岩手県政史上初の30代女性県議になった協力隊OG 吉田敬子さん(平成15年度2次隊/村落開発普及員/ボリビア)[2010年10月15日掲載]

写真

2010年7月に行なわれた岩手県議会議員補欠選挙に「地域政党いわて」から出馬し、27,267票を集めて初当選。32歳の吉田敬子さん(平成15年度2次隊/村落開発普及員/ボリビア)は、県政初の30代女性県議という快挙を成し遂げた。

大学卒業後、アパレル企業勤務を経て、協力隊でボリビアへ。帰国後は地元岩手のNPOに所属し、岩手県男女共同参画センターの業務に携わった。政治経験は全くない。親が議員であるわけでもなく、組織やお金があるわけでもない。普通の生活をしてきた庶民のひとり。

普通のひとの目線で

2009年7月に行われた岩手県議会議員補欠選挙に「地域政党いわて」から出馬し、27,267票を集めて初当選。32歳の吉田さんは県政初の30代女性県議という快挙を成し遂げた。

大学卒業後、アパレル企業勤務を経て、協力隊でボリビアへ。帰国後は地元岩手のNPOに所属し、岩手県男女共同参画センターの業務に携わった。政治経験は全くない。親が議員であるわけでもなく、組織やお金があるわけでもない。普通の生活をしてきた庶民のひとり。

「私のような普通の人間が挑戦して、もし本当に議員になれたら多くのひとに夢や希望を与えられるかもしれないと思い決心しました」

出馬を決めたとき、経験もしていない人間が大丈夫なのかと、親にはものすごく反対されしばらく口も聞いてくれなかったそうだ。せっかくいただいたチャンスだからと説得するのに時間がかかったが、活動している娘の姿を見て少しずつ両親も動いてくれるようになった。

若い自分が当選したことで、同世代の人々が政治に興味をもってもらうことができた手応えがあった。普段何をしているのか分からない議員という職業を、普通のひと目線で人々にもっと身近にする役割を担っているとも感じている。

「私はほかの議員さんができることをやる必要はなくて、今まで光が当たってこなかった人のために何をするのかだと思っています。少しでも多くの人に幸せの種をまけたらいいなという思いです」

タイミングが導いた議員への道

岩手県男女共同参画センターでは、女性のキャリアアップ、スキルアップ等のための講座やイベントの企画、学校への出前講座、自治体職員向けのセミナーなどで国際協力とジェンダーについて講義をする仕事をしていた。

県内では子育て世代の女性の雇用環境や社会参加に多くの課題がある。性別役割分担意識が根強く、仕事と家庭・地域生活の両立に理想と現実に差がある。議員などの政策・方針決定過程への女性の参画も不十分。男女共同参画に関するさまざまな啓発活動をしていく中で吉田さんは常に主張してきた。

「女性がもっと政治や経済の意思決定に参加することが重要で、女性議員の数も増えなければいけない」

所属する地元のNPOに所属して仕事を続けることに不安も感じていた。岩手県のNPOは財政的に自立しているところが少なく、県からの委託事業で成り立っていると言っても過言ではない。センターの運営は県との契約で3年単位。継続性がなく雇用も安定しない。

写真

センターでの仕事を通じてマスコミ関係者に、これらの問題について話をするなか「吉田さん、議員になりなよ。政治が一番早く解決できるよ」と冗談ながらに言われ、そんなものかなと少し政治を意識するようになった。

思い返せば隊員時代、ボリビアの村人たちが当たり前のように役場へ陳情に行ったり、ストを起こしたりしている姿をみて、「暮しと政治は身近なもの」と感じていた。
 

帰国後に政治の勉強ため大学で公共政策の勉強でもしてみようかとも考えたが、吉田さんはとにかく現場に飛び込みたいタイプ。地元で一生懸命頑張っている議員さんに突然メールをして、ボランティアかインターンをさせてほしいと頼んだ。すると「一度会わないか」とすぐに連絡が入った。
「お会いした日の翌日に選挙に出ませんかと言われ『あなたのように海外での活動経験があり、地元でも何かやりたいというやる気のある若者を“地域政党いわて”は探していました』と」

地域政党いわては今年4月にできた新しい政党。政治経験のない普通の人を送り出したいと候補者を探していた最中に吉田さんのメールが届いたという。まさにタイミングが導いた議員への道だ。

