「ムジンバ県における農民自立強化・生計向上プロジェクト」がスタート(2014年4月)

2012年12月に終了した「マラウイ農民自立支援プロジェクト」を基盤に、農民たちを確固たる自立の実現へとつなぐため、外務省の日本NGO連携無償資金協力の支援を受け、当協会は、2014年3月7日に「ムジンバ県における農民自立強化・生計向上プロジェクト」を新たにスタートさせました。

マラウイの急速成長

事前調査以来およそ7か月ぶりに訪れたマラウイは、どこか活気が増したような感覚がありました。一つには十分な雨に恵まれた今季のメイズ(主食となるトウモロコシ)は、全国的に安定した収穫が見込めるという人々の安堵感からにじみ出るものであり、もう一つには経済発展により実際に国が豊かになっているからだろうというのが印象でした。地方都市にもショッピングモールが完成するなど、まさに成長の息づかいが聞こえる今日のマラウイで、約1年をかけて温めてきた新規プロジェクトを、満を持してスタートさせました。

新プロジェクトの概要

「ムジンバ県における農民自立強化・生計向上プロジェクト」は、2012年12月に終了した旧プロジェクトと基本的には同じコンセプト、同じ地域を対象とした3年事業ですが、“人づくり”を目指した具体的な活動の構成要素はレベルアップしています。自給的な農業から、より確かな生計向上につながる商業農業への転換を図るため、コミュニティの基盤強化を経て、持続可能な自立発展の確立を目指します。

スタッフも新しい顔ぶれとなり、辻本誠マラウイ事務所代表(プロジェクトマネジャー)と古川雄三・現地業務調整員を中心に、本部もバックアップします。

予想以上の現状に驚き

今回の出張で、旧来のグループを訪問し、うれしいサプライズに出くわしました。ある男性メンバーが自家用車を購入していたのです。数年前には草ぶき屋根の家に住んでいた彼が、今年1月に車を購入したエピソードは、マラウイでは新聞に取り上げられても不思議ではないビッグニュースです。

一人の成功は例外なのではと感じる方も多いかもしれませんが、周囲の農民にとっては具体的な目標としてイメージすることができ、新しい向上心が芽生えるきっかけにもなるのです。一方、先のプロジェクトで長きにわたり事業を支えてくれた県農業事務所職員などは、人事異動や逝去などにより、半数近くがムジンバを去っていました。

当協会が不在だった1年間に、私たちの予想を超える農民の成長や当プロジェクト支持者層の拡大があったと同時に、成長の伸び悩みや体制の弱体化を感じる部分もあり、その両面をまずは正確に受け止め、3年後の成果に確実に結び付けなければと、気持ちを新たにさせられる出張でした。

旧プロジェクトが農民を介して青年海外協力隊員の活動へ還元

当協会の旧プロジェクトを自身の活動に積極的に取り入れた青年海外協力隊員がいます。2012年1月~2014年3月にムジンバ県北部農業開発事務所に配属されていた村落開発普及員の知念優美さんです。

「収入向上と食の多様化」という活動要請を受け、赴任当初はコミュニティの輪の外にいるシングルマザーの支援を中心に活動していた知念さん。配属先からグループ活動の支援に軸を置くよう依頼をされてからは、村々を回りながら住民たちのニーズを調査しました。その結果、『農業による収入向上を目指す』という目標ができたものの、具体的な解決策を見い出せずにいたとき、隊員仲間からJOCA プロジェクトのニンニク栽培の話を聞いたのです。

以前、香辛料製造メーカーに勤めていた知念さんにとって、ニンニクはとても身近な作物。すぐにムジンバのJOCA事務所を訪れ、丹羽克介代表(当時)に話を聞き、さらに同行した村で、イメージしていた農家の姿を実現している伝達農家のエキスパート、バンダ氏に出会いました。

数週間後、活動する村から村人たちを連れて再訪すると、バンダ氏の話を聞き畑や家並みを見た村人たちの目が、感動の輝きに変わっていました。「自分たちもやろう!」とニンニク栽培への意欲を示した村人を、知念さんが後方支援することになりました。

知念さんは自分の活動地域にバンダ氏を講師として招き、ニンニク栽培法のみならずグループ活動のメリットや運営管理などのワークショップを複数回開催。その結果、村にはグループが結成され、さらに彼らが奥地の村へ普及活動を続け、2013年3月までに17グループが組織されました。

現金収入に結び付くニンニクを収穫して喜ぶ農民
現金収入に結び付くニンニクを収穫して喜ぶ農民
(写真提供:知念優美さん)

伝達農家バンダ氏によるニンニク栽培の講習会
伝達農家バンダ氏によるニンニク栽培の講習会

「紆余曲折はあったものの、初回のニンニク収穫が現金収入に結び付いたことで、今年は作付面積を拡大する予定です。新聞やニュースで見聞きする、農業で収入を向上させた農民の話は夢物語でしかありませんでしたが、バンダ氏は村人にとって“リアリティ”でした。JOCA プロジェクトが私の隊員活動のヒントをくれたのです」

個人や組織がJOCA プロジェクトを異なる場所や分野で活用してくれた例を知ることで、これまでの取り組みや成果を再度考え直し、今後にフィードバックする機会を与えてもらいました。新規プロジェクトでは周囲のパワーを戦略的に取り込むべく、広報活動も積極的に進めていきます。 

(報告:企画開発課 氣田智子)

 

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