【Vol.8】実践事例紹介:沖縄県立陽明高等学校 友寄美恵子先生/コラム:シンポジウム「学校教育におけるESDの学習評価のありかた」に参加して

今回の事例紹介は、沖縄県立陽明高等学校 友寄美恵子先生(教科:英語)です。

友寄先生は、平成25年度の教師海外研修に参加し、ザンビアを訪問しました。今年度は、学校の中で国際理解教育担当者になり、JICAの出前講座やセンター訪問学習を活発に利用されています。「多くの生徒にワークショップを体験させたい」という熱意をお持ちで、一つのワークショップが終わるとすぐに次の相談をするという積極的な姿勢で取り組んでおられます。

今回紹介する友寄先生の授業は、オールイングリッシュが前提の科目であるため、生徒たちの英語力との関係から、学習内容を深めていくことに課題があるようですが、その中でもザンビアと自分たちのつながりに気づき、世界への関心が高まったという成果も見られています。

国際理解教育に対する思い

昨年度はJICA沖縄教師海外研修に参加し、担当教科の英語で、派遣国ザンビアについての授業を中心に実践した。今年度は、「国際理解」という学校設定科目で国際理解・開発教育を行っている。生徒には、世界に目を向け、世界の中での自分の立ち位置を知り、自分の選択や行動が地球規模でみるとどんな意味を持つのか意識することで、進むべき道を見つけてほしい。

実践事例

1. タイトル
What is Zambia like? ザンビアってどんな国?

2. 対象
高校1年生

3. 実践科目
コミュニケーション英語I(4時間)

4. ねらい

  • 「ザンビア共和国」についての学習を通して、世界への興味関心を高める。
  • ザンビアの子どもたちとの交流を通して、世界と自分たちのつながりを感じる。
  • コミュニケーションツールとしての英語の重要性に気づく。

5. 実践内容

プログラム 使用教材
1 【アフリカを見てみよう】
  1. 1グループでブレインストーミング
  • 1分間で知っているアフリカの国をできるだけたくさん書く。
  • 1分間で思いつくアフリカのイメージを書く。
  1. JICAアフリカ部によって制作されたアフリカ理解のためのスライドを使用し、アフリカ諸国の基礎情報、日本とのつながり、抱える課題とそれに対する日本のODAについて学ぶ。
スライド
「LookatAfrica2013」
(JICAアフリカ部制作)
2 【ザンビアの子どもたちへメッセージを届けよう】
  1. 派遣国ザンビアの位置を世界地図で確認し、簡単に紹介。
  2. 現地の小・中学校で子どもたちと交流することを伝え、その子どもたちへ届ける「メッセージカード」を生徒一人ひとりに作ってもらう。
  • カードには、英語で自己紹介や沖縄の紹介などを書く。
  • 日本語を併記したり、イラストを描いたり、日本や沖縄に興味を持ってもらえるような工夫もする。
    ※完成したカードは1枚1枚ラミネート加工し、写真用のファイルにまとめて、沖縄出身の青年海外協力隊員が活躍しているザンビアの学校へ届けた。
  1. 世界地図
  2. アフリカ地図
  3. 色画用紙
  4. 色鉛筆
  5. ラミネート
3 【What is Zambia like? ザンビアってどんな国?】
  1. クイズ形式でザンビアについて学ぶ。
    4択や○×式のクイズをチーム対抗で楽しみながら、ザンビアの地理的位置、自然、生活、食文化、言語、学校の様子を学ぶ。クイズは質問も答えもすべて英語 
  1. 写真や実物で補足説明する。
    現地で撮影してきた写真や持ち帰った実物を見せながら、より詳しい内容について触れる。説明には日本語も併用し、きちんと理解できるようにする。 
  1. ザンビアの歌を聴きながら、振り返りシートを記入する。
    ザンビアの知識と英語表現の定着を図るため、ワークシートでクイズを復習する(英語)。授業の感想を書く(日本語)。
  1. スライド
    「What is Zambia like? ザンビアってどんな国?」
    (友寄美恵子制作)
  1. 実物
    ・ザンビアの主食「シマ」を作るメイズの粉
    ・ザンビアの子どもたちが使っているノート 
  1. 音楽CD
    ザンビアのポピュラーソング
4 【Let’s Write about the Picture!  写真について書いてみよう!】
  1. グループでマッピング
    ザンビアで撮影してきた学校の写真を見て、分かること、感じることを付箋紙にどんどん書いて、写真に貼っていく。
  1. シェアリング
    各グループ、出てきた意見をまとめて発表する。その後、教師が写真について補足説明する。
  1. 英文ライティング(記述)
    マッピングした意見の中から5つピックアップし、写真について英文を5つ書く。
  1. 英文ライティング(感想)
    写真を見て感じたことを英語で書く。

