閉会式に出る意味(小林 若菜 H24年度1次隊/カンボジア/青少年活動)

閉会式に参加する意味を考えたことがあるだろうか?
勝者は景品をもらえるけれど敗者は悔しいのみで、良いことが1つもないのに敗者も閉会式に出るのはなぜだろうか?
初回の運動会開催校で閉会式の際敗者が帰ろうとしていたので止めると、何故参加しなくてはいけないのかとその生徒に尋ねられた。
日本で小さい頃から閉会式と言うものには疑問なく出席していたし、するものだと無意識のうちに認識していた私にとって、その質問はとても難しく、言葉に詰まった。
そのときは「最後まで出るものだから・・・」と明確な返答ができずに終わってしまったのである。

後々、同期の隊員や様々な方に相談して出た見解が「スポーツマンシップ」というものであった。
敗者も勝者もお互いが頑張ったことを称え合うために最後の閉会式まで出席するのである。
勝敗がついたときに「勝者が茶化し、敗者がふてくされる」、この状況が良くなくて、スポースマンシップにのっとっていないためにこういうことが起こるのだとわかった。

よって次回の運動会開催校からはスポーツマンシップについて指導するようになったのである。
といっても指導したことはただ一つ。両者を称え合うための『ピアップオスチャー』というものを導入したのである。
負けたチームと勝ったチームが向い合せになり、 負けたチームが勝ったチームに「123、オスチャー(すごいね)」と言い、 勝ったチームが負けたチームに「オークン(ありがとう)」と言う流れである。

よく授業中等によくできた子に対して行うカンボジア人には馴染みのものである。
しかし、体育の授業や運動現場でこの『ピアップオスチャー』を目にすることはあまりなかった。

これを指導してからは、勝敗が見えると途中で競技を止めてしまう生徒やふざけて競技を行う生徒が真剣に競技を行う様になった。

これの効果はとても良いものであった。
実際にあったその効果のエピソードをお伝えする。
ある中学校の運動会では8年生が全種目負けてしまった。
運動会最中どんよりとした雰囲気。それでも最後まで競技を続け、頑張り続けた彼ら。
毎回競技終了後に「凄いね」という言葉を勝者にあげて、彼らが言われることは無かった。
しかし彼らはしっかりそれを行うのである。

あまりにもいさぎ良く、さわやかであり、頑張った彼らに、逆になんて声をかけたらよいか困っていた。
もしかしたらイライラしているかもしれない。楽しくないと言っているかもしれない。
そんなことを心配していると、その帰り際に8年生の子達が私の元に来た。
そして笑顔でこういうのだ。 「僕たち全負けで正に敗者だよー。でも楽しかったよ。ありがとう、先生。」
もう感動で胸がいっぱいになった。
競技中は見ることができなかった笑顔が、今は負けたことを笑って認めている。
これが「スポーツマンシップ」だと思った。
つまりこの「ピアップオスチャー」はスポーツマンシップを身に付けてくれるものであった!

 

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