5月の活動日記
5月1~2日 中間報告会・復興支援事業を視察(宮城県)
中間報告会
5月1日、遠野と釜石に分かれて活動しているボランティアたちはこの日宮城県に集まり、当会本部職員も同席して活動の中間報告を行いました。
翌2日は、岩沼市の復興支援の状況を視察。井口経明市長によるレクチャーで同市の復興への取り組みを学んだ後、事業の現場を視察。午後は仮設住宅の集会場にて、仮設住宅に入居する人々との交流会に参加し、盆踊りを踊りました。
当日の詳しい内容はボランティアブログをご覧ください。
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5月3日 江戸時代の行列に加わりました(遠野さくらまつり)
行列に加わる、サムライ姿の男性ボランティアたち
4月20日から5月6日まで開催された「遠野さくらまつり」。期間中、最も人々の注目が集まるのが「南部氏遠野入部行列(なんぶしとおのにゅうぶぎょうれつ)」です。約380年前に、国替えのため八戸から遠野に入部した南部氏の行列を再現するもので、約230人の市民の皆さんが当時の衣装で市内を練り歩きます。
その一員として、釜石・遠野で活動するAUボランティアらも特別に参加させていただきました。
後日、釜石で活動するボランティアらは、英会話教室「チャットラウンジ」で、クラス参加者に写真を見せながら、この日のことを楽しそうに話していました。
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5月7日 カヤ刈り作業(遠野市)
刈ったカヤを運ぶ
遠野市には、約200年前に建てられた国指定の重要文文化財「南部曲がり家千葉家」など、伝統的なかやぶき屋根の家が残っており、観光名所となっています。この日、遠野を拠点として活動するボランティアたちは、ふきかえに使われるカヤの刈り取り作業に参加しました。
5月とはいえ、遠野はまだ桜が咲き始めたばかりで、冷え冷えとした日。ボランティアたちは冷えた手をこすりながら鎌を持って背丈よりも高いカヤを刈り、束ねました。ボランティアの作業に立ち会った方からは、「仕事ののみこみが早い」とお褒めの言葉をいただきました。
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5月8日 JOCA田んぼで農作業(遠野市)
遠野で活動する4人のボランティアはこの日、当会が遠野市上郷町で実施する「ふるさと新生モデル事業」の田植え準備に加わりました。
早朝から稲の苗の水かけに始まり、JOCA田んぼの草刈りや用水路の清掃、トラクターを使っての耕うんなどの作業を行いました。
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5月8日 さまざまなテーマを英語でおしゃべり(釜石でのチャットラウンジ)
タブレットで遠野さくらまつりの写真を紹介
一方、釜石で活動するボランティアはこの日夕方、英会話教室「チャットラウンジ」を開催しました。「週末はどんなことをしていましたか」「好きな食べ物は」というシンプルな質問から、土地の名所から著名人の話、食べ物から観光まで、英語の会話がさまざまなことへと広がります。
ボランティアたちは先週末に「遠野さくらまつり」への参加を報告。「刀を身に着け、サムライの装束を着ることができてうれしかった」「遠野は寒くて桜の花も開き始めたばかりだったけれど、私たちのボランティア仲間の日本名が『さくらさん』なので、“さくら”を見ることはできました」など、当日のことを参加された人々に発表しました。
この英会話教室の特長は、教科書を使わず、参加者と講師が一緒になっておしゃべりを楽しみ、結果として英語が身につく、という点です。参加している人からは「外国のことをいろいろと聞けて、英語も身につき、とても楽しい」と感想をいただきました。
この日は参加者の方から、盛岡に生まれ、釜石に日本初の洋式高炉を建てた「近代製鉄の父」として知られる大島高任(おおしま・たかとう)のことを教えていただき、講師側も岩手、釜石について多くを学んだ日となりました。
5月9日 大槌町での農業ボランティア
畑の土を起こす
この日は朝早くから大槌町へ。NPO法人吉里吉里国より紹介を受けた農園で、田んぼの畔づくりをお手伝いしました。
