【Vol.4】実践事例紹介:愛知県立千種高等学校 大宮秀樹先生/コラム:今年はODA 60周年 ~ODAは未来への投資!~

大宮先生は平成20年度教師海外研修にて、フィリピンを訪れ、その時に共に派遣された8名の教員を中心に、「中部BQOE (Better Quality of Education) 研究会」を立ち上げ、国際理解教育を推進するために積極的に関わっていらっしゃいます。研究会のメンバーでプログラムを考え、ファシリテーターを務め、最近ではJICA中部やNIED国際理解教育センターなどのプロジェクトに参加し、ワークショップ等も行っておられます。今回は、こうして地域と関わりながら、国際理解教育に携わっていらっしゃる学校外での大宮先生の活動(実践事例)をご紹介します。だれにとっても大切な「家族」から出発して、世界の幸せを考えてみよう、という、親しみやすく、また考えさせられるワークショップです。是非、下記のリンク先もご参照下さい。

中部BQOE研究会HP

国際理解教育に対する思い

「世界は一つではない。だからこそ、互いに違いを受け入れ、意思疎通を図り、共存していこう」。これは私がかねてから考えていることの一つです。「世界は一つだ」と言われることがあります。世界が一つだという考え方は、自己中心的な一つのものの見方や価値観を他者に押しつけようとしていることの裏返しかもしれません。みんなが謙虚に協力し合える世界を実現する手助けをしたいと思います。

実践事例

テーマ

Family Happiness Project ~家族の幸せから世界の幸せへ~

主催者

中部BQOE研究会

参加人数

20名(日本人:教員1、大学生2、高校生13/留学生:大学院生1、高校生3)

使用言語

基本的に英語(日本語を交えても構わない)

 


「2.幸せNo.1家族を探せ!」の様子


「4.日本沈没!日本の家族が海外へ」の1コマ

内容

プログラム

所要時間

内容
  1. アイスブレーキング・グループ決め
10分 声を出さずに誕生日順に並び、日本人学生と留学生がそれぞれに付けられた1~4の番号に従ってグループに分かれる(バースデイ・ライン)。留学生1人と日本人学生4人のグループになる。グループ内で、今自分がはまっていることと本日呼ばれたい名前で自己紹介する。
  1. 幸せNo.1家族を探せ!
 30分 「地球家族」の写真30枚を使い、(1)各個人で一番幸せだと思う家族の写真を選ぶ。(2)グループに持ち帰り、グループで一番幸せだと思う家族の写真を決める。(3)全体でグループごとに一番幸せだと決めた理由とともに発表する。家族の幸せの基準にはいろいろあることを知る。
  1. 自分の家族に欠けているものは?
40分 自分の家族をより幸せにするために問題となっていることをKJ法でグループ共有する。またその解決法を隣のグループに考えてもらい、回し読みで全体共有する。解決法で良いと思うものには「☆」印を、疑問に思うものには「?」印をつける。疑問点についてはそれを書いたグループが答える。日本の家族にもいろいろな幸せの価値基準があることを知る。
  1. 日本沈没! 日本の家族が海外へ
 40分 日本沈没!という設定で、グループにいる外国人留学生の家に日本人家族が同居することになったらどのような点に注意すべきかを考える。グループの日本人メンバーが家族であると仮定する。まず留学生家庭やその国の暮らしぶりを聞き、注意点を考え、ランキングして各グループ3つずつ発表する。価値観の違う者同士が共存するときの方策について考える。
  1. 昼食会
40分 楽しく談笑しながらの昼食。異文化交流会。日本に来て驚いたこと、疑問に思ったことなどについて自由に会話する。
  1. グループ替え・自己紹介
5分 ネームプレートに事前に貼り付けたシールの色により、年齢構成を考慮したグループになる。新しいグループになったところで、好きな色とその理由を述べながら簡単に自己紹介をする。
  1. ミニレクチャー「在日外国人」
50分 各グループ人数分の種類の資料を分担して読み、その内容についてグループで共有する。資料の内容は外国人世帯数の増加、日本で苦しむ難民、日本と他国の外国人政策の違い、日本に暮らす外国人の不満など。各グループで一番印象に残ったこと、気になったことを全体に発表する。その後、ファシリテーターから少し解説を加える。日本の外国人に対する政策の現状を知る。
  1. 海外の家庭が日本へ
75分

