【ボリビア】ビジネスと社会開発の両立~南米ボリビアでアマゾンの手作り自然雑貨店を営む、河田菜摘さん(H14-3/ボリビア/村落開発普及員)[2010年9月15日掲載]

写真

ボリビアは高山地帯のイメージが強いが、河田菜摘さん(平成14年度3次隊/ボリビア/村落開発普及員)が住むルレナバケは、アマゾンのジャングル地帯の麓にある低地の町。ガイドブックにはほとんど載っていないような小さな観光地だが、エコツーリズムの潮流も受けて、世界中からバックパッカーなどが多く訪れる。

協力隊での活動地であった同地に戻り、"ラ・カンビータ(La Cambita)”という雑貨店を営んでいる。

ビジネスと社会開発の両立~南米ボリビアでアマゾンの手作り自然雑貨店を営む

販売する商品は地元の女性たちを中心とした生産者によるジャングルの自然素材を使用した100パーセント手作りの工芸品の数々。ヤシの葉、竹、ココナッツの殻などを使った小物や、巨木の根を使った動物や野鳥の置物、お面の彫刻など大小さまざまな民芸品は、材料の採取に自然を壊さない手法がとられたエコサイクル。

写真
ルレナバケの町 

店頭での直接販売とともにフェアトレード商品として日本でも輸出販売されている。主な広報活動は口コミとインターネット。一時帰国の際には新たな売り先開拓は欠かせない。開店して5年目。売上は上々。噂を聞いた他地域の住民が自ら売り込みに来るなど、生産者のネットワークも次第に広がってきている。

写真
巨木の根(上)の一部を使ったワニの彫刻

ボランティアからビジネスパートナーに

ルレナバケやその周辺は少数民族が共生する地域で、主に畑作をしながら半自給自足の生活をおくり、現金収入が少ない人々が多い。河田さんは村落開発普及員として同地の集落に滞在。村の女性を中心に手工芸品作りを通じた収入向上を目指す活動を行った。従来から作っていた人たち、全く初めて作る人たち、経験も事情も異なる女性たちとモノづくりに励んだが、現金収入を生み出す成果が乏しいまま協力隊としての任期を終えた。

「ようやく地元の人たちとの信頼関係が築け、モノづくりと人の輪づくりの基盤ができてきたところで、このまま終わらせてしまうのは勿体ないと思いました。協力隊での活動をより具体的な形につなげるため、お店を立上げようと決意しました」

自腹をつぎ込んで開店。少しずつ商品を集め、外国人観光客で賑わう町の大通りに店を構えることができた。組織としてではなく、個人での経営となり自身も事業主として自立するスタートとなった。

「協力隊の時はボランティアとして村の人々にとって自分は『外から来たお客様』という意識があった。今は地元民の一員として、ひとりのビジネスパートナーとして対等な立場関係で接してもらえるようになったと感じる」

ビジネスと社会開発の両立

河田さんは店を立ち上げるにあたって設定したテーマは、単なる商売ではなく社会開発の視点でビジネスを行うこと。ジャングルの自然素材で現地のさまざまな人々がひとつひとつ丁寧に作った商品を世に広め、特に女性たちにモノづくりという機会の提供によってネットワークを広げ、現金収入による経済的・社会的自立に繋げていく。個人の起業を軸に地域住民の収入創出と地域振興を図る事業とも言える。

生産者の女性たち 実際の成果としては、現金収入を得るようになった人々のなかで、学校に行く子供たちが増えているという。現金を稼ぐ母親が一家の財布を握るようになり、収入をきちんと子供たちの教育費に充てる家計管理に女性が効力を発揮するようになった。さらには夫の妻に対する見方が変わった例もある。
「ボリビアでは一般的に家事子育てを担う妻が家を出て町に出ていくことを嫌う夫が多いですが、妻の手工芸品で家族に現金収入をもたらすようになると、ゲンキンなもので急に夫も協力的になりジャングルへ材料集めにいくなど、稼ぎ頭の妻をサポートするようになった例もありますね」

