【Vol.2】授業実践事例紹介:新潟県村上市立村上第一中学校 小黒淳一先生/コラム 世界遺産学習のススメ~富岡製糸場が世界遺産登録!~

実践事例、最初の事例紹介は新潟県の小黒淳一先生です。小黒先生は平成18年にカンボジア教師海外研修に参加されました。教師海外研修に参加する前から非常に熱心に国際理解教育に取り組み、数々の実践事例を発表されています。

国際理解教育に対する思い

JICA教師海外研修を機に、異文化体験、日本と世界とのつながり、命の尊さ、平和の大切さなどを考える授業や生徒会活動を展開してきた。そのような実践を通して、国際理解教育は生徒の目を輝かせ、自分の生活を見つめ直し、世界(他者)に向けてできることを考えて実践していく「生きる力」を育む教育そのものだと実感している。

授業実践事例

学校の主人公は生徒であり、その生徒の組織が生徒会である。学校の課題を教員の力だけで取り組んでいくよりも、生徒自ら主体的に考え、行動に移していくことの方が事態の改善につながりやすい。ここでは、どこの学校にも存在する生徒会を中心に、学校の課題解決に向けて国際理解教育と絡めた実践を紹介したい。

テーマ 

「食を通して考える 世界とのつながりと私たちにできること」

背景と工夫

給食の残量が多いことが学校生活の課題のひとつだった。全校生徒の意識改善を効果的に促すために、数少ない生徒会本部の生徒だけが動くのではなく、その下部組織で多くの生徒が所属している委員会を巻き込んで取り組んだ。「食べ物や調理員さんへの感謝の気持ちを忘れず、物(命)を大切にする心を高め、結果的に給食の残量を減らす」ことを共通の目標に掲げ、「思いやりランチ週間」という期間を設定した。「無理なく、少しがんばればできる活動」を各委員会が考え、全ての委員会が同時進行して活動に取り組んだ。

内容(「思いやりランチ週間」の2週間の取り組み)

(担当内容)

生徒会本部 給食アンケートの実施。
調理員さん、栄養士さん、生産者の方々へのインタビュー。
生徒集会で食に関わる現状説明
(「世界がもし100人の村だったら」の実演、食料自給率やハンガーマップの説明など)
給食委員会 給食の残量をクラスごとに調べ、掲示する。
図書委員会 図書館にある「食」に関する書物を紹介するたよりを発行する。
情報委員会 「食」に関する意識高揚ポスターを制作して掲示する。
規律委員会 牛乳の残数をクラスごとに調べ、飲んだ本数を掲示する。
保健委員会 子どもに必要な栄養の量やバランスに関するたよりを発行する。
ボランティア委員会 牛乳が全員に配られているかを確認し、飲むように声がけをする。
環境委員会 ランチルームのテーブル拭きといすの整頓を手伝う。
放送委員会 世界の現状と絡めた「食」や「栄養」に関する放送を毎日行う。
応援団 「いただきます」「ごちそうさま」の号令をクラスの係と一緒に行い、心を込めた元気の良い挨拶を呼びかける。

評価

どれほど日本は諸外国から食料を輸入しているか、どれほど世界には食べられない人がいるかなど、食に関して国際理解の視点を取り入れて生徒に考えさせ、心情に訴えた。そして、生徒会組織を動かすことで意識をさらに高め、給食残量を減らすことができた。

JICAほか、教育支援機関の活用例

私が国際理解教育の実践をする契機になったのがJICA教師海外研修である。授業実践の中で、JICA出前講座も活用し、生徒の関心を高めた。また、新潟県には「国際理解インストラクター事業」というものもあり、大学生によるワークショップも生徒の学習に有効だった。そして、学んだことを生徒自ら発表する「新潟県国際理解教育プレゼンテーションコンテスト」にも参加し、学習の振り返りとアウトプットの機会として活用した。その他、中学生による近隣小学校への出前授業や地域商店街と連携した取組も行い、どれも生徒の自主性を伸ばす良い機会となった。

今後、チャレンジしたいこと

国際理解教育は学校によって大きな差があるのが現状である。そこで、生徒の発達段階や道徳的価値、外国語教育や生徒会活動とも絡ませながら、中学校3年間を見通し、どの学校(教員)でも無理なく効果的に実践できる国際理解教育カリキュラムを作成し、幅広い知識と豊かな心をもった行動力のあるたくましい人材を育てていきたい。

ショートコラム 世界遺産学習のススメ ~富岡製糸場が世界遺産登録!

先月、群馬県の富岡製糸場が日本で18番目となる世界文化遺産に登録されました。正式には、「富岡製糸場と絹産業遺産群」として登録され、今や時の場所として注目されることとなりました。皆さんもインターネットで「富岡製糸場」とキーワードを検索してみたのではないでしょうか。ちなみに、富岡製糸場への団体見学は今年度末まで、すでに予約でいっぱいとのことです。

ところで日本国内には、ユネスコ日本委員会が支援する世界遺産学習があることを皆さんご存知ですか。

様々な取り組みを事例で紹介し、国際理解教育から発展させた世界遺産学習に取り組んでいる学校もあります。世界遺産学習は、人権問題や環境問題といった国際理解教育や開発教育につながっていきます。そして今やESD(持続発展教育)にもつながるものとして注目を集めています。

富岡製糸場で注目されている今、世界遺産学習と国際理解教育を組み合わせた授業は、生徒にとっても魅力的かもしれません。「皆さんは、世界遺産が一番多い国をご存知ですか」。そんな何気ない質問からスタートしてみるのもよいかもしれませんね。

ユネスコスクール 世界遺産学習のススメ(NPO法人 世界遺産アカデミー)

「守ろう地球のたからもの~豊かな世界遺産編」(公益社団法人日本ユネスコ協会連盟が作成した教材を掲載)
※授業でそのまま使える写真、映像、ワークシート等が掲載されています)

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