【岐阜県中津川市】 経済産業省で「まちづくり会社」の推進を手掛けた中津川市役所職員、伊藤靖さん(H9-1/ザンビア/村落開発普及員)[2010年8月15日掲載]

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伊藤靖さん(平成9年度1次隊/ザンビア/村落開発普及員)が中津川市役所に入庁したのは協力隊から帰国後の2000年。自分の育ってきた土地を土着で盛り上げていきたいという思いが強かった。学生時代はバックパッカー、協力隊ではアフリカ ザンビアへ。将来自分が勝負するのは日本であり生まれ育った地元中津川であると、協力隊に参加する前から“ローカルを守る”ことに従事したいと考えるようになった。自然に恵まれた中津川。外へ出て改めて自分のふるさとに誇りを感じた市民のひとりでもある。

ローカルを守る

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恵那峡

「地元の方々のなかには『私なんてどうせ中津川から出たことないわ』と卑屈な考え方になり、地元に誇りを持てないと思っている方もいる。かたや同じ市民でも海外経験がある方に訊くと中津川に誇りを持って住んでいるという。生まれ育ったまちで住める幸せを感じられる地域にしていくのが私の仕事です」

『まちづくり会社』を核としたまちづくり

伊藤さんは中津川市役所職員になって11年目。現在は企画財務課に所属。市役所内の主要事業の予算づけや、補助金の活用などを考える仕事に従事している。2009年から2年間は経済産業省に出向し、中心市街地活性化担当官を務めた。地域経済振興の一環として中心市街地を活性化する取り組みが日本各地で行われている。核となるのが『まちづくり会社』。民間事業者、NPO、市民、行政など多様なプレイヤーが得意なことを持ち寄って一緒にまちづくりを行うプラットフォーム。伊藤さんはまちづくり会社を全国に推進するため、シンクタンクの専門家と共に各地の事例研究を行い、まちづくりに悩む方々をエスコートする案内物を作りあげた(『まちづくり会社がまちを動かす!』 [経済産業省HPリンク])

「会社やプラットフォームと聞くと参加するには資金を出さなければならないというイメージがあるが、人材の提供、空き地・空家の提供、優遇措置や権利の提供など、お金以外でも協力できるものがある。官民関係なくお互い持っている材と得意分野を活かし合う仕組み、言わば新しい公共が広まっていくことを期待しています」

面白い化学反応が起こる

地方と中央両方の視点から見えた地域活性化の課題について伊藤さんは、「人材」の問題をあげる。適切な雇用が地方には少なく、東京など大都市に集中する傾向にあるが、実は有能な人材は地方に存在しているという。出産や子育てのために仕事を辞めた主婦の方や、地域事情を隅々まで知る集落の長老の方などをまちづくり事業の人材として活かす仕組みと度量が行政には必要だと考える。まちづくり会社の成功事例を見てもポイントになっているのは人材の活かし方だ。

「地域活性化で行政が行うべきことは地域の面白い人をあつめることだと思う。ビーカーに面白そうな材料を混ぜ合わせ、面白い化学反応が起こるのを待つ、という感じ。地元に住みながら自分の持っている能力を活かしたいという人材の受け皿を整えていくことを行政として応援していかねばならない」

中津川市は岐阜県南東部に位置する清流が美しいまち。中津川市でもまちづくり会社を核としたまちづくりを検討し始めている。中津川と言えばフォーク世代にとっては当時聖地と化した伝説の“中津川フォークジャンボリー”が有名だ。スィーツ派には宿場町として栄えた歴史の銘菓“栗きんとん”、自然派には百名山の恵那山、有名なオートキャンプ場など、中津川のセールポイントはたくさんある。まちづくりのためにどう活かすのか、中津川で起きる化学反応が楽しみだ。

アフリカでの経験は行政マンとしてどう役立つのか

ザンビアへは村落開発普及員として派遣。現地の若者を対象とした職業訓練学校を立ち上げ、自主経営する体制を作り、この施設を拠点にした村落の活性化を展開した。訓練学校での農業、溶接、洋裁、木工などの基礎を学ぶカリキュラムを整え、農産物や生産品を販売するビジネスを構築。

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職業訓練学校で (ザンビアにて)

村落の子どもからザンビア政府の高官まで、ありとあらゆる人々と接した。日本で普通に暮らしていると到底会うこともできない上流階層の人を相手に交渉や折衝を行う場面もあった。現在企画財政課での仕事は地元の経済界と接する機会が多く、対等に話せる技量と度胸が遠い国ザンビアで養われたという。
          
生徒たちと(ザンビアにて) 「アフリカではベース文化が違うのでツーカーで通じるということがなく、説明には必ず理由が必要だったという経験が今の調整業務に役立っている。WIN-WINの関係を構築しないとうまく続かない。今も交渉のときには先ずはお互いの利益を考えるようにしています」

ザンビア政府、中津川市役所、経済産業省。国も地域も性質も異なるが、同じ役所として共通する部分もあるという。それぞれの場所での経験で生活の幅と視点が広がったことが、行政マンとして市民の生活を想像するうえで役に立っている。

多芸多能で中津川を満喫

35歳の伊藤さんはいろんなことができる多芸多能の持ち主。仕事で培った財政金融の知識は、ファイナンシャルプランナーとして友人たちに資産運用の基礎講座を開いている。一方では趣味のアコースティックギターとハーモニカを奏で粋なブルースを歌う。フォークの聖地で生まれただけにさすがの腕前。手先の器用さで大道芸もできる。学生時代に習得したバルーンアートは『風船おじさん』という名で地元の孤児院で披露し、子どもたちの人気者だ。

さらにはアフリカで始めたロデオカヤック(カヌー)。現在はチームを組んで仲間と激流のなかで技を磨いていると(動画Youtubeリンク:チームザブーン カヤック中津川)。インドアもアウトドアも中津川での暮らしを楽しんでいる。

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チームの練習(中津川にて)伊

藤さんは生まれ育った地元をとことん楽しむことができる幸せを自ら感じること無しには、まちづくり云々は語れないと戒めている。ひとりの市役所職員として、協力隊経験者として、地元を愛する芸達者な中津川市民として・・・。伊藤さんの中で起こる化学反応がこの先どう発揮されるのか、経過観察に注目したい。

関連リンク

中津川市役所ホームページ

 

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