『楽器は語る─スティールパンから津軽三味線まで』冨田晃著[昭和63年度2次隊・ホンジュラス・造園・木工]

音楽の起源は、踊りや語り、祈りや弔い、娯楽や演劇など、音による表現を起源とし、人間の営みと深くかかわっています。音楽をつくる要素である楽器が、どのように生まれ、各地に広がり、人々に演奏されるようになったのか――著者の冨田晃OB(昭和63年度2次隊/ホンジュラス/造園・木工)は、文化人類学の視点に立ち、歴史をひも解きながら楽器の成り立ちと発展の過程を紹介します。

本書で紹介される楽器は、グアテマラのマリンバ、ホンジュラスのカランバ(弦楽器)とサカブチェ(太鼓の一種)、ホンジュラスのガリフナ(カリブ海セント・ビンセントの先住民と奴隷として西アフリカから連れてこられた人々の混血民族、世界無形文化遺産登録)の太鼓とマラカス、トリニダート・トバゴのスティールパン、日本の津軽三味線など。そのいずれもが、著者自身が訪れた土地で聴き、その文化の中で暮らし、演奏法や製作法を学んだ楽器です。「音や文化、人類のありかたから『音楽』を広く捉えてみようという発想でこの本をまとめた」と話す著者は、ホンジュラスでの協力隊活動後、現地で音楽グループやデザイン事務所を運営し、その後文化人類学を学びつつ、ニューヨークで移民文化に関するフィールドワーク重ねた経歴の持ち主。現在は大学で美術を教え写真家として活動するほか、グラスハープ、スティールパン、津軽三味線の製作や演奏の活動を行なっています。「ものごとは、いろいろな視点で分析しなければ分からない」。ジャンルを超えた活動の意図をそう述べています。

トリニダート・トバゴ生まれのスティールパンは、「南海の楽園」のキャッチコピーの下、1960年代末に日本に紹介されました。以来、ワールド・ミュージックというジャンルの浸透と共に、クラシックやポピュラー音楽の中でも使われ、一般の愛好者も増加し、いまでは教育の現場でも製作・演奏されています。本書では、「20世紀最大のアコースティック楽器発明」といわれるこの楽器が、19世紀のイギリス統治下時代に抑圧された人々がカーニバルを楽しむために苦肉の策としてガラクタから造った楽器を起源とし、第二次大戦中は同国で生産される石油のドラム缶から造られ発展を重ね、1962年の独立後にカーニバルが国家行事としてされるようになったことで、国民楽器の地位を得たと紹介。社会運動としてもとらえられるほど歴史に深くつながりがあるこの楽器の背景を、多角的な視点で詳細なデータを基に解き明かし、スティールパンの音色の涼やかさを覆します。

書籍情報

『楽器は語る─スティールパンから津軽三味線まで』
冨田晃著
販売価格: 2,800 円+税
発行:一般財団法人千里文化財団

▼購入は、国立民族博物館ミュージアムショップから
https://www.senri-f.or.jp/wwb/html/products/detail.php?product_id=3500064

▼「国立民族学博物館友の会 トップページ
http://www.senri-f.or.jp/

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