思い出のプレゼント(津田 かおり H10年度2次隊/マラウイ/地質調査)

マラウイに赴任してまもなくビレッジステイという研修があった。習いたての現地語を使って、民家にホームステイするというプログラムだった。ホームステイ先の家族に村を案内してもらっていたときに、事件は起こった。事件といっても私にとってだけなのだが。
ホームステイ先の家の女の子が手のひらにいっぱいのアリを持ってきたのだ。そして「美味しいよ、食べて」と、そのアリを差し出した。英語もたどたどしく、現地語はほとんど使えなかった私は、とりあえずここで断ってはいけないかなぁ?と思い、ひとつ摘んで口に入れてみた。「アリを食べている」ということしか考えられず、味も何もわからなかった。
やっとのことで飲み込み、「もっと食べて!」と勧められるのを「お腹がいっぱいだから」とやっとの思いで断った。後で知ったがそのアリは、羽アリで、雨季の時期にしか取れない旬の食材だった。

マラウイに行って二年目の誕生日の日。いつものように職場に出勤した。誕生日ということも自分自身も忘れていた。職場に着いたら実験室の化学助手をしているマラウイで一番のお話し相手のニレンダさんが私のところにやってきた。そして「お誕生日おめでとう!」といってくれた。私は、彼女が私の誕生日を覚えてくれていたことにびっくりしたと同時にうれしかった。お礼を言うと、「お誕生日のプレゼントを買いたかったけれど、お金がなくて買えなかった。ごめんね。」と言った。そして、その後「これ」と白い包み紙を出してくれた。プレゼントはないと言っていたのに、何だろう?と思いつつ受け取った。その包みの中には、白い卵が3つ入っていた。「今日うちの鳥が産んだ卵。こんなものしかなくって」と、彼女が言った。彼女の家では、現金収入の足しにするために鳥を飼っていた。その鳥の卵を今日私の誕生日だからと持ってきてくれたのだ。私は、とってもうれしかった。彼女のその気持ちがうれしくて、その卵が宝石のように大切なとても価値あるものと感じた。誕生日に卵をもらうなんて、日本では思いもしなかった。でもそれがこんなにうれしいなんて、思いもしなかった。

 

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