【Vol.3】授業実践事例紹介:熊本市立五福小学校 清田憲一郎先生/コラム:今さら聞けない! MDGsって何?

清田先生は2008年の教師海外研修でシリアを訪問されました。研修参加以降、社会科の授業での出前講座活用に加え、グローバル教育コンクールへの参加、Skypeを活用しての子どもたちと隊員との交流、校内常設展示スペースの設置や国際クラブの設立・運営など、授業以外の場面も活用して継続的な実践活動を展開されています。今回は、その様々な活動の中から、学校給食での取り組みを紹介します。

国際理解教育に対する思い

JICA教師海外研修の参加が、自分の常識や価値観を問い直し、国際教育の重要性を知る機会となった。子供達には(1) 知ること、 (2) 調べ、まとめること、 (3)発信すること、 (4)行動すること、の実践を通して「当たり前が当たり前でないこと」「たくさんのチャンスを持っていて生かさないのはもったいないこと」を実感させている。そして、開発教育を通して「自らアイディアを出し合い行動することができる子供の育成」をめざしている。

授業実践事例

テーマ 

世界を助けるプロジェクト~ 給食を残さず食べよう~

  • 実践教科等:総合的な学習の時間
  • 対象(校種、学年、人数等):小学校、6年生、51人(全校児童、260人)

きっかけ

「女性の会(婦人会)」の代表が昨年初め寄付の話を持ってこられた。

単純に寄付をいただくのではなく子供達に考えさせ何か国際協力の活動のきっかけ(教材化)にしたいと思った。担任している6年生の子供達は、3年生の時に地域のお祭りでフェアトレードのチョコレートを販売し、その収益でアフリカの子供達への給食支援を行っていた。それで外国に寄付したいという意見が多かった。

そこで、もう一度その時のことを思い出すために国連WFPのPRビデオの一部(食べ物を食べられなくて栄養失調になっている子供達の様子)や3年生の時に支援したNPO法人IFEの活動「ぼくたちにお昼ご飯おごってくれませんか?」のホームページをみんなで見た。そして自分たちの課題であった給食の残食と外国の給食支援を結びつけることにした。

そこで、まず6年生でプロジェクトチームを立ち上げ「世界を助けるプロジェクト~給食を残さず食べよう~」を行うことにした。

内容(世界を助けるプロジェクト~ 給食を残さず食べよう~)

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授業の様子(1)

内容は、全校児童が課題に取り組み、その「やる気」を女性の会の人たちに認めてもらうことでアフリカの子供達への給食支援に協力していただくということだった。具体的には、まず期間を1か月(6月10日~7月5日までの4週間)とした。

次に昨年1年間の中で給食の残食が一番少なかった月の残食量を給食の先生に教えていただき、その量を目標とした(4週間を通して全校での給食の残食を25キログラム以内に抑える)。まずプロジェクトとして工夫した点は、「今の自分達にできることを考え、友達と力を合わせて行動する。その向こうに支援がある」ということである。寄付を受け取りそのまま渡すのは、単にお金を渡すこと。そこに自分達の活動が入ることにより自分達のがんばりを周りの大人たちが認め、大人たちを動かし、その結果、開発途上国の支援につながるということが大切ではないかと考えた。そして、こういう体験活動が、今後、子供達の開発途上国への支援の実践につながるグローバル教育と考えた。

成果

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授業の様子(2)

6年生の子供達は苦手とする献立の時は、「給食を食べられない子供達のことを思うと共に、自分たちの成長を考えて作ってくださった給食の先生や食べ物(命)に感謝して今までより一口ずつ多く食べよう」と呼びかけながら食べた。6年生は2学級あるのだが、どちらの学級も期間中、残食なしだった。全校では33.9キログラムで、結局目標を達成できなかった。

しかし、昨年の同時期に比べると大変減量できていた。女性の会の方は、目標を達成できなかったのは残念だが、「6年生の残食が0だったこと」や「全校での給食の残食が大幅に減量できたこと」は素晴らしいことであり、「五福小学校の全校児童の気持ちはよく伝わった」と話され、ついに女性の会の人たちを説得でき支援を受けることができた。そしてベナンの子供達の給食支援が完了した。現在6年生は、毎日残食が0キログラムとはいかないがプロジェクト以前に比べると残食はたいへん少なくなった。自分たちの給食(食生活)を見つめ直す良い機会になったようだ。

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授業の様子(3)