外国人が日本で暮らす際の問題をひとつ取り上げ、それを解決するために必要なことを5分のロールプレイで表現する。日本独特の状況を知ったうえで、外国人の立場と受け入れる日本人の立場の両方から、どう行動すべきか考える。「家探し」「職場での助け合い」「アルバイト探し」「マスメディアの影響」において外国人が直面している問題とその解決策についてのロールプレイが繰り広げられた。
世界平和につながるものは?(45分):違う価値観や思想を持った人たちが共存していくための5カ条をまず個人で考える。それから各グループの5カ条を決める。最後にグループごと全体に発表し、共有する。

  1. 私にできること
30分 外国人と共存していくために、自分(たち)にできることを英語でまとめてひとりずつ発表する。
  1. ふりかえり・アンケート
 10分  全体のふりかえりをして、終了する。

まとめ

  • 日本人参加者は一様に、コミュニケーション手段としての英語の重要性を再認識し、学習意欲をさらに高めたようである。また、今回のワークショップをきっかけに第2外国語の学習に力を入れようと決意した参加者もいた。
  • 今回のワークショップを意義深いものにできたのは、参加してくれた留学生たちによる功績が大きい。彼ら留学生それぞれが、単に文化の違いを紹介するのではなく、自分たちが抱えている日本での不満や悩み、自国にある課題などを率直に語ってくれることによって、日本人参加者たちは日本人だけが国際理解教育を推進しているのではないと気づき、多文化共生について考える良い機会となった。
  • 参加者たちは、最初は、日本人としてあるいは留学生として、相手の文化や考え方を理解しようとしていたが、用意したアクティビティを通して様々な考えを聞いたり、資料を読んだり、自分の意見を言ったりするうちに、国を超えた共通の課題のようなものを認識することができた。
  • ロールプレイのアクティビティでは、今の自分たちに何ができるのかを主体的に考え、グループ内でうまくリーダーシップを発揮している参加者を認めることができた。また、課題克服のための具体的な解決策についての提案をロールプレイで実演できていた。参加学生らの発想力・想像力は素晴らしく、各グループが演じるロールプレイを参加者とともに楽しむことができた。
  • 最後の行動宣言「私にできること」や感想から、参加者一人一人が今回の様々なアクティビティを通して、問題解決に向けて周囲の人と関わりを持つことの大切さやコミュニケーション力を培う必要性について認識できたのではないかと思う。

JICAほか、教育支援機関の活用例

出前授業は、実際に現地に行った青年海外協力隊員から直接話が聞けるという点が魅力的で、またとても説得力があり、生徒の目を世界に向けさせる大きな助けになります。施設見学は、青年海外協力隊員の体験談が聞けることに加え、各国からの研修員に会えること、施設の企画展が見られること、エスニック料理が楽しめることなどがとても刺激的で、西欧文化だけでなく世界の様々な文化に触れ世界観が広がります。JICA国際協力中学生・高校生エッセイコンテストは、毎年夏休みの課題にしています。生徒に国際的な課題について考えさせるよい機会になっています。

実践事例は教員海外研修の参加者で立ち上げた中部BQOE研究会で実施したプログラムです。中部BQOE研究会では国際理解をはじめESDで取り上げられる様々な課題に関するワークショップの依頼を承りますので、お申し付けください。

今後、チャレンジしたいこと

答えを見つけるのが難しい課題、あるいはただ一つの正解はないのかもしれないような課題に直面したときに、子供たちが知恵を出し合い一つの対策を導き出せるようになってほしいと考えます。

そのためには、より多くの文化に触れその存在を知ること、より多くの人々の体験を共有し共感すること、さらに実際に様々な課題に対する解決策を考え実施してみることが大切になります。異文化理解の講座や講演会を実施すると共に、ワークショップの形態を活用して小さな実践を積み重ねていきたいと思います。

