遠野での活動終了 感謝をこめて ~遠野研修生(2015年9月)

平成26年5月に遠野事務所に配属されて1年3か月、この度晴れて平成27年度3次隊ブータン・マーケティング隊員として青年海外協力隊に合格いたしました。多くの方からいただいたご支援、ご協力に感謝の気持ちを込めて、これまでの活動を振り返りたいと思います。

田植えも二回経験
田植えも2回経験

私が遠野に引っ越してきたのは5月の下旬、「ふるさと新生モデル事業」の田植え真っ盛りの頃でした。引っ越しの荷解きもほどほどに、早速田植えに汗を流したことを昨日のことのように思い出します。赴任当初は遠野の豊かな自然あふれる風景のなかで働けることに期待を持ちつつも、この土地にうまく馴染めるのだろうかという不安を抱えていました。しかしそんな不安はほんのひと時のもので、遠野の方々は他所から来た私をとても温かく迎え入れてくださり、すぐに遠野での生活に馴染むことができました。

遠野での私の活動は大きく3つです。第1に遊休農地を活用した稲作、第2に廃校となった中学校の活用、そして第3に地元産直と協働による新たな特産品の開発です。

初めての米づくり

はせ掛けの組み方を教わる
地域の方に、はせ掛けの組み方を教わる

稲作は、これまで田植えや稲刈りなど部分的な経験しかありませんでしたが、1年を通じて米作りがどのように行われ、稲がどのように育ち、農家さんたちがどういう苦労をしながら、どんな気持ちで米を作っているのかということを学びました。収穫した米は田植えから稲刈りまで一貫して作業に携わった分、味は格別でした。また農作業を通じて、様々な農家さんの知恵を教えていただきました。ロープの縛り方、はせ掛けの杭の組み方、味噌の作り方など、何十年、何百年も続いてきた技術を学びました。

 地域住民との協働 


のんびり広場オープンを祝う手作りの
くす玉が割れるか心配

廃校の活用では、住民のニーズをくみ取りながら、それを形にして運営していく一連の流れを学びました。自分が主体となって運営していくのではなく、主体はあくまでも地域という、これまでに経験したことのない立場をとる難しさに当初は戸惑いもありましたが、企画したイベントなどが円滑に進むように広い視野を持って対応することの大切さを学びました。また、地域の方々が、自分の仕事や生活をしながら、廃校活用を通じた地域活動にも積極的に参加する姿を見て、遠野に来るまでの私が、家と学校や会社の往復しかしておらず、地域との関わりを持てていない生活だったことを反省し、私も一遠野市民として様々な地域活動に参加するようになりました。
 

特産品開発


産直のお母さんたちと試作品を持って 

そして産直の方との協働による特産品開発は、前職の観光土産品の企画開発、販売営業職の経験を活かすことができ、喜びはひとしおでした。「上郷世界のおやつ計画」と銘打ち、地場産品を使用し、産直のお母さん方と共に、協力隊の先輩方から教わった世界のレシピで新しい商品を開発することを企画し、何度も試作を重ねました。

作ったことも食べたこともない世界の料理を、お母さん方のこれまでのお菓子作りの経験をもとに、完成図を想像しながら作ることは容易なことではありませんでした。また世界のレシピでは使われている材料が珍しいものが多く、日本で手に入れるのが困難で原価を逼迫したり、ようやく完成したと思っても、試食してもらうと「おいしくない」と言われたりすることもしばしばありました。そんな苦労の多かった試作品の中には、産直の方に気に入っていただき、実際に店頭に並ぶものもありました。店頭に並んだ商品を見つけたときはとても嬉しかったです。 

遠野ではこれまでの経験を活かしながら、青年海外協力隊での活動を見据えて実践的に経験を積むことを目的に活動してきました。しかしながら、これら3つの活動は「青年海外協力隊のため」だけではなく、私の人生にとっても大きな経験となりました。特に地元の方との特産品の開発は、私のライフワークにしていきたいと思うようになりました。

伝統芸能への参加

神楽笛デビュー
ついに神社での神楽笛デビュー

仕事以外の活動では「郷土芸能」への参加が思い出深い一幕です。これまで私が住んできた場所では伝統的な地域の文化に触れる機会がありませんでした。伝統文化は敷居の高いイメージがありましたが、遠野の方はどの郷土芸能団体の方も快く迎え入れてくれました。中でも「平倉神楽保存会」の皆さんさんには大変お世話になりました。

「ほれ、やってみろー」と舞や鐘、笛など様々なことを積極的に体験させてもらいました。特に笛は初めて音色を聞いた時から虜になり、練習用の笛を借りて何度も練習しました。最初は音を出すことさえままならなかったのですが、音が出るようになり、節を吹けるようになり、手作りの竹の笛をいただいてそれを吹くようになり、ついに本番デビューさせてもらうまでになりました。神楽の舞台の多くは神社で行われ、神聖な雰囲気の中で吹く笛はものすごい緊張感と、なんとも形容しがたい高揚感がありました。ブータンでもこの笛の音を響かせたいと思います。
 

遠野での経験を携え、ブータンへ

こういった活動が出来たのも遠野市の皆さん、遠野事務所スタッフである佐藤所長、福寄さん、本部の職員の皆さん、そして協力隊のOB・OGの皆さんなど、多くの方に支えていただいたおかげです。皆さんには心からの感謝の気持ちでいっぱいです。
ブータンでは現地の商工会議所に所属し「一県三品運動」に従事します。これはブータンの特に農作物を使った特産品を開発し、品質管理から販路開拓までを地元の企業家の方々と行うものです。将来的には海外に向けた販売も目指した商品を作っていきます。まさしくこれまでの私の経験が活かされる場です。

私はこれから青年海外協力隊員として2年間、ブータンの方のために活動を邁進します。しかしその活動は、現地の方のためだけに行うものではありません。これまで応援してくださった方への恩返しの気持ちも込めて行っていきたいと思います。

振り返るとあっという間の1年3か月でした。10月からは派遣前訓練が始まるので、遠野を離れなければなりません。協力隊参加への期待や喜びの反面、遠野を離れる寂しさもあります。協力隊での一日一日を大切に活動し、成長した姿で遠野に帰ってきて、胸を張って皆さんにお会いできるようにしたいと思います。
 

報告:遠野事務所研修生 新保隆彦(27年度3次隊/ブータン/マーケティング 派遣予定)
  

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