『織物を未来の色に染めて』(2014年8月15日掲載)

タイ・織物隊員としての任期を終えて帰国後、造形作家として活動していた中川るなさん(昭和61年度2次隊)は、2012年12月、カンボジア西部の都市バッタンバンにある「若者の家」を訪れました。中川さんとバッグデザイナーの光岡奈緒子さんは、「若者の家」の商品の質を上げるための専門家として派遣され、製品づくりに携わる子どもたちに技術指導に当たりました。書籍『織物を未来の色に染めて』は「若者の家」の子どもたちを主人公に、中川さん、光岡さんが技術指導に当たったエピソードが紹介された一冊です。

日本のNPO「国境なき子どもたち」が運営するこの施設は、家庭が貧しく学校に通えなかったり、虐待を受けたり人身売買に巻き込まれた10代から20代の子どもたちを年間約60人受け入れ、教育と職業訓練の機会を提供しています。子どもたちは国語や英語、算数などの授業を受けるほか、職業訓練として絹織物や縫製、藤家具などの工芸技術を学びながら収入を得、職人として自立できるよう、訓練に励んでいます。

中川さんとバッグデザイナーの光岡奈緒子さんは、「若者の家」の商品の質を上げるための専門家として派遣され、製品づくりに携わる子どもたちに技術指導に当たりました。書籍『織物を未来の色に染めて』は「若者の家」の子どもたちを主人公に、中川さん、光岡さんが技術指導に当たったエピソードが紹介された一冊です。

中川さんがこの活動に加わったきっかけは、教鞭を執る専門学校の生徒に、「夏休みはカンボジアのNPOでボランティアをします」と言われ、興味を持ったこと。同NPOの事務局が自宅から近く、ショールームも兼ねていると知り訪問したところ、技術指導に当たる織物の専門家を探していると聞き、活動に加わることになりました。

「協力隊ならば2年の任期があり、毎日通って活動の進捗を確認できますが、今回は1回の派遣が10日間弱と短く、最初は現地の様子もわからないままに活動を始めたため、いろいろと難しいことがありました」と、中川さんは活動開始当初の苦労を振り返ります。

派遣前、「若者の家」で作られた商品を見たとき、織技術の高さに関心したものの、「明るい太陽の現地ではきれいな色でも、日本ではちょっと使いづらい色使いかな」と感じたという中川さん。最初の活動では、絵具を使い配色のワークショップを開き、日本人に好まれる配色をつくるよう説明しました。次に、色落ちがひどかった染色方法を改善しようと、色止め剤の使用方法を伝え、優しい色合いが出る天然染料を使った染め方や、内戦中に絶えてしまった藍染めを紹介する講習も行いました。 


染めの色を試す

その後2013年3月、2014年2月にも現地で活動。技術を定着させたいと、日本に帰国してからも定期的に商品を送ってもらい、品質を確認し、気になった 点をアドバイスしています。目標は、子どもたちへの憐みからではなく、商品自体を気に入って買ってもらえるようなものづくり。

「商品の品質向上達成はまだ 道半ばですが、10代から20代の女の子たちはすばらしい技術を持ち、仕事もとても丁寧。それを生かした商品づくりをしていきたい」と抱負を語ってくれました。


作業の合間におやつをほおばる子どもたち
と中川さん

「若者の家」で工芸技術を習得したことで、自信がつき、夢や希望をもって未来に歩もうとする子どもたち。「子ども向けの本ですが、大人が読んでも得るもの があります。おしゃれが好きな姿は、日本の同年代の子どもたちと大差ないと感じました。いつか自立を目指してそんな状況でもがんばっている子どもたちを知ってもらえたら」と、中川さんは話してくれました。

子どもたちの頑張りを応援したくなる一冊です。

※「若者の家」の商品は、カンボジア・シェムリアップに今年オープンした他団体のアンテナショップや、「国境なき子どもたち」のオンラインショップなどで購入できます。

書籍紹介

『織物を未来の色に染めて~カンボジアの二人の少女』

文:秋山浩子
発行:汐文社
定価:1,400円+税

関連リンク

国境なき子どもたち
http://www.knk.or.jp

汐文社
http://www.choubunsha.com

 

書籍紹介 一覧に戻る

自治体・地域の方

  • 企画調査員(ボランティア事業)を目指す方へ
  • おきなわ世界塾
  • 協力隊ナビ~協力隊経験者と語ろう~
  • マラウイ農民自立支援プロジェクト
  • 外務省主催 NGO インターン・プログラム制度
  • 熊本地震 被災地への支援
  • 青年海外協力隊講座
  • 協力隊OB・OG会情報
  • 青年海外協力隊事業創設50周年記念 映画製作『クロスロード』
  • 協力隊ボイス フェイスブック

ページの先頭に戻る