気が走り、ビックリしました」。水を張った浴槽に220ボルトの電気を流して湯を沸かすため、スイッチを切り忘れて入ると、感電してしまうのだ。 活動や任地の人々との交流を通じ、森脇さんはブラジルの日系社会になじんでいった。同時に、ブラジルのサッカー文化を体験することができた。現地で見たブラジル代表戦では、満員のスタジアム、人々の熱狂に圧倒されたという。ブラジルの人々の生活の中心にはサッカーがあり、その人気は想像以上だった。

活動を終えて帰国後、母校の大学で教務補佐を務めていたが、恩師の推薦でJ1リーグのサンフレッチェ広島への就職が決まった。大学3年時から抱いていた夢がかなった。そして現在は、企画・広報部長として、スタジアムに人を集め、試合を楽しんでもらい、そしてサポーターからの応援がチームのエネルギーとなるよ う、様々なイベントを企画している。

仕事を通じて大切だと感じているのは、助け合いの精神。仕事は多くの人に助けられる もの。そして自身 も、他の人に助けの手を差し伸べるよう努めている。これは、ブラジルの日系社会で活動する中で知った、助け合いの大切さだ。海を渡り、多くの苦難を乗り越 えてきたブラジルの日系人は、家族の絆が深く、近所の人々が助け合って暮らしていた。その姿は森脇さんの中に深く印象づけられた。

サッカーと国際協力

リーグ優勝を目指す一方、サンフレッチェ広島は、国際協力機構(JICA)、国際協力NGOセンター(JANIC)、国連開発計画(UNDP)による市民参加型の国際協力推進活動「なんとかしなきゃプロジェクト」に参加し、試合の観客に向けて国際協力の大切さを発信している。スポーツ選手が発する言葉は、多くの人たちの共感を得られる。そこで、Jリーグクラブとしてできることに協力しようと同プロジェクトへの参加を決めたという。最近ではJICAの「世界の笑顔のために」プログラムへの協力の一環として、広島県出身の協力隊員が現在活動中のパラグアイの学校にサッカーのユニフォームを寄付した。すると、学校の先生や子どもたちからチームに感謝の言葉が届いた。森脇さんをはじめとするクラブ関係者にとって、大変うれしい出来事だったという。

10月1日には、ヴィッセル神戸とサンフレッチェ広島の試合に合わせて、JICA中国の協力を得てイベントを開催した。会場の広島ビッグアーチでは、多くの人が国際協力を紹介するブースに立ち寄り、また、ラテンダンスで試合会場がとても盛り上がった。会場の熱気がサンフレッチェ広島に勝利をもたらし、イベントは成功裏に終わった。

ブラジルでのボランティア経験を通じて、サッカーへの思いを一層強めた森脇さん。今の夢は、サンフレッチェ広島のホームスタジアムである広島ビッグアーチを満員にすること。また、いつか故郷の山口県に、将来Jリーグ入りを目指すような地域に根ざしたクラブをつくりたいとも考えている。「サッカーに限らず、スポーツはなくてもいいけれど、ないと困るもの。人間が生活するうえでの一部ですよね。4年に1度のワールドカップの試合に全世界の人々が熱狂するように、サッカー(スポーツ)が人々に与える夢や希望、感動は、日々の生活の『幸せの種』だと思います」

 

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