【栃木県】 「野菜でできた和紙」を商品開発した農協職員、高橋昭博さん(平成9年度3次隊/タイ/農業協同組合)[2010年6月15日掲載]

JAうつのみやに勤務する高橋昭博さん(平成9年度3次隊/タイ/農業協同組合)は、広域指導員として生産農家さんに栽培から販売まで総合的なコンサルティングを行う業務に携わる。トマト、なす、アスパラガスなど施設野菜が担当。販売戦略や経営の分析も行う。生産農家さんにとって悩ましい問題を常々考えていた。

廃棄される野菜を活用したい

「栃木では1年に240トンの規格外野菜が捨てられている。食べられるのにもったいない」

“もったいない運動(宇都宮市HPリンク)” や農産物の加工所を増設する県政の追い風もあって、高橋さんは規格外野菜を商品化するプロジェクトに携わることになった。県の推進事業として助成金がついた。独りプロジェクトとしてスタートしたが、協力者を得て加工商品の開発を続け、ピューレ、粉末、エキスなど工夫を重ね商品化できるようになった。

そして開発が行き着いたのは、野菜を原料にした和紙。アスパラガスを使って和紙を作る。地元の有名な和紙製造会社に相談し社長と意気投合。「よしやってみよう」ということになった。

出来はバッチリ。捨てられる運命のアスパラガスが「食べられる紙」として生まれ変わり、実用品として名刺、のし紙などに使われるようになった。特産アスパラの詰め合わせをアスパラでできたのし紙で包む。ユニークなアスパラ和紙は世間で注目を浴びた。次第に受注生産が増え、東京など都市部からも取引依頼が来るようになった。NHK週刊こどもニュース(5月30日放送「ふぞろいの野菜ってダメなの?」)でも紹介され、アスパラ和紙は規格外野菜について考える教育素材にもなった。

「子どもたちが自分で育てたアスパラガスを食べ、紙を作る、そして紙も食べる。そんな社会体験学習としての活動もやりたいですね」

協力隊に行って発想が変わった

協力隊参加前も高橋さんはJAうつのみや職員であったが退職して協力隊へ。タイでは集落に滞在し農協の組織作りを支援する活動を中心に行なった。

農協事務所を地域活動の拠点とするため、貧しい学齢の子供たちを対象にしたパン作りを仕掛けた。学校へいく資金をパンで稼ぐというのが狙い。作り方から売り方まで指導するのは現地で人気者の‘パン屋のおばちゃん’を起用。有能な教え子はパン職人として採用するインセンティブもつけた。生活向上につながる「パンを作って学校へ行こうプロジェクト」が軌道に乗った。このほか、農協の小規模融資活動も立ち上げ、高橋さんが帰国したあとも会員数が増え定着した。

帰国後、同じJAに復職してから現在10年目。協力隊経験は高橋さんの農協人生に大きな影響を与えたという。

「協力隊に行かなかったら今のように自ら商品開発をやる職員にはなっていなかったでしょうね。ダメだと思っても先ず行動してみるという発想を協力隊で身につけたと思う」

連携できそうなところは地元も県外も関係なく話を持ちかける。アスパラ和紙の開発は独創ではなく、地域の方々との繋がりによってできたもの。タイでの活動で人との繋がり方や関係作りがうまくなったことが活きているという。

変わり者だけでは通用しない

高橋さんは栃木県協力隊OB会長も務め、各方面の方々との繋がりを大切に会の活動を盛り上げ、帰国隊員の存在をアピールしている。帰国隊員の更なる人材育成のため、地元大学院で帰国隊員入学枠の設置を働きかけ、実現に至った。毎年無事に故郷へ帰ってきた隊員たちを迎える。高橋さんは彼らに欠かさず言うことがある。

「協力隊に行ってきたというだけで周りは関心を持ってくれる。でも単なる変わり者で終わってしまうことがある。日本で一般の方々と同じように普通に仕事ができるというベースがあって、はじめて協力隊経験という付加価値がつくことを意識してほしい。『日本の目線』で海外の広い視野と発想で行動することが大切」

生産農家さんをはじめ行政関係者や民間企業など様々な人と関わってきた高橋さんが、ひとりの商品開発者として、社会人として、帰国隊員として感じる思いが込められたメッセージだ。

栃木県はアスパラ和紙の開発者のほかに、地域振興と教育に強い市議会議員、20年間ネパール支援を続ける活動家など、地域で社会還元活動を実践する帰国隊員の宝庫。精鋭を生み出す栃木で高橋さんは次なる新規開発を練っている。

関連リンク

栃木県青年海外協力隊OB会ホームページ
http://tochigi-ov.geo.jp

 

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