安心して暮らせる仮設住宅コミュニティーづくり(2011年9月15日)

東日本大震災から半年が過ぎ、被災した人々の生活が、避難所から仮設住宅へと移りつつあります。

阪神・淡路大震災では、仮設住宅に入居したものの、新しい生活環境に解け込めず、孤立してしまう被災者が少なくありませんでした。そこで東日本大震災の被災地では、厚生労働省により、仮設住宅地域に「サポート拠点」の設置が推進されています。これは、サポート拠点に「生活支援員」を配置して入居者から相談を受けるとともに、地域内の交流を図り、孤立しがちな高齢者や障がいがある人も安心して暮らせるコミュニティーをつくる取り組みです。

さまざまな面で入居者をサポート

宮城県岩沼市は、県内で初めてとなる「仮設住宅サポートセンター」を里の杜地区の総合福祉センターに設置しました。JOCAは6月25日に宮城県岩沼市と協定を締結し、7月から、生活支援員として初の「国内協力隊員」(注)をセンターに派遣。今後2年間の予定で活動を始めました。
(注)東日本大震災の被災地復旧・復興の「力」となるよう、JOCAが協力隊OB・OGを雇用して被災地に長期派遣する制度。詳しくはこちら

里の杜地区には384戸の仮設住宅が建てられ、約1,000人が入居しています。7月に着任した青木淳JOCA職員(H17年3次隊/ケニア/青少年活動)、国内協力隊員の枡田麻美さん(H20年3次隊/ラオス/助産師)に続き、現在は、国内協力隊員の杉山さとみさん(H19年1次隊/ケニア/服飾)、桝山明さん(H20年4次隊/ボリビア/村落開発普及員)の2人も加わり、4人体制で活動しています。また、協力隊OB会と連携して、9月初めからは松崎志津子さん(H12年3次隊/チリ/建築)がボランティアとして加わり、約10日間、仮設住宅の住環境改善等についての調査に当たっています。


写真:9月に行われた花火大会で。
左がサポートセンターのスタッフ

8月中は、岩沼市の社会福祉協議会、地域包括支援センター、介護福祉課と連携し、全ての仮設住宅を巡回しました(※)。また、イベントのチラシ配布や、熱中症予防の呼びかけなどを通じてコミュニケーションを積極的に取ることで、入居者のニーズや、苦労していることがないかなど、日常会話の中で生活の様子をうかがい、支援につながる状況を集めています。

 

※巡回では、入居者の3割を占める65歳以上の高齢者宅や、一人暮らしや、家族が同居していても日中は一人になってしまう入居者がいる世帯を重点的に訪ねています。また同時に、サポートセンターとして、地域の交流を図るためのイベントを企画し、秋口には芋煮会の開催を予定しています。 

「最初の頃は受け入れてもらうことの難しさを感じたこともあったものの、少しずつ人々の信頼を得られるようになり、何かあれば気軽に声をかけてもらえるようになってきました」と話すのは、センターで業務調整を担う青木職員。活動で心がけている点を「住民の方々との信頼関係がないと、たとえ困ったことがあっても話してもらえません。また、顔見知りになると『あの家の方は一人暮らしですよ』といった情報を寄せてもらえるようになり、大変役立ちます。信頼関係を築いて、私たちが受け入れてもらえるようになり、それに応えるよう活動していかなければ」と述べています。

途上国でのボランティア経験が「即戦力」に

岩沼市へのJOCAボランティア派遣は3月22日に始まりました。そのきっかけとなったのが、JOCA本部に掛かってきた、同市に在住する協力隊OGからの涙ながらの電話でした。宮城県南部に位置し、海に面した岩沼市は、津波により市の面積の大半が浸水し、一面が泥とがれきで埋め尽くされた状況でした。そこでJOCAは、がれき撤去や拾得物の清浄や管理などを担うボランティアを派遣。開発途上国での経験を生かして活動するJOCAボランティアは、復旧の「即戦力」として活動してきました。そういった経緯から、里の杜地区に設置されたサポートセンターの支援をJOCAが担うことになりました。

9月12日には、厚生労働省(東京・霞が関)でサポートセンターの活動や今後の課題を報告する機会があり、青木職員が出席しました。入居者とのつながりを深めることに重点を置いて活動していること、また、離れた地域から転入したために知り合いがいない入居者が地域に解け込めるよう、サポートしている実例などを発表しました。9月からは、協働する岩沼市の社会福祉協議会、地域包括支援センター、介護福祉課と、情報を共有し、取り組みをさらに進めるために週1回の定例会議を始めました。

このほかJOCAは、岩沼市役所に遠藤里穂さん(H1年3次隊/ホンジュラス/造園)を派遣。遠藤さんは、支援金窓口で、市民からの相談や支援金請求の手続き業務をサポートしています。

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