1月 ただいま、トマト御殿建設中

「ただいま、トマト御殿建設中」

 


家の一室に貯蔵しているトマトを見せるピリさん夫妻。

 先日、ムジンバの町から約10km 西にあるルベン= ピリ村のキングスレイ ピリさん(プロ
ジェクトが対象としている伝達農家の1人)を訪れると、いきなり私の手を引き、現在建設中の新居の中を自慢げに見せてくれました。「この新居のすべてはトマトからの収益だよ、少し前にグループ村長が通りかかって、賞賛の言葉をいただいたよ、『遠くに行かずに自分の村でここまでやるとは偉いものだ。』ってね。」 このあたりでは、南アフリカのヨハネスブルクに出稼ぎに行くものが多いのですが、ピリさんは今はそんな必要がなく、「僕のヨハネスブルクはこの下にあるよ」、とトマト畑の方を指していました。
 さて気になる建設費用ですが、ピリさんの記録によると、トタン屋根はじめ、レンガ、労賃など今までの支出総額は約11 万5 千クワチャ(≒ 821ドル)、支出予定額は表のドアとフローリング用のセメントなど必須のものを合わせると、約6万クワチャ(≒ 428 ドル)、他、全ての部屋のドアや窓ガラスなどを加えますと、約12 万クワチャ(≒857 ドル)がかかってきます。これらの分の金は、「畑にある」とのことです。 
 昨年のトマトの総売上額はMK11 万クワチャ(≒785 ドル)。4 年前と比べて収入が3 倍になったそうです。その要因は、年間のトマト生産回数を1 回から3 回へ増やしたこと、化学肥料や農薬の投入量を4 分の1 に減らしコストを下げる一方、堆肥の施肥などの栽培技術を向上し、収穫期間を長くしたこと、そして、マーケティング力の向上のようです。 このピリさんは、周辺地域のトマトの価格交渉力を上げた貢献者です。仲買人らを村まで呼びトマト生産者を集めてトマトの競りを初めたことにより(共同で価格交渉を始めたことにより)、買いたたかれなくなったとのこと。いまでは生産者と仲買人らとの間にいい関係が築かれ、方々から仲買人がやってきています。彼のもとにやってくるのは仲買人だけでなく、関心をもつ農家もちょくちょく訪問し情報収集しているとのことです。また、周囲から依頼があると、その村まで出向いてグループ化を促進したり、デモンストレーショ
ンを実施しています。
 ヨハネスブルクへ行かずとも生まれ育った村で家族と暮らしながら、金を稼ぎ、暮らしを少しずつ着実に豊かにできること証明しているピリさんは、この地域の憧れとねたみの的でしょう!? 伝達農家らが集まる会合にも積極的に出席し、そのほかこの周辺地域だけの定例会も持つようになっています。この繁栄という小さな台風の目がしっかりと育っているのを目の当たりにして、他の台風の目と相互に作用しながら、それがムジンバ全体いや、マラウイ全体に広く大きく育っていく姿が浮かぶようです。

(文責:丹羽克介)

 

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