釜石の「高校生ナビゲーター」が語る、東日本大震災(2013年6月15日開催)

晴れの日が続いていた6月。けれども、スクラムのイベント開催予定日のたった1日だけが雨の予報でした。しかし当日は心配された雨も止み、天気に恵まれた中でイベントを開催しました。

内容は、釜石の高校生が、外務省の青少年招へい事業「JENESYS2.0」で来日したパプアニューギニアの学生12名に、沿岸の被災地域を案内するという企画です。PNGの学生らは、6月に2週間日本に滞在し、伝統文化や防災教育などへの理解を深めたほか、日本の青少年と交流を図りました。

実を言うと、今回の企画は私たちが考えたものではなく、ある女子高校生からの提案がきっかけでした。彼女は「大人が被災体験を語る場はあるのに、私たち子どもには(それを語る場が)ない。子どもであっても被災体験は持っている。そういう機会があってもいいのではないか。」ということを話してくれました。それを形にすべく、今回の企画となったわけです。どういう経路で回るか、どこで誰が話すか等、内容のほとんどを高校生たちが事前に考え、準備してくれました。

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絡まった紐を楽しそうにほどきながら自分のバディを見つけます

12名の高校生たちは事前に集まり準備などをすませ、いよいよPNGの学生たちと対面です。出迎えの後、みんなでアイスブレイクを兼ねて、高校生&PNG学生の「バディ(ペア)」づくりをしました。

たくさんの紐の中から一本だけ選び、自分と同じ紐を持っていた人がバディです。今日一日バディと一緒に行動し、被災地域の説明や高校生自身の震災体験をPNG学生のバディに伝えることになります。

その後、日本のこと、三陸・釜石のこと、自分たちの生活のこと、そして東日本大震災のことを紙芝居で写真とともに説明しました。PNGの学生たちがメモを取りながら熱心に耳を傾けてくれていたのが印象的でした。

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日本大震災について話す高校生

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一生懸命「伝える」ということが大切だと気付かされました

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鵜住居防災センターの窓からの風景を見ながら話す高校生とPNG学生

そして、いよいよ貸切バスに乗り込み、被災地域の案内開始です。窓越しに更地の広がる釜石の市街地の説明や、震災の8日前に完成した三陸道が当時の救援に大変役立ったことなどをバディに説明します。もちろん全て英語で話さなければなりません。予め説明文章を作っておいたので読むだけで大丈夫ですが、PNGの学生たちからの質問には何とか頑張って答えてくれていました。

大槌町を一望できる公園や旧大槌町役場へ行き、それぞれの説明をし、自由に見て回りました。高校生に積極的に英語で質問するPNGの学生たち、そして自分の知っている英語を駆使して一生懸命に答え、説明する高校生たち。その姿を見ていて、PNGの学生たちにとっても高校生にとっても、非常に有意義な時間を過ごせていることを実感しました。
仮設店舗での食事を終え、次に向かったのは、釜石で一番被害の大きかった鵜住居(うのすまい)地区です。被災した鵜住居防災センターの前で、鵜住居にあった中学校出身の高校生に説明をしてもらった後、バディと一緒にセンター内に入り、お線香をあげ、内部の説明をして回りました。センターの近くにはJR山田線の鵜住居駅もあり、今は津波で線路もホームも流されて駅の雰囲気だけが残っているだけですが、そこから鵜住居地区を一望しながら高校生たちの説明は続きました。

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雄大にソーラン節を踊る代表高校生たち

平田を出発し、最後は釜石駅前にある「復興の鐘」を鳴らして、みんなで黙とうしました。復興の鐘には「鎮魂」「復興」「記憶」「希望」の四つの文字が書かれています。少し雲行きが悪くなってきた中、「今回釜石に来てくれたPNGの学生たちに自分たちは元気だということを伝えたい、そして釜石を元気づけたい」という想いをこめて、高校生代表者によるソーラン節を披露してくれました。

「どっこいしょーどっこいしょー」「ソーランソーラン」の元気な掛け声と共に、近くの仮設店舗や公園から見物客が集まってきました。伝統のある大切な袢纏(ハンテン)をわざわざ借りて、精一杯全力で踊る高校生たちの姿に感動すら覚えました。
高校生たちからは「またやってみたい」「被災地のことを深く知ることができた」「今まで経験した国際交流の中で一番コミュニケーションがとれた」「今まで国際交流とか自分には合わないと思っていたけど、今日で興味が深まった」などの声が聞かれ、それぞれにとてもいい経験になった様子が伺えました。
地元にいるから知ろうとしなかったことを改めて知り理解すること、そしてそれを外へ発信する・伝えるということの大切さ、そしてそれは誰しもができることではない、自分にしかできないことだいうことに、今回参加してくれた高校生たちは気付いてくれたと思います。
できれば今後も高校生と共にこの「高校生ナビゲーター」の企画を続けていけたらと思っています。

報告:国内協力隊 椋野まゆみ
(平成21年度3次隊/ガーナ/青少年活動)

[関連リンク]
青年海外協力協会は、外務省事業「JENESYS2.0」のうち、太平洋島しょ国からの学生受け入れを実施しました

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