街頭演説1000回

毎朝7時から9時まで市内の交差点各所に立った。選挙中、街頭演説の目標は1000回(選挙終了日までに1018回を達成)。もちろん今まで演説なんてしたことはない。言葉が豊富で話上手なわけでもない。

写真

 

「とにかく肩ひじ張らずにありままでいいのかなとの思いで練習はしませんでした。やはり最初は全然話せませんでした(笑)。でも何回かやっているうちに、『頑張ってね~』と応援してくださる方々と触れ合うことで、自分が力を蓄えて、岩手をなんとかしたいんだ!、皆さんと一緒にやっていきたいんだ!という気持ちを言葉に乗せて伝えることができるようになりました」

しかし議会ではそうはいかない。一般質問などの発言に備えてきちんと話をできるよう修行をはじめている。

球児たちが教えてくれた「ありのまま」の大切さ

実は吉田さん、一時期体調を崩して仕事を辞め、心身共に辛い時期を過ごしていたときがあった。人生について悩み、自分自身と大きくぶつかった。とにかく物事を複雑に考えてしまっていた自分に、「シンプル」「ありのまま」であることの大切さを気づかせてくれたのが、甲子園を沸かせた花巻東高校硬式野球部の菊池雄星くん(現・西武ライオンズ投手)たちだった。

「決してあきらめない~never never never give up~の精神。甲子園という夢に向かって真っ直ぐに、思いきり汗を流し、思いきり涙を流す。とてもシンプルで、彼らはただただ思いきり自分自身を生きていた。たくさんの感動と勇気と希望を彼らからもらったから、今度は自分が恩返しする番だと感じました」

等身大で、泥臭く、そのままでいい。できることを精一杯やる。32年間の経験を集約して岩手のために、世界のために。そう思えたからこそ今の自分があるのだと吉田さんは語る。

協力隊も議員もコミュニケーション

「議員になるということは、‘吉田けい子’という商品をいかに売っていくかという事業を立ち上げたのと同じです」

吉田さんは、地元の公民館を回り、座談会 “けい子の青空サロン” を開催し、自身の県政報告と県民の方々の声を聞き、情報収集に努めている。また常任委員会では吉田さんが好きな分野でもある‘農村’に関わる農林水産委員会に属し、委員としての仕事にも精を出す。大忙しの毎日だ。

議員として活動を行っていくなかで一番大切にしていることは‘コミュニケーション’。

例えば陳情。住民から道路を何とかして欲しいとお願いされたとしたら、「何とかします」と議員が約束するのではなく、県に問い合わせて何故その道路を直さないのか、優先順位はどのくらいなのかを聞き、その答えを住民に伝える役割もあると考える。

「陳情をそのままにして返さない議員が多いと聞きます。先輩議員いわく、要望に応えられないことが多いけれど、それをきちんと理由をつけて返してあげること、納得してもらうことが一番大事だと。つまりシンプルですが、きちんと顔を合わせてコミュニケーションすることが最も重要だと思います」

ボリビアの村落で地域活性化の活動を行っていたとき、「とにかく住民の声を聞くこと」に徹していたという。議員になってもこのスタンスは同じ。県民の皆さんと同じ目線で常に物事を考えること。聞く耳を持って行動に移さないと上から目線にもなり、トップダウンな考え方になってしまう。

ボリビアで人間として学んだこと、人生観や世界観を忘れないで議員活動をしてくことが大事だと吉田さんは考える。
「ボリビアでの2年間は勉強させてもらった期間であり、帰ってきてからが本当の意味の協力隊活動の時期だと今は思います。それがやっと少しずつ実を付けはじめました。一日でも早く花を咲かせて、ボリビアの人々にも届くように還元していきたいです」

 

「帰国隊員の活動紹介」一覧に戻る

自治体・地域の方

  • 熊本地震 被災地への支援
  • おきなわ世界塾
  • マラウイ農民自立支援プロジェクト
  • 外務省主催 NGO インターン・プログラム制度
  • 協力隊ナビ~協力隊経験者と語ろう~
  • 青年海外協力隊講座
  • 協力隊OB・OG会情報
  • 青年海外協力隊事業創設50周年記念 映画製作『クロスロード』
  • 協力隊ボイス フェイスブック

ページの先頭に戻る