シリア人が順番抜かしをされても怒らない理由(成山博子/H19年度1次隊・シリア・環境教育)

首都ダマスカスからトルコ国境に近いシリア第2の都市アレッポに行くことにした。ダマスカス中心部にある長距離バスチケット売り場でチケットを買うため、隊員仲間と一緒に列に並んでいた。連休にアレッポに向かう人が多いようでチケットを買う人の列は長く、シリア人も大人しく順番を待っていた。

その時、あるシリア人が列を割り込んで私たちの数人前に入ってきた。一緒に並んでいた隊員仲間は思わず声をあげ、「皆がちゃんと順番を待っているのに、なぜあなたは割り込むのか。ちゃんと順番を守れ!」と割り込んだシリア人を一喝した。私は割り込まれたシリア人も同感してくれると思っていたが、他のシリア人たちは私たち日本人がなぜ怒っているのかが理解できないようであった。その時は私たちも釈然としないまま帰路についた。

翌日、シリア人の同僚にチケット売り場での出来事を話し、「なぜシリア人が割り込みをされて怒らなかったのか」と聞いてみた。すると、同僚は「時間はたっぷりある。急いでいる人がいたら、その人を優先させるのは当然でしょう」と教えてくれた。その時に、一分一秒時計を気にして予定をたくさん入れ、額にしわをよせて忙しく生きている日本人と、ゆったりと日々を過ごしているシリア人の時間に対する感覚が大きく違うことに改めて気付かされ、私もこの国ではもっと心にゆとりをもって過ごそうと思った。

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