この農園の方々は以前、腐葉土を作り販売していましたが、腐葉土の原料となる落ち葉は放射性物質の影響を受けやすいことから、震災後に腐葉土の販売が難しくなり、野菜づくりを始めたそうです。今年からは近所の方の田んぼを借り、稲作を始められるとのことでした。
農園の方からは、「ボランティアの力を得て、早く仕事を終えられてよかった」との感想をいただきました。
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5月9日 小学校の授業でアフリカを紹介 その1(遠野)
子どもたちにアフリカを紹介するボランティア
この日、ボランティアたちが向かったのは小学校。遠野市立北小学校の児童の皆さんにボランティアの出身国を紹介したほか、アフリカの遊びを披露して交流しました。
みんなで一緒にアフリカの国探しをしたり、チーム戦アフリカじゃんけんで盛り上がりました。先生役を務めたボランティアは、「とても和気あいあいとした雰囲気で、授業をする側も楽しかった」と、感想を話していました。
5月10日 小学校の授業でアフリカを紹介 その2(遠野)
小学校での授業に少し緊張気味のボランティアたち
この日、4人のボランティアたちは、遠野市立綾織小学校の5、6年生の児童を対象に、アフリカの国々と文化を紹介する授業を行いました。
まずボランティアたちがそれぞれの出身国を紹介。カメルーン、エチオピア、ケニアはどんな国かを、動物や文化、食べ物や言葉の紹介を通じて発表します。
初めに授業をした5年生のクラスでは、アフリカの音楽に合わせてダンスをしながらのイス取りゲーム、アフリカ式じゃんけん対決など、盛り上がるにつれ子どもたちの表情がとても明るくなってきました。
次に訪れた6年生のクラスでは、初めにゲームをしてから、アフリカの国を紹介。ゲームを通じてボランティアたちと打ち解けた児童のみなさんは、国紹介にとても興味を持ってくれたようです。「アフリカの学校は何年制ですか」「日本の好きな食べ物は」、そして「結婚しているのですか?」ということまで、さまざまな質問を挙げてくれました。
授業を観覧していた校長先生からは、「今日の授業は子どもたちにとって貴重な体験になったことと思います。これからアフリカのことを耳にするたびに、子どもたちは皆さんのことを思い出すでしょう」と感想を寄せてくださいました。
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5月25日 田植えに参加(遠野市)
田んぼをならすバリさん(手前右)
遠野市の田植えシーズンは5月下旬。あちこちで田植え機の音が響いています。当会が遠野市上郷町で実施する「ふるさと新生モデル事業」の田んぼも5月下旬に田植え機で稲を植え、最後に残った1枚の田んぼは、協力隊経験者、地域の人々や遠野市の仮設住宅に入居する人々が集まり、この日みんなで稲を植えました。
田植えの前の段階からこの事業の農作業にかかわってきたAUボランティアたち。男性2人は前日までの機械植え作業にも加わり、この日は女性も田植えに加わりました。
皆と一緒に稲を植えるアニックさん(手前から3人目)
女性2人が田んぼで稲を植えている間、男性2人は、田植え参加者のためのお昼ごはんづくり。JOCAスタッフの活動拠点「JOCAっぱ(じょかっぱ)ハウス」の台所で、ケニア出身のダニエルさんがトウモロコシ粉を使った「ウガリ」を、エチオピア出身のブラハヌさんが付け合せのティブス(牛肉炒め)を用意しました。
お昼はおにぎりと、アフリカ料理、皆でついたお餅と地域の人たちから差し入れのおかずも加わり、にぎやかにいただきました。
作業は順調に進み、予定を大幅に短縮して、田植えは午前中で終わってしまいました。作業を終えて、カメルーン出身のアニックさんが「田植え前の草刈りや用水路掃除など、色々な作業に加わってきたけれど、皆と一緒に田植えをして、地域に貢献できてうれしかった」と感想を話していました。
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予定より早く田植えは終了。一本締めで終わりました |
午後は機械で植えた田んぼのスキマに苗を植えました |
5月28日 活動成果を報告(釜石市)
提案書を吉里吉里国の関係者に手渡す2人