女性の家庭レベルでの活躍と意識の変化は地域社会でも、コミュニティの場に女性が積極的に参加して発言するようになるなど、女性の社会参加にも繋がっているという。

ビジネスの効果は地域おこしの観点からも見受けられる。

それまで全く利用価値を見出していなかった落ち葉、木の実、殻などを手工芸品にすることで現金収入となることが地元の人々にとっては画期的な“気づき”となり、生産意欲の向上となっている。日本のとある地域おこしで落ち葉に目を付けたという事例に通じるものがある。これら手工芸品はそれぞれ部族の文化と知恵によって継承されてきたもの。生産活動を活発にすることは自然と共生している自分たちの生活文化や自然環境を守るということにも繋がる。

2005年、初の先住民族出身の大統領が誕生し、国名がボリビア多民族国に改名された(旧名:ボリビア共和国)。民族の文化アイデンティティーに立ち返った教育を導入するなど、政策の変化によって次第に若い世代が自分たちの民族に誇りを持つ意識が醸成されてきた。零細レベルの伝統産業や文化保護にも政策の追い風が吹くことが期待されている。

地道な話し合いを重ねて起業

地域にさまざまな波及を生み出しはじめているLa Cambita効果。当初から現場での試行錯誤を繰り返して事業を軌道に乗せてきた経緯がある。元々河田さんは商売の経験はなく、協力隊での活動経験やイギリスで学んだ開発学の知識を活かしビジネスプランを立てたが、何よりも地域の人々と話し合いを重ねた末の起業であった。

集落の人々は以前から手工芸品を作ってはいたものの、村人同士で物々交換をする程度であったという。販売するという意識がなかった彼女たちの集落をひとつひとつ回り、店を開業しみんなの作品を商品として世に送り出す場にしたい思いとともに、身近な素材を使った商品開発の提案を伝え歩いた。

「慈善事業と違いビジネスとして成り立たなければ活動が持続できないので、出来具合によって売れない商品は買い取れない、ということを作り手の人たちに理解してもらえるまでに、地道な話し合いを何度もした」
自分たちの手工芸品を売った経験がない彼女たちにとっては使う人の気持ちがわからず、売れる商品とそうでない商品の意味もよくわからない。使いやすいとは、見栄えがよいとはどういうことか、サンプルを見せながらモノづくりのアドバイスを根気強く続けたという。

写真

商品を買い取る値段は、作り手の人たちにフェアな利益が届くように、素材の確保から商品が出来上がるまでの作業労力などを当人たちと話し合って決めてきめているが、当初はお互い初めてのビジネスとあって、説明から理解するまでに相当な時間が費やされた。

「時間とお金にルーズな人たちが多く、信頼関係を築くにあたって『約束を守る』ことの大切さを分かってもらうのには今でも苦労が続きます(笑)」

実際に売れるようになってからは生産者たちにプロ意識が芽生え始め、今ではお客さんの意見を伝えると真剣な眼差しで聞き入り、次の商品製作に反映するようになってきた。店頭に並ぶ商品には作者の名前と写真が添えられている。まさに顔の見える商品。買い上げたお客さんが製作しているところを見に行きたいというリクエストにも可能な限り答える。

河田さんは大阪出身。“おっちゃん、おばちゃん、飴ちゃん・・・”と気さくな文化のなかで育った。親しみやすい関西と現地のノリが合う利点も人間関係を築いていくなかで活かされてきたことであろう。今後の展開について訊くと、「のんびり文化のボリビアで独り焦っても空回りするだけなので、世界のペースに流されず、地元の人々のリズムにあった姿でのんびり構えて少しずつ活動を発展させていきたいです」

関連リンク

La Cambita
http://cambita.web.fc2.com/japanese/home_jpn.htm

おさる日記~ルレナバケから届ける気まぐれ日記
http://monitobonito.blog15.fc2.com/

 

「帰国隊員の活動紹介」一覧に戻る

自治体・地域の方

  • 熊本地震 被災地への支援
  • おきなわ世界塾
  • マラウイ農民自立支援プロジェクト
  • 外務省主催 NGO インターン・プログラム制度
  • 協力隊ナビ~協力隊経験者と語ろう~
  • 青年海外協力隊講座
  • 協力隊OB・OG会情報
  • 青年海外協力隊事業創設50周年記念 映画製作『クロスロード』
  • 協力隊ボイス フェイスブック

ページの先頭に戻る