帰国隊員のネットワークを福島復興の支えに-JICAボランティア同窓会 in 二本松(2012年3月開催)

福島第一原子力発電所の事故による風評被害により、農産品の売り上げ不振や、観光収入激減など経済的に大きな打撃を受けている福島県。その被害は、福島第一原発がある地域や計画的避難区域に限らず、放射線量が低いとされる地域にも及んでいます。 


帰国隊員による福島の現状報告
(3月24日、二本松青年海外協力隊訓練所)

二本松青年海外協力隊訓練所がある福島県には、これまでに多くの協力隊員がお世話になりました。その恩返しとして、ささやかながらも帰国隊員の力を復興につなげたいと、3月24~25日の2日間にわたり、「JICAボランティア同窓会 in 二本松」(主催=ふくしま青年海外協力隊の会、共催=国際協力機構〔JICA〕・JOCA、後援=にほんまつ地球市民の会)が開催されました。


懇親会では、隊次を超え、同じ国に派遣された帰国隊員間の
交流が深まった(3月24日)

同窓会には、北海道から沖縄まで、全国から約250人の帰国隊員が集まりました。第1日目は、福島県生活環境部国際課の鈴木大介さんによる講演と、齊藤誠一さん(S58-4/ ザンビア/ 稲作)、坂中澄子さん(H12-1/ パラオ/ 小学校教諭)、大橋美貴さん(H15-3/ インドネシア/ 助産師)が、農業・教育・医療分野について被災後の福島県の状況を報告。その後、懇親会が行われました。 

続いて2日目は、「被災地視察ツアー」「会津地方観光ツアー」のほか、震災支援報告会を通じたネットワークづくりの3つのうち、希望するコースに分かれて参加しました。 


相馬市の津波被災地を視察(3月25日)

中でも「被災地視察ツアー」には多くの参加者が集まり、鈴木進一さん(S52-1/ フィリピン/ 稲作)、高橋司さん(H17-2/ メキシコ/ 青少年活動)、川崎豊さん(H1‐2/ セネガル/ 浄水場機械)、戸川弘子さん(H19‐1/ ザンビア/ 体育)のガイドの下、一行は原発事故で計画的避難区域に指定された飯舘村を経由し、沿岸部が津波で壊滅的な被害を受けた相馬市を訪れました。相馬市の被害は、犠牲者458名、避難者は4,400名、流出した家屋は約1,000棟に及びます。一行は立谷秀清(たちや・ひできよ)市長から、災害発生時の救援活動や、自治体の首長としてあらゆる事態に迅速な決断を求められた当時の経験や、相馬市の現状などについて話を聴き、その後、被災した沿岸部を視察しました。

「開催の目的は、隊員仲間との再会に加え、福島県の現状を見てもらうことと、帰国隊員との間にネットワークを築き、これからの復興に力を貸してほしい、という3つがあった」と、同窓会を主催した、ふくしま青年海外協力隊の会会長の小熊則子さん(H2-3/ サモア/ 音楽)は説明します。中には、久しぶりに仲間同士で集まろうと同じ隊次・派遣国同士で声をかけあって参加した人や、連絡がとれず気がかりだった福島県在住の帰国隊員に会うために参加し、同窓会での再会に安堵した人もいたそうです。

中でも多くの参加者が集まった被災地ツアーは、週末の開催にもかかわらず、市職員が被災地視察時の案内役を務めてくれるなど、相馬市側からも多くの協力を得て実現しました。しかし、市職員の方も被災者のひとり。「津波の被災現場に来るだけで涙が出てしまうけれど、皆さんに話を聞いてもらいたいと思い、引き受けた」と話していたそうです。ガイドを務めた福島在住の帰国隊員の中にも、辛い思いをこらえながら役目を果たした人もいました。被災された方にとって、当時の体験を話すことはどれだけ辛いことか、計り知れません。「それでもガイドを引き受けてくれたということは、協力隊OBの力が復興につながると期待してくれているからだと思う」。小熊さんはその気持ちを推し量ります。

「多くの人は、メディアを通じて報道される福島県の姿しか知らず、現地で暮らす人の話を聞くことは少なかったのではないかと思う。被害が大きい地域があることは事実でも、福島県全体がそういった状況ではなく、人々がごくふつうに暮らしている地域もある。今回、福島県に住む帰国隊員から話を聞き、実際に被災地を見て、どんな状況かを知ってもらうだけでも、福島在住の帰国隊員には大きな励みになった。そして、人に会うことでパワーをもらえ、たくさんの応援をいただいていることを実感できた」と言います。

参加者からは「何らかの形で震災支援をしたかったが、長期間のボランティアには参加できなかったので、このような形で復興支援に加われてうれしい」「企画や業務調整はできないが、観光に訪れることならできる」「経済復興に寄与するよう、おみやげをたくさん買って帰りたい」といった感想が寄せられました。中でも、「相馬市長の講話で学んだことを知人にも伝え、福島に対する風評の改善に努めたい」といった感想が多く寄せられ、隊次、派遣国を超えた帰国隊員間の交流を通じ、福島の支援につながる心強い成果を得られた会となりました。

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