岩手に到着してから2か月となったこの日。時が過ぎるのは早いもので、活動の最終日でした。ボランティアたちは、活動地となった遠野、釜石でそれぞれ関係機関や地域の人たちに活動を報告しました。
釜石チームの3人は、釜石市とNPO法人「吉里吉里(きりきり)国」の関係者に対し、これまでの活動をプレゼンテーションにまとめて発表。活動を通じて得た学びや今後の発展への提案などを報告しました。
「吉里吉里国」への提案は、今後10年間で収支を黒字化するための提案や、協力隊経験者のグループ「のとガール」が活動する石川県能登地域での視察で得たビジネスのアイデアを提案書としてまとめ、手交しました。
この日、同時間帯に遠野市でもボランティアらが活動報告会を行いました。
5月29日 温かく見送られて
見送りに来てくださった遠野市の皆さん。
2か月にわたり活動した遠野市での最後の朝。10時台の釜石線に乗ろうと遠野駅にやってきたボランティアたちを、お世話になった多くの皆さんが待っていてくださいました。ホームステイ先のご家族はもちろんのこと、活動でお世話になった市役所の方々、そして、その中には多忙な公務の合間をぬって駆け付けてくださった本田敏秋市長の姿も! 思いがけない再会に、ボランティアたちは感激していました。
神奈川に旅立つボランティアたちを、最後の最後まで、遠野の皆さんが温かく支えてくださいました。本当にありがとうございました。
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5月31日 第5回アフリカ開発会議(TICAD5)の公式サイドイベントで成果を発表
遠野での活動成果を発表するボランティアたち
いつも明るく笑いが絶えないボランティアたち。2か月の活動の集大成となるこの日は、少し硬い表情でした。
翌日からの第5回アフリカ開発会議(TICAD5)本会合を前に、この日当会とアフリカ連合委員会(AUC)が開催した報告会には、平日にも関わらず200名近い参加者が集まりました。
当会金子洋三会長、阿部俊子外務大臣政務官、アフリカ連合委員会人的資源・科学技術局長のアブドゥル・ハキム氏の挨拶に続き、まずは遠野で活動した4人が登壇。被災地支援や地域での活動を発端とし、農業と観光を融合した「アグリツーリズム」の提案としてまとめ、2人のITエキスパートのボランティアが日本語のほか、英・仏・中国語等多言語対応のウェブサイトを制作しました。
アデリアさんは「吉里吉里国」向けの
ビジネスプランを発表
一方、釜石市で活動した3人のボランティアは、同市で開講した英会話教室「チャットラウンジ」等の国際交流事業、大槌町吉里吉里(きりきり)のNPO法人「吉里吉里国」で薪割りのボランティアをするかたわら、同NPOへの運営、ビジネスへの提案をまとめました。
それぞれ発表後には、遠野市の本田敏秋市長、釜石市の英会話教室の参加者からのビデオメッセージが上映されました。本田市長からは活動への評価をいただき、また、英会話教室に参加した中学生からは「おかげで英語が好きになりました。また釜石に来たら一緒に勉強してください」というメッセージが寄せられました。
今回活動したAUボランティアたちは、労働力だけでなく、彼らが持つ知識や技術を活用し、地域振興や自立のための提案をまとめるに至りました。
ビデオのメッセージを見て笑みがこぼれます
当会大塚正明事務局長は総括の中で「双方向の国際ボランティア事業の面で、復興支援・地域活性化への対応は、日本・アフリカに共通した課題であり、ボランティアの活動の柱とした。地域の活性化はまさにアフリカの社会が直面し、それに対する対応は共有できるもの。それにより、違った価値観や新たなヒントが今の日本に必要とされている」と述べました。
AUボランティアとして初めてアフリカ域外に派遣され、日本にやってきた7人。安倍晋三首相が今年5月、アフリカ連合(AU)発足50周年に向けて寄せたメッセージの中でも期待と共に彼らのことが紹介されていました。日本・アフリカ双方の関係者からの期待が時にはプレッシャーとして感じられたことがあったかもしれませんが、明るさと前向きな姿勢で、大きな任務を成し遂げました。
報告会を終え、緊張が解けたボランティアたち。いつもの明るさとユーモアあふれる会話が戻っていましたが、解放感を楽しむことなく、彼らの足はすぐさま別のサイドイベント会場へと向かっていました。
▼当日の詳しい報告はこちらの記事をご参照ください。