ザンビアの学校の様子
(友寄撮影)

6. 成果

(1)ザンビアとザンビアの人々に対して良いイメージを持ち、世界への関心が高まった。
(2)「違い」とともに、どこへいっても変わらない「共通のもの」があることに気づいた。
(3)ザンビアの人々と自分たちのつながりを感じることができた。
(4)「もっと知りたい」「しっかり勉強しよう」「英語を学ぼう」など、学習意欲の高まりが見られた。

7. 課題

「コミュニケーション英語I」はオールイングリッシュが前提の科目であるため、深い内容を扱うのが難しい。生徒たちの英語力に合わせながらも、ザンビアやアフリカ諸国の課題について発展的な学習を行う研究が必要。

英語のクイズでザンビアについて学ぶ
英語のクイズでザンビアについて学ぶ


英文ライティングにチャレンジ

JICAほか、教育支援機関の活用例

JICA沖縄国際センターから車で10分ほどの場所にあるという本校の立地条件を生かし、出前講座や訪問学習などJICAの開発教育支援事業をフル活用している。どのプログラムも、実践者による説得力のある授業展開が行えるため、生徒は、世界への関心を高め、国際的な課題について気づきを得ることができる。JICA沖縄主催の「おきなわ国際協力・交流フェスティバル」にもブース出展し、学習のまとめの機会としているが、生徒が最も成長できる取り組みとなっている。 

今後、チャレンジしたいこと

英語の運用能力を高めながら国際理解・開発教育を行うことにこだわっていきたい。グローバル化がどんどん進む現代社会において、国際理解と語学力の育成は、どんな生徒にとっても必要であると思う。世界のことを学ぶ中で気づいたこと、感じたことを英語で表現する訓練は、生徒たちにとって、将来きっと役に立つと信じている。

ショートコラム シンポジウム「学校教育におけるESDの学習評価のありかた」に参加して

長年、国際理解教育と開発教育分野で注目されているのが、学校教育における学習評価のありかたです。そしてこれに関連するものといえば、持続可能な開発のための教育(ESD)。2014年11月にESDに関するユネスコ世界会議が開かれ、本メルマガの11月1日配信号でも取り上げたことは記憶に新しいですね。ますます注目度が増す中、ユネスコスクールの質の向上が叫ばれ、さらにユネスコスクールの活動をより推進していくためには、ESDをどのように進めたら、学校にどういったメリットがあるのか、そしてどう評価すれば、生徒と学校全体がエンパワーメントするのかを示すことが重要になってきているかと思います。

先日、文部科学省、ユネスコスクール支援大学間ネットワーク(ASPUnivNet)、岡山大学主催の公開シンポジウム「学校教育におけるESDの学習評価のありかた」が開かれました。公立高校の現場の先生が、クロスカリキュラムの実現や学習プロセスに着目した評価の重要性、そして必要性について発表しました。中高一貫校の先生は、ESDプログラムの質に着目し、コミュニティサービスを利用した生徒自身の主体的な意見発信活動を軸とした評価方法を例として話をしました。また国立教育政策研究所からは、「日本のユネスコスクール加盟学校数は世界一ですが、それぞれの学校での実施にとどまり、ネットワークが必要ではないか」という意見が出ていました。

ESDと大きく関わっている国際理解教育・開発教育は、総合的な学習の時間や道徳、そして各教科でどのように評価するのかが課題となっています。評価の重要性やその目的について頭を抱えている方も多いかと思います。グローバル人材の育成が叫ばれる今、うまく評価と連動し合って、新たな国際理解教育・開発教育の普及の時代へとつながればいいですね。

最後にESDの今後について紹介します。2014年11月に名古屋市と岡山市にて「ESDに関するユネスコ世界会議」で「国連のESDの10年」を総括し、またESDの今後について議論されたことを受け、文部科学省国際統括官・初等中等教育局長の連名でさらなるESDの推進についての文書が各都道府県教育委員会等に発出されました(平成26年12月8日付)。ぜひ、下記の参考資料をご参照ください。

ESDの評価手法として開発されたHOPE(財団法人 ユネスコ・アジア文化センターのサイト)
持続可能な開発のための教育(ESD)の推進について(依頼状) (ユネスコスクールのサイト/1月28日のトピックス)

 
リストに戻る

ページの先頭に戻る