それから、地域のお祭りで3年生の時にしたフェアトレードのチョコレートの販売をした。フェアトレードのチョコレートを売ること自体が開発途上国の生産者への支援になるのだが、子供達は、その利益をも開発途上国の支援につなげた。自分達の思いや行動する力で開発途上国を支援するという考えが身についてきたように思った。さらに、このプロジェクトは、周りの大人たちの意識を変える活動にもなった。今回協力していただいた女性の会の方より、「小学生の活動を通して、自分達も開発途上国について意識するようになりました。例えば、テレビで開発途上国の番組が放送されると見るようになったし、以前は気にかけていなかった国連児童基金(UNICEF)や国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国際協力機構(JICA)などの事業紹介を目にすると、五福小の子供達の活動はそういった組織の活動につながっているのかなと意識するようになりました」と言われた。

それから、2学期には「世界を助けるプロジェクト~本をたくさん読もう~ 」を実施した。この時は目標を大きく上回り、フィリピンに本を贈るお金の支援ができた。

JICAほか、教育支援機関の活用例

社会科の授業でJICAの出前講座を活用している。元協力隊員の生の話は子供達によく響く。またJICAの推進員と親しくなることで青年(シニア)海外協力隊員を通じて現地の子供達と手紙や作品の交流を行ってきた。さらにSkypeを使い現地の隊員や子供達との交流も行っている。どちらも子供達には貴重な体験であり保護者にも好評である。それから、活動のまとめとしてグローバル教育コンクールに参加している。子供達も自分達の活動を振り返る良い機会となっている。

今後、チャレンジしたいこと

JICA九州や推進員との連携を深め、開発途上国との交流(Skype、手紙や作品、写真、ビデオレター)をさらに推進したい。また、周りの先生方に機会あるごとに実践の公開をして開発教育の輪を広げたい。それから教師海外研修に参加して以来、毎年、開発途上国を訪問し、現地の人々の暮らしを生で感じ、隊員の活動の様子を直に見て授業の素材探しを行っている。体力の限界まで続けていきたい。

ショートコラム 今さら聞けない! MDGsって何?

皆さん、MDGsって何かご存知ですか?

MDGsとは、“Millennium Development Goals(ミレニアム開発目標)”の略です。これは、開発分野における国際社会共通の目標であり、世界の約束事。より良い世界の実現に向けて、開発途上国が抱える課題を解決するために、国連や各国政府などの諸機関によって、共通の目標として掲げられました。

2000年、日本を含む189か国の加盟国代表出席の下開催された「国連ミレニアム・サミット」で採択された「国連ミレニアム宣言」を受け、2015年までに達成すべき、8つの目標が設定されています。MDGsは知っていても、8つの目標まで言える人は、少ないのではないでしょうか。

  • GOAL1: 貧困や飢餓をなくそう!
  • GOAL2: 小学校に通えるようにしよう!
  • GOAL3: 性による差別をなくそう!
  • GOAL4: 赤ちゃんを守ろう!
  • GOAL5: お母さんを守ろう!
  • GOAL6: 病気を防ごう! 
  • GOAL7: 環境をよくしよう!
  • GOAL8: 世界のみんなで助け合おう!
    ※目標8に関しては、私たち先進国に向けられた目標です。

そして、2015年に達成期限を迎えるMDGsの次に策定されるべき開発目標として国連などの場で議論されているのが、「ポスト2015開発アジェンダ(ポストMDGs)」。明確な数値目標を掲げたMDGsを受け継ぐポストMDGsには、どのような目標や指標が盛り込まれるべきなのでしょうか。世界はどんな方向に向かおうと、どんな議論を重ねているのか。国際理解教育の取り組みの一環として、ポストMDGsを調べてみるのもいいかもしれませんね。 

例えば国連は、ポストMDGsについて世界中の人々の意見を聞くためのウェブ調査を実施しており、国連側が挙げた16項目(例:気候変動対策、教育の充実、政治的自由等)のうち重要な6つを投票することができます。全世界で既に170万人以上が投票しているとのこと。JICA地球ひろばでも来訪者に6つを選んでもらい、独自に集計してお知らせしています。そのほかにも、MDGsをテーマにした教材や取り組みがありますので、下記をご参考ください。

国際協力NGOセンター(JANIC) MDGsを達成しよう

MDGsの内容や達成状況がわかりやすく説明されています。また、途上国の5つのストーリー(例:ブルキナファソで暮らすナナさん一家の1日)を使って、MDGsの各課題の内容や重要性を学ぶワークショップ教材(高校生向け)も配布されています。

JANICウェブサイト

MY World:ポストMDGsに向けた市民からの投票

国連により開設された世界調査サイトMY World 投票用サイト

MY Worldについて(国連開発計画〔UNDP〕サイト)

STAND UP TAKE ACTION 2014キャンペーン

貧困をなくすために立ち上がる世界的キャンペーン「スタンド・アップ」。学校での教育活動の一環としても参加できます(実施期間:2014年9月13日〔土〕~10月19日〔日〕,報告締切:10月27日〔月〕)。

STAND UP TAKE ACTIONサイト

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