Vol.7:大野登世

体育隊員としての協力隊時代

写真:大野登世さん
大野登世さん

南米チリ国の、医療設備の充実していない、人口4000人の町において、病気にならない環境をつくって欲しいとの要請を受けて派遣されました。

まず、「生涯スポーツが実現できる環境作り!」のため、町で中心的な運動施設である体育館を改装し、子供から、高齢者まで安心して、快適に運動が行える施設の提供を目指しました。外務省の草の根無償資金を申請し、2000年に援助が決定、着工。それに伴い、体育館の管理人の設置と体育館利用規約等を見直し、管理だけではなく、住民と役場とのパイプ役も担うなど、地域とのかかわりを重視した形の見直しとなりました。

また、生涯スポーツへの取り組みとして、これまで取り組まれていなかった高齢者の活動にしぼり、体操教室を実施。と、同時に宣伝活動(ポスター、イベント参加など)で、高齢者の活動の重要性について住民への問題提起を行いました。

そして、「地域活動の強化!」として、各教室の実施と高齢者のボランティア制度を推進。 プラス、「個人技術の開発!」町の2つの小中高等学校を回り、体育教師と共同しながら、授業を実施するほか、各地区にて住民を対象とし、健康教室を開きました。

そんな中で感じたものは・・・

写真:隊員時代~生涯スポーツへの取り組み~
隊員時代~生涯スポーツへの取り組み~

これまで、地域活動に対してあまり目を向けてこなかったが、協力隊活動で「地域」の大切さを感じた。逆に、日本で「地域」をキーワードになにかできることがないかと思うようになりました。

2年間の意味を問う・・・

写真:支援クラブのイベント
支援クラブのイベント
手作りフライングディスクの製作

帰国後、協力隊活動の整理がつかなかった。本当にチリの人のためになったのか?ただの自己満足だったのか?その意味を問いたくて、しばらく、国際協力の仕事に携わることにし、JICA国際協力推進員に。与えられたのは、日本の地域で国際協力についての啓発、広報活動でした。学校・地域などで、海外の体験や国際協力についての講演をするほか、多数のセミナー、ワークショップを企画。

さまざまな方のお話を聞き、国際協力の中で、協力隊の活動の意味や意義を自問自答した結果、協力隊の活動は2年で終わりではなく、その経験をいかに消化し、生かしていけるのか、帰国後が本当のボランティア活動ではないかと思うようになりました。

自分サイズの国際協力

JICA推進員の最中、アメリカ同時多発テロ、アフガニスタン、イラク攻撃と国際社会の急激な変化が起こった。仕事上、それについて意見を求められることもあった。地域で、国際協力を身近に感じて欲しくて、「自分サイズの国際協力、できることからはじめましょう!」と言いながら、目の前で起ころうとしている戦争に対し、なにもできないのが辛かった。それどころか、テロ問題を突き詰めて考えていくと、南北問題が存在、先進国に住み、富を独り占めしている側、いわば加害者側にいる自分に気づき、その現状を伝えていかなければいけないと思った。

結局は、このような問題に対しても、環境問題等と同様に、グローバルな課題を考えながら、地域で地道に動いていくしかないのだと感じた。

スポーツをとおしての地域づくり

推進員の経験から次のステップは、地域にかかわっていきたいと思っていた中、国のスポーツ振興計画に基づいた、生涯スポーツ社会の実現の施策として、取り組まれている「総合型地域スポーツクラブ」の設立に関わらないかとの話しを頂き、クラブ設立、育成に携わることに。

スポーツは一人ではできない。人と関わらないと成立しない。だから、地域づくりには、うってつけだと思った。それに、クラブづくりの目的は、あくまで「地域づくり」。文化活動も可能であるので、スポーツ嫌いな人も取り込む余地があることもがうれしかった。

地域に開かれたクラブを!・・・現実の壁

各地域の設立準備中のクラブを巡回し、クラブの設立のための情報提供などを行っているが、地域ごとにそれぞれ特性があり、同じ方法でクラブをつくることが難しい・・・。ある地域では、説明に行くと「自分の地域ではもう十分スポーツ活動は盛んなので、必要ない」という反応が返ってくる。

「自分は、スポーツをできているから必要ない」「自分達の場所をとられてしまうのではないか」との既得権も存在する。自分のことだけを考えていたら、よりよい社会は実現しない。自分もみんなも幸せになれるような、さまざまな方法を模索しているところである。

クラブづくりに一番必要なのは、ビジョン、夢である。クラブづくりによりどんな地域社会を実現したいのか、しっかりしたビジョンをもち、地域の人と対話しながら、地域に開かれたクラブを目指して欲しい。

しかし、協力隊活動と同様、主体は地域の方々なので、自分は提案者に徹していきたいと思うが、でしゃばりすぎることもたまにある。

今後の思いは?

各地域でそれぞれの特性に応じたクラブづくりのお手伝いをしていきたい。まずは、日本の地域を活性化するお手伝いをしたい。
そして、その経験をまた国際協力の現場で生かす機会があれば、なおうれしいのですが・・・

 

人と人とがかかわってこそのスポーツを通しての地域づくり、地道な活動の中に、みなぎる勢いをみせてくれる大野さん、ご協力どうもありがとうございました。今後のご活動も応援しております!

※豆豆知識

JICA国際協力推進員

地域との連携強化を図るために、各都道府県国際化協会へJICAデスクとして配置されているのが「JICA国際協力推進員」。
地域の特色を活かした国際協力に取り組んでいます。いわば、地方自治体、NGO、教育機関、そして地域の人々が、JICAと一緒に国際協力を進めるためのパイプ役です。

総合型地域スポーツクラブ

総合型地域スポーツクラブとは地域に住んでいる皆さんが主体となって運営するスポーツクラブのことです。
複数の種目が用意されていて、子どもから高齢者まで、初心者からトップレベルの競技者まで、それぞれの年齢・興味・関心・技術レベルに応じてできるのが特徴です。

日本体育協会Webサイト

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