ショートコラム 今年はODA 60周年 ~ODAは未来への投資!~

冒頭でもご紹介したグローバルフェスタJAPAN。

なぜ、毎年10月初旬にこのイベントが行われるのかご存知ですか。 それは、10月6日が「国際協力の日」だからです。また、今年の10月6日で、日本が国際協力を開始してから、はや60年を迎えることとなりました。

ところでみなさん、日本の国際協力の歴史、ご存知でしょうか。

さかのぼること60年前の1954年10月6日、日本は「コロンボ・プラン」への加盟を閣議決定しました。コロンボ・プランは、アジア太平洋地域諸国の経済・社会開発を促進し、その生活水準を向上させることを目的として設立された国際機関です。この加盟をもって日本の国際協力がスタートしました。 1987年には外務省とJICAがこの日を「国際協力の日」とし、1990年に現在のグローバルフェスタJAPANにあたる「国際協力フェスティバル」が開始され、その後毎年10月6日前後の土・日曜日に継続的に開催されています。

さて、今年60周年を迎えた日本の国際協力を少し振り返ってみましょう。

戦後の日本は、海外からの多くの支援を受けながら復興・発展を成し遂げてきました。例えば、世界銀行から現在の額に換算すると約6兆円とも言われる融資を受け、東海道新幹線や東名高速道路、黒四(黒部)ダムといった国内インフラ整備を進めました。その結果として大きな発展を遂げるわけですが、日本がその融資された資金を完済したのはつい最近のこと、1990年でした。日本は途上国支援を行いながら、着実に返済するということを同時に行ってきました。

戦後賠償が大きく影響しているODA政策ですが、コロンボ・プランへの加盟以降、専門家派遣、研修員受入、インドへの有償資金協力を皮切りに本格化します。日本は1976年に戦後賠償の支払いを完了すると、1977年以後、ODAは日本の経済成長とともに増額され、ODAの実績(援助額/支出純額ベース)は1989年に米国を抜いてトップに立ち、1991年から2000年までは世界第1位を続けました。最近は日本経済の伸び悩みとともに下落傾向にありますが、それでも世界第4位(2013年度)の拠出額です。

また、1992年には中長期的かつ包括的な援助政策をまとめたODA大綱が制定されます。その中では、「人道的支援」「相互依存関係の認識」「環境の保全」「開発途上国の自助努力支援」が基本理念とされました。10年が経過した2003年には大綱が改定され、「人間の安全保障」「平和構築」が挙げられています。

そしてさらに10年が過ぎた今年、日本および国際社会の変化に伴い、ODAに期待される役割の多様性・重要性も増していることから、新たな見直しが進められています。

国際社会の開発に関する議論が変化し、従来の貧困撲滅に加え、持続可能な開発、成長、格差是正、防災、国際保健といった新たな視点や課題に向けた対応が求められています。

ODAは途上国のみならず、日本そして国際社会全体のための未来への投資ともいえます。

次代を担う児童・生徒の皆さんにも、日本の世界への関わりの一部である国際協力の60年間の歩みそして成果を、授業等でもご紹介頂ければと思います。

国際協力の歴史と成果に関する資料(授業等でも使えるかもしれません)

国際協力ふりかえり年表(JICAウェブサイト:PDF 1MB)

60周年ODA事業の成果と歩み(外務省ホームページ:PDF 1.4MB)

 「日本らしいODAの展開-21世紀の世界と『国際協力60周年』-」をテーマに、21世紀の世界情勢や国際協力をめぐる動向などを説明した上で、世界の中で日本がどのような協力をしてきたのか、そして今後、果たすべき役割について田中明彦JICA理事長が語りました。

田中理事長が日本記者クラブで会見――ODAの60年とこれからを語る(JICAウェブサイト)

なお、JICA地球ひろばでは、期間を延長して10月19日(日)までODA60周年記念企画「もっと知ろう!日本の国際協力展」を実施しています。こちらもどうぞお立ち寄りください。

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