No.8 心の福幸

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同じ仮設に住み、
登下校を共にした生徒と共に

3月まで活動していた岩手県釜石市立釜石中学校は、生徒数420人という大所帯で、被災をした生徒たちは、津波で住宅が流されたり、両親を亡くしたりした状況の中、日々の学校生活を送ってきました。

岩手県釜石市は、いまだに仮設住宅に住みながら生活を送っている人たちが多く、仮設住宅から学校に通っている生徒もたくさんいます。また、震災の影響で、自宅を移らざるを得なくなった生徒も多数おり、スクールバスに乗ったり、徒歩で1時間以上かけて学校に通ったりする生徒もいました。

私の釜石中学校での主な活動は、震災後、精神的に不安定になった生徒へのさまざまなケアを行なうことでした。具体的には、勉強に集中できる環境を整えることや震災前のような状態に近づけることです。そのため、積極的に話しかけ、献身的に生徒の相談にのり、落ち着いた学校生活を送ってくれるように活動してきました。なかには、教室に戻れず、別教室で授業を受ける生徒もおり、その生徒たちが教室に戻れるようにサポートしてきました。

離任を間近に控えた3月12日、釜石中学校では卒業式が行われました。今年の卒業生150名は、3年前、震災の影響で小学校の卒業式を迎えることができませんでした。その思いも込め、今年の卒業生は9年分の卒業式を無事挙げることができ、晴れやかな姿で巣立っていきました。

東日本大震災でたくさんの苦しみを負った生徒たち。勉強する場所がない、部活動ができない、遊ぶ場所がない。そんな現実と向き合い、それでも笑顔を絶やさず過ごしてきた生徒たち。そんな生徒たちと共に過ごした時間を私は忘れません。

私は、これからも人を笑顔にできる「心の福幸」を目指して日々を過ごしていきたいと思います。

岩手県釜石市配属 岩手復興局 復興支援専門員
橘 佳祐(H23-1 /コロンビア/野球)

※当協会広報紙Springboard 2014年5月号からの転載

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