老壮青連携によるJOCA国内協力隊構想を日本社会活性化の戦力に(2014年6月発出)

これまでアジア、アラブ、アフリカ、大洋州、中南米の途上国や、90年のソ連圏の解体以後は東欧や中央アジアをも派遣対象にした、日本外交の草の根協力の現場を担ってきたJOCVは、まだボランティアの名詞が共有されない状況での1965年に、青年運動の一翼を担い発足して、近々半世紀の歴史を経るまでに至った。この間のOB・OGが派遣先の現場での日々を通して蓄積してきた経験は目立たないものの、日本外交の異色ではあるが貴重な戦力を構成してきた、と自負しても許されるであろう。総勢3万9千人。90年に発足し、現在はシニア海外ボランティアと呼ばれている壮老世代によるシニア隊員はすでに5千名を越えている。

しかし、継続して隊員を送り出してきた日本の国土と社会は、ほぼ常態になった少子高齢化と過度な都市化により、黄信号から最近は赤信号が灯りだしている。20世紀後半に見られた活力ある成長は、すでに望めない。では、私たちは、この国の21世紀のビジョンとして、国内外に向けて何を提示できるのだろうか。これからの活力ある日本社会を再構築していくには、「持続可能な安定性」(sustainable stability)が求められていると考える。すると、かねてから私たちが主張してきた「海外協力の経験を日本の活性化に生かす」構想力は、現実性の高い変革路線を作れる条件を有している。

それを私たちに切実に実感させたのは3年前に起きた悲劇、東日本大震災後の被災地での復興活動への参画からであった。1960年代に始まった高度経済成長政策がもたらした都市化によって見捨てられた中山間地に散在する限界集落の前途は、国土環境の基盤的な保全力の衰亡である。このままに進めば、有史以来営々と先人の汗と血によって守られてきた山紫水明は消えて無くなる。それは日本人を守り支えてきた源泉の断絶を意味する。その蘇生を図ることこそ21世紀における日本のサバイバルになる。国土と人口の再配置である。そのきっかけ作りは、現在は先行モデル事業だが、JOCVのOB・OGを中核とする老壮青による「国内版の協力隊」創設からだ、と確信する。

東日本大震災の復興には、OB・OGだけでなく、JOCAの海外人脈を活かしてアフリカ(AU)からのボランティア青年まで来日するに至った。そこには援助ではなく、双方向性による対等な関係での互恵意識が働いている。ボランティア活動を越える国際社会における新しい戦略的なパートナーシップの精神が、現場での共働を通して共鳴しあっている。この現場経験は双方の帰属する文化と社会に新たな地平を切り開く序曲になるだろう。

こうした営為の一つ一つが、均衡ある国土の再生構築と開かれた日本社会の強化に資するのである。しかも「地球社会の中の日本」の開かれた国益にも資するグローバル人材育成強化のダイナミズムをもたらす。だからこそ、この志向を展開する諸力は、21世紀の地球の平和を創成する国際公共財の有力な一つにも成り得るのである。

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