「ドジョウ養殖で活路を開け!」~映画登場人物のモデルとなった元隊員による、活動報告セミナーを開催(2015年11月11日掲載)

映画『クロスロード』には、登場する青年海外協力隊員像にリアリティを持たせるため、実在の元協力隊員を参考にした設定やエピソードなどが盛り込まれています。村落開発普及員として活動する羽村隊員の活動内容は、2012年~2015年までフィリピンで活動した渡辺樹里さん(平成24年度2次隊・養殖、東京都出身)の取り組みが参考になっています。2015年11月6日、当協会は渡辺さんの協力隊活動を紹介するセミナーをJICA地球ひろば(東京・市ヶ谷)で開催しました。

棚田保全につながるドジョウ養殖

冒頭で、映画事業を担当する当協会の香月柳太郎参事が、1965年に青年海外協力隊事業が創設された経緯や時代背景を説明。そして、「協力隊の実態はなかなか知られていないので、協力隊を身近に感じてもらう映画を企画した。隊員は現地の人々と同じ生活をし、活動する形態からドラマが生まれる。映画の中では帰国後の姿も紹介しており、協力隊に参加した若者たちの生き方をぜひ見てほしい」と、『クロスロード』の企画背景を紹介しました。

続いて登壇した渡辺さんは、「子どもの頃から魚に興味があり、将来は養殖を仕事にする夢を持つ一方で、国際協力にも関心を寄せていた」と自己紹介。水産高校在学中の夏休みに奄美大島にあるマグロ養殖場でインターンをした際、撒き餌が海を汚すことにショックを受け、環境を汚染しない「循環型養殖」を学ぼうと大学に進学。卒業後、社会人を経て、養殖に関する要請を見つけ、協力隊に応募した、と話しました。

協力隊時代の活動を紹介する渡辺さん
フィリピンでの活動を発表する渡辺さん

渡辺さんが応募した要請案件は、世界遺産に指定されている、フィリピン北部、イフガオ州の「コルディリェレーラの棚田群」内にあるマヨヤオで、棚田保全と現地の人々の生計向上を目的とした水田での淡水魚養殖でした。

海での養殖の知識や経験はあったものの水田養殖の経験がなかった渡辺さんは、協力隊に合格後、水田でフナを養殖している長野県の現場を視察。協力隊訓練所での派遣前訓練では、コミュニケーションをポイントに置いた英語研修で語学力を上げ、協力隊員としてフィリピンに渡りました。

伝統的な農法でコメ作りが営まれていたマヨヤオでは、土地がやせ、コメ生産量が減少。自給自足もままならい状況で、都市部に出稼ぎに行く人も増えていました。世界遺産に指定されていた棚田群は保全が難しい状況に陥り、2001年には「危機遺産」の指定に。2012年に危機遺産指定が解除された後も、継続的な棚田保全の取り組みが必要になっていました。

マヨヤオでは、コメ生産量だけでなく、水田に生息していたドジョウやタニシ、カニなど食料となる生物も激減。なかでも土地の人たちが好んで食べていたドジョウは滅多に見られない魚になっており、「あの味が恋しい」と口にする人までいたそうです。

以前、町役場がドジョウ養殖事業に挑戦したものの失敗し、渡辺さんの着任時は、壊れた養殖場が放棄されたままになっていました。その原因として、「ドジョウの人工授精は大変面倒な作業で、養殖の知識がない現地の人々が実施するには難しすぎた」と渡辺さんは言います。実験と数々の失敗の結果、現地の人々の手でドジョウの種苗生産ができるよう簡略化した方法を編み出すことに成功。最初は関心がなさそうに横目で見ていた現地の人々も、渡辺さんたちの取り組みの成功を知り、現金収入に結びつくドジョウ養殖を始める人が増えたそうです。中には、野菜畑にする予定だった広い休耕田を耕し、ドジョウ養殖のために稲作の再開を試みる人も現れたそうです。

放棄されていた養殖場も修復し、農家の人々が他の農家に技術を伝えることでドジョウ養殖がマヨヤオに広まっていきました。渡辺さんはマイクロクレジット(少額融資)や日本企業が「企業の社会的責任(CSR)」の一環で実施する助成なども活用して、養殖したドジョウ稚魚販売のシステムをつくりあげました。

2年間の任期が10か月延長となり、2015年4月にマヨヤオで行なわれた『クロスロード』の撮影にも協力。8月に帰国したものの、2か月後の10月にマヨヤオを再訪した時は、現地の人々が養殖場を管理し、人々にドジョウ養殖が根付き始めていたことが確認できたそうです。今後は、「短期隊員として再びマヨヤオに戻り、この取り組みを完成させたい」と話し、セミナーを締めくくりました。

映画では、協力隊から帰国した羽村が岩手県大槌町吉里吉里で震災からの復興活動に取り組む姿も描かれています。この人物のモデルとなったのは、実際に岩手県に在住する、別の協力隊OBです。

▼映画公式サイト
http://crossroads.toeiad.co.jp

2013年に募集した「協力隊エピソード」

吉岡エグゼクティブ・プロデューサーによる「撮影日誌」
 

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