「やっぱり海が好き!」釜石海上保安部見学イベント(2013年9月8日開催)

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見学する巡視船「きたかみ」

スクラムスクールで海に関連するイベントを開催する際はいつも天気に悩まされるのですが、この日も朝から小雨が降っていました。

今回は釜石海上保安部(以下、海保)の協力をいただき、海保の施設を見たり巡視船で体験航海したりする予定だったので、雨が降ると滑りやすくて危険なことから、開催できるかが心配でした。

しかし、「このぐらいの雨なら大丈夫ですよ」と海保の方々からのお墨付きをもらい、実施することができました。参加者も天気を心配していたようですが、「船に乗れますよ!」と伝えると、子どもたちの顔つきがぱっと明るくなり、このイベントを楽しみにしてくれていたんだなと、うれしくなりました。

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当時の資料写真を見ながらの説明に聞き入る参加者たち

当初の定員は船の大きさを考慮して30名に設定していましたが、予想をはるかに上回る申し込みがあり、急遽午後の部も設け、合計60名で実施しました。

まずは海保の施設見学から始まりました。各部署の部屋を間を通って屋上に上がり、震災当時の海保の活動の様子を聞きながら、まだ津波の爪痕が残っている海岸なども見学しました。

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海保のキャラクター「う~みん」は子どもたちに大人気でした!

震災当時、海岸のすぐ近くに建つ海保の建物は津波により4階建ての建物の2階まで浸水し、ほとんどの設備が被害を受け業務を行うことができなくなったそうです。震災後の復旧工事では、当時の教訓を生かし、建物の補強や設備面の改善がなされたそうです。

見学の後会議室に戻り、海保に関する三択クイズをしました。海上保安庁は、国土交通省、農林水産省、防衛省のうち、どの機関に所属しているか、というクイズです。

「へぇ~そうなんだ~!」と思える内容で、海保のことをより詳しく理解でき、大人でも楽しめました(答えは最後に)。

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壊れた防潮堤にある傾いた赤い灯台(写真中央)と
修復中のクレーン

楽しいクイズの後はいよいよ乗船です! 小ぶりでスピードの速い巡視艇「きじかぜ」と、さらに今回は特別に、大きな巡視船「きたかみ」も同時に見学させてもらえることになりました。

救命胴衣を着用し、2組に分かれてそれぞれの船に乗りこみます。相変わらず天気がすぐれないものの、「きじかぜ」に乗って潮風を体いっぱいに感じながら出港です。

大声を出しても聞こえないほどのエンジン音と風の音に圧倒されながらも、あっと言う間に港が小さくなり、正面にはギネスブックに登録された世界最深の防潮堤が見えてきました。今回の津波で壊れてしまいましたが、普段は見られない距離からその修復の様子を間近に見ることができました。 

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文句なしの100%笑顔!

港に帰る途中、もう一つ、普段見られない景色を見ることができました、それは、釜石の観光名所の一つである釜石大観音の正面の姿です。観音様はいつも海の方を向いているので、通常見られるのは後ろ姿だけです。こうして船に乗って沖に出たときにだけ見られる正面からの特別な光景に、子どもよりも保護者が喜んでいました。

船の中の設備にも、子どもたちは興味津々。操縦席の隣を陣取って船を操縦する様子を眺めている子もいれば、船内にある様々な機械の写真ばかりをたくさん撮っている子もいました。時々、海保の帽子をかぶり船の操縦席に座らせてもらっている子もいました。気分はすっかり船長さんです! とっても満足げなその表情から、将来は海の男になる!という思いを感じました。

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巡視船「きたかみ」の中を見学して回る
小さな探検家さん

帰港後、次に見学したのは全長68メートルもある巡視船「きたかみ」です。「きたかみ」は数日間以上港を離れることもあるため、キッチンやお風呂、トイレや乗組員のベッドなど船上で生活できるような設備が併設されており、それらも見せてもらいました。全体的に天井が低くコンパクトで、船が揺れても物が落ちない設計になっているのが印象的でした。

今回の企画はスクラムスクールのオープン以来、初めて海に出るイベントでした。震災から2年半、子どもたちの心はどうだろうか、海は怖いもののままなのか、行きたいけど行けない所なのかなど、いろいろと悩みました。

昨年度は、子どもたちの精神状況を考慮して海に関わるイベントは控えていました。

震災から2年半たった今、子どもたちの海に対する心はどうだろうか、海は怖いもののままなのか、行きたいけど行けない所なのかなど、心配に思う気持ちと、やってもみてもいいんじゃないかという周囲の声との間で悩んでいました。結果として、やってよかったと思いました。

やはり三陸で育った子どもたち、海の恵みも海の怖さもしっかりと認識しているのだと思います。子どもたちの表情を見ていると、心の根底にあるのは「やっぱり海が好き」という思いなのだと感じました。今回の体験を通してその思いを再認識し、釜石をもっともっと好きになってほしいと思いました。 

(ちなみに、3択クイズの答えは「国土交通省」です)

 

報告:釜石スクラムスクール 椋野まゆみ
(平成21年度3次隊/ガーナ/青少